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13 新魔法とホブゴブリン

着々と閲覧数が増えています。読んでくださってる皆様。

ありがとうございます。

とりあえずの目標は日間ランキングに乗ることですね。

がんばります。

 冒険者となった翌日、珍しく朝早く(と言っても9時は過ぎている)に目覚めた俺は街を出て一人、ある実験をしていた。




(確かあの時俺はガルムを倒した。)


 屋敷が燃え落ち、ハンセンとミーシャが死んだあの日。俺はガルムを倒したはずだ。つまり、俺の勘が間違っていなければガルムの固有魔法を吸収しているはずである。


(ガルムの死体がどうなったか正直覚えていない、けど意識すれば魔力の奥底に自分じゃないものを感じ取れる。)



 俺は精神を集中し、自身の魔力から違和感を感じる魔力の波紋を読み取っていた。


(ガルムが使ったものは炎弾だけだった。けど、もしこの魔法を使うことが出来たら間違いなく強くなれる!)



 魔法を吸収できる条件などがあるのかもしれない。けど、確かめてみてデメリットはないはずだ。



(使えたら御の字、使えなくても吸収できる条件がわかるかもしれない!)



 興奮してきた俺は、多目に魔力を使って炎弾のイメージをする。


(ガルムは口から炎を出していた。あの時あいつらが出す魔法は溜めがあったはずだ。)


 そう思い、ガルムのイメージを持ちながら口を開ける。


(この感じ………いける!!)





 口が火傷するかと思った。




「あぶないあぶない。飯が食えなくなるところだった。」


 いい線まではいった。赤い光を放つ玉が出来たとこはうまくいった。ただむちゃくちゃ熱かった。


「んー、もしかして、使えない系?」



 ちょっと凹みながら、落ちていた石を蹴ったが、ふと気づいた。


「あ、別に口じゃなくてもいいんじゃね?」




 予想は見事に的中。少々熱いが、突き出した右手から炎弾を出すことに成功。しかし、その威力が問題だった。




「うーん、火力強すぎたか。」



 目の前には焼け焦げた大地に爆散した岩。

 どうやら魔力を込めすぎたらしい。


 


 そこから威力を調整し、ある程度自由に操ることが出来るようになっていた。


(単純に魔力を込める量で威力に差がでて、瞬間的に放出すればスピードが、射出するイメージで細めれば貫通力があがるんだな。)


「常にゆっくり吹き出すようにすればバーナー代わりに使えると。」




うん、凄く便利で汎用性の高い魔法だ。


(まてよ?球体を作るイメージで圧縮し、一気に放出したら爆発するんじゃね?)



 思い立ったが吉日、すぐに実行した。






 結果は辺りの惨劇をみればわかることだろう。死にかけた。



「やばいな、威力が爆発的に上がっている。爆発だけに。」

(使い所なしだな。俺まで巻き込まれるし。)



 けど、本当に使い勝手がいい。これはもう魔物狩りに出掛けて色々な固有魔法を喰らいたく(・・・・・)なってくる。

とと、思考が変な方向に行ったな。


 気がつくと、日は昇っていて昼食の時間となっていた。



「宿に戻るとするか。」











「…………フレイ?」


 宿に戻った俺だが、フレイの姿を見かけない。出掛けたのかと思い、宿の女将にきいたが降りてきてないとのこと。部屋にいるのかと思い訪ねたが、返事がないので失礼して、入ることにしたのだが………



