4 出会いの勇者(後編)
「…お前は誰だ。」
ローブ姿の少女を睨みつけ鞘に手を添えて警戒する
「…なるほど、そういうことですか。
私は大森林統括、司書王シーエ・ティ・ローニックです。
この大森林になんの御用でしょうか」
無表情のままロザリオに視線を移す。
ロザリオ・ブレンダー
誕生日 12/28
年齢 15歳
出身地 ドラセインズ街農村地区
Bランクハンター
あとは省略
…向こうの方は…
次に天使のような羽を持った人に目を向ける
本になかった人…?有り得ない。
苦悩に顔を歪ます。
あの図書館にはありとあらゆる知識、情報が詰まっている。
それらを全て読破しそれを完璧に覚えている私が知りえないはずがないのだ
…どうしたんだろうなにか苦しそう…
そう思いシーエに近づこうとしたが向こうが遠ざかってしまった
「来ないで!」
静粛な空気が立ち込める
最初に声を出したのはロザリオだった
「…大森林には未知の生物が棲息している。だから被害がこちらの街に及ぶ前に調査しに来た」
「そうですか、ではこの資料を持って撤退なさい。森が荒らされるのは好きではありません。」
そう言って未確認生物を含む分析書の束をロザリオに渡す。
「え!?はぁ!?ちょっと待てよ、信用できるかっての!
初対面のやつに
『これに全てが乗ってます』
って言われて素直に受け取るやつがあるか!」
「はぁ、面倒くさいですね。それでは私はどうしろと?色々仕事が残っているんです。手短に済ませてください。」
…どうしようなんか嫌な空気になっちゃったな…どうすればいいかな……やるしかないよね!
そうして二人の間に割って入って
めっ
と口パクで言う
「…わかったよ…」
「…少し暑くなりすぎました」
喧嘩が止まり嬉しくなって笑顔をこぼす
「…で、これからどうするかこいつのこともよく分からずじまいだし。」
ご機嫌をとるように羽の少女の頭を撫でる。少女は気持ちよさそうに揺られる
「…あなたの名前は?」
…何言ってるのか分からないなぁ…うん、分からないけど…
メルシ・アーク・エーシャ
と口パクで言う。何を意味するかは分からないけど
「メルシ・アーク・エーシャ、だそうです」
「メルちゃんか。よろしくな!」
なでる手を止めニッと笑う
メルシはそれに呼応するように笑顔を浮かべる
「さてと、この子どうするかなー。
このまま放っておいたら魔獣とかに食われておしまいだろ?
そんな外道手段はとらんが…」
「…はぁ、仕方ありませんね、メルシさんの翻訳係として少しの間だけいます。」
「おう、じゃあ少しの間、よろしくな。」
という訳で三人でこの森林を探索することになった