立場が逆転していた。




「おーい、もう昼だぞー。いつまで寝てるんだーー。」

「うぅ……今日は出たくありません。…」

「はぁ、しょうがないなぁ………なんて言うとでも思ったか!日頃の恨み!!」


 普段の仕返し(俺が悪いのだが)とばかりに布団を剥ぎ取ってやった。

が……



「ひぅっっ……かえしてぇ…」



 フレイは下着姿だった。




「全く、レヴィにはデリカシーというものが無いんですか!乙女の部屋に勝手に入ったあげく、布団を取り上げっ………その…みるなんて…」


 思い出して恥ずかしくなったのか、どんどん小さくなっていく。


「あー、悪かったって。だって普段みれない珍しいフレイだったから、つい仕返ししたくなったんだよ」

「……限度があると思うのです…」

「わるかったよ。…………ねこちゃん。」

「ーーーー!!」



また叩かれた。




 昼過ぎ、宿で食事を終え向かった先は冒険者ギルドだった。


「今日は討伐系の依頼を受けようと思う。」

「わかりました。でも、レヴィに倒す手段はあるのですか?」

「ふっふっふ、昨日までの俺とは違うのだよ!」

「はいはい、何か出来るようになったんですね。わーすごーい。」

「おい、最後棒読みだった理由を詳しく聞こうか。」


「では、【ホブゴブリン5体の討伐】を受諾しました!」

「って聞いてねーし、しかも勝手に受けてるし!」

「はいはい、置いていきますよ。」

「ちょ、待てって」




 街をでて草原を抜け、俺達はアルフの森に向かっていた。


「で、レヴィは何が出来るようになったんですか」

「たいして興味なさそうにされてもなー、言いたくないなー。チラッ」

「では結構です。」

「わーわー!冗談だって。聞いて驚け見て跪け!」

「嫌ですよ、汚れます。」

「新しい固有魔法を覚えた!」

「………今なんと?」

「え、いや、だから新しい「意味がわかりません。」」

「いいですか、固有魔法とはそんなにホイホイ覚えれるものではないし、そもそも種族特有のものです。それを覚えたなんて「ボッ」………」

「………驚きました。夢の話ではなかったんですね。」

「だ、か、らっ覚えたって言っただろ!」

「そ、そうですが………レヴィ、本当に人間ですか?」

「そうです!………たぶん?」



 気がつくと森の入り口に着いていた。



「ところでレヴィ」

「はいはい、優秀なレヴィさんですよ~」

「では、優秀なレヴィさんに訪ねます。森で火の魔法を使うおつもりですか?」

「あ……………」

「全く………やはり、レヴィはレヴィですね。」

「……ちょっとまって、それどういう意味。」

「そのままですよ。」

「…………絶対バカにしてる。」

「もちろんです。では、私についてきてください。くれぐれも、その魔法は使わないようにお願いします。」

「………はーい。」



 釈然としないまま、大人しくフレイの後をついていくことにした。






「レヴィ!そちらにいきました!避けてください。」

「よっと。ほい。」


 突進してきたレッドボアをさっと避け、横から首もとを狙って短剣を突き刺し、すぱっと頸動脈を断ち切る。

 今使っている短剣はアリアに貰ったものではない。以前フレイが買いに行ったものだ。その価格はなんと金貨20枚。安いものは金貨1枚しないのだから価値がよくわかる。

 そして、値段に見合う切れ味をしていた。


「お見事です。」

「まぁ、たかが猪だし、褒められるようなことでもないよ。」

「いえいえ、既にCランクの冒険者ほどの実力はあると思いますよ。」

「…そういうフレイはどうなの。」


 フレイの周りには細切れにされたバニッシュビーが数10匹転がっていた。

 バニッシュビーは単体での戦闘力は低いが、攻撃されるとフェロモンを分泌し、近くの仲間達に救援を求めるため、討伐ランクはBとされている。しかも、かすっただけで一般人なら1時間は動けなくなる毒を持っている。



「私ですか?以前アルベルトさんには既にAランクの実力は持っていると言われましたよ」

「………くそっ。」

「あれ?もしかして拗ねてますか?」

「んなわけねーし。」

「くすくす。レヴィはわかりやすいですね」

「だー、やんなるわー」


 フレイの思わぬ告白を聞き、少し自棄になりかけた。







「(レヴィ、いましたよ。)」

「ん?なにが?」

「(静かにしてください!目的を忘れたんですか!ホブゴブリンですよ!)」

「(なるほど、忘れてたわ。)」

「(…本当にしっかりしてください先が思いやられます。)」


(俺は)目的を忘れ、魔物を探していたが、どうやらフレイが見つけたようだ。

 目の前にある一際大きな木の下10匹ほどのホブゴブリンがたまっていた。

 どうやら、鹿らしき動物を食べている途中みたいだ。


「(いいですか、討伐証明になる右耳は全部刈り取って下さいね)」

「(………それはわかったけどさ、肩に虫が乗っかってるぞ。)」

「(ひっ……ひゃぁぁぁぁぁ)」



 小声で叫ぶという(何気に)凄い(気がする)技を披露したフレイだった。



「(ふぅ、ふぅ…)」

「(……大丈夫か?)」

「(大丈夫です!)」

「(…はぁ、先が思いやられるな…)」 

「(っっ!怒りますよ!)」

「(はいはい、さて、仕掛けるとするか。フレイは右半分を処理してくれ)」

「(くっ…なんだかモヤモヤしますがわかりました。レヴィこそ殺り損ねないようにお願いしますね!)」



 俺達は同時に飛び出てそれぞれの獲物に向かった。


「ギャア?」

「はい、一匹」


 振り向いた一匹の首を短剣の横凪ぎで落とす。


「グギャァ!」

「ほい、二匹」


返す刀で二匹目を袈裟懸けにする。

ここで、ホブゴブリン達も戦闘体勢に入った。


「ギャアギャアァ」

「ギャア!」

「遅いって」


 こん棒を取ろうと手を伸ばしたホブゴブリンの腕の健を断ち切り、そのまま胸を刺突した。


「はい、三匹終わりっと」


「グギヤァァ!」

「キシャァ!」

「いや、逃がさねーよ」


 敵わないと判断したのか、逃げようとした一匹に短剣を投げる。見事に頭部に刺さったホブゴブリンは痙攣しながら崩れ落ちた。

 しかし、その隙に残りの一匹が走り出す。

(剣は…間に合わねーな。仕方ない。)


 俺は右手を前にかざし、ホブゴブリンに照準を合わせると細く、しかし確実に魔力を高めた炎の槍を放った。


「グギャッ!?」

「…『フレイムジャベリン』…なんつってな。」

ふっ、決まったぜ。


 胸を貫かれたホブゴブリンは、そのまま全身が燃えていく。恐ろしい威力だ。



「っ!レヴィ!木に燃え移ってる!!!」


 俺は慌てて鎮火させた。






「もー、ほんとレヴィはバカなんですから。」

「っ!あれは仕方ないだろう!逃げられると思ったんだから!」

「逃がす前に殺すんですよ。」

「…フレイと一緒にするな。」



 驚いたことに、フレイは俺が三匹目を倒した時には既に五匹とも倒しきっていたらしい。初撃で二匹屠り、流れるようにまた二匹。最後の一匹は俺の方に余所見しながらだというのだから技量の差を思い知らされる。





「レヴィ、そっちは大丈夫ですか」

「うん、焼け焦げた一匹以外は回収出来たよ。」

「でしたら後は報告だけですね。帰りましょうか」

「そうだな」

「帰るまでが依頼ですからね。油断してはいけませんよ」

「そんな遠足みたいに言わなくてもわかってるって」

「…えんそく?」

「…気にするな。」



 こうして、無事ホブゴブリン討伐依頼を達成することができた。







(今日5匹の魔物を倒した。)


 俺は宿で寝転がりながら一日を振り返っていた。


(けれど、何かを獲得した様子は感じれなかった。)


 実際に、自身の魔力を隅々まで確認しても違和感は感じ取れない。


(やはり、獲得するには条件があるのか?ガルムは魔力を使って自爆させた。石ころは踏んだだけだし。)

(今日のホブゴブリンは剣による物理と魔法を使った。けど何も変化はない。)


 やはり、何かしらの条件があることは間違いないらしい。


(その条件を見つけることができれば、絶対に楽しくなる!)


 俺は少し興奮してしまったため、気分転換に拾ってきた石をこねていると気づいてしまった。







(ホブゴブリンって固有魔法持ってないんじゃね?)









「………………そろそろ寝るか。」




 俺は寝ることにした。

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