10 魔法と固有魔法
どれぐらいの字数が読みやすいのか、模索しています。
個人的には読みごたえがある方がいいのですが……
とりあえず、自由に書くことにします。
朝、目が覚めテントを出ると、フレイが朝食の準備をしていた。
「ふわゎゎー…おはよぅ。」
「あら、おはようございます。珍しいですね、早起きなんて。槍でも降ってくるんじゃないですか?」
「物騒なことを言うな!てか、バカにしてるのか!?」
「もちろんです。」
「なんだよ、昨日のこと怒ってるのか?あれは俺は別に悪くないぞ。」
「き、昨日のことは関係ありませんっ……もう忘れてください!」
「はいはい、わかりましたよ。く、ま、さん。」
「ーーー!」
叩かれた。
「もぐもぐ……うん、結構いけるなこれ」
「お口に合ったようで良かったです。」
フレイが作った良くわからない肉の香草焼きと野菜がたっぷりはいったスープを飲んでいると、昨日の出来事を思い出した。
「あ、そうだ。聞きたいことがあるんだけど。」
「なんですか?」
「昨日の石ころ、踏み潰したんだけど、死骸が消えたんだ。」
「………消えた?寝ぼけているんですか?」
「起きてるわ!いや、だからこう、すぅーって感でキラキラしながら消えたんだよ。」
「…また訳のわからないことを。それより、炭の具合はどうなんですか?」
「本当なんだけどなぁ…よいしょっと。」
一旦飲んでいたスープを置いて、炭の様子を見に行くことにする。
「とと……危ない危ない。」
「レヴィ、やはり寝ぼけてますね?もう一度叩いてさしあげましょうか?」
「いらねーよ!てかな「ザシュっ」…へ?」
「…………驚きました。本当に槍が降ってくるとは。」
「んなわけねーだろ!敵か!?」
あのまま躓かず進んでいたらと思うとゾッとする。すかさず周囲の警戒する。
すると、近くに大型の鳥?が落ちてきた。
(何が起きてる!?)
警戒していたが………
「おーーい!ここら辺で槍を見なかったかぁー!」
遠くから物凄い勢いで虎っぽいのが走ってきた。
「虎人族ですね。上に乗っているのは森人族でしょうか?」
「いや、そんなに冷静に分析しないで!死にかけたんだけど!」
どうやらこの槍は虎人族の男の物らしい。
「がっはっは。そいつはすまねぇことをしたな!俺の名はウォーク!見ての通り虎人族だ!」
「……わたしはソラ。森人族よ。」
「俺はレヴィ。こっちはフレイだ。それより、説明してくれるんだろうな?こっちは危うく死ぬ所だったぞ。」
話を聞くと、ウォークとソラはBランク冒険者として活躍しているらしい。どうやら朝食用に、レッドボアの肉を槍にぶっ刺して焼くという豪快な調理をしていたが、目を離した隙にグリルスというCランク鳥型魔獣に槍ごと奪われたそうだ。
丁度俺達の真上でソラが仕留めたらしく、このような状況になったというわけだ。
「がっはっは!俺は悪くねぇな!仕留めたのはソラだしな!」
「……ん、………そもそも槍を奪われたウォークのせい。」
「どっちもだよ!」
「レヴィ、幸いにも怪我をしてないんですし、水に流しましょう。」
「……他人事だと思って。」
「お、フレイはわかってるな!!」
「…ん。フレイは優しい。」
「こいつら……」
騒がしかった二人だが、クエストの途中ということで森の中に戻っていった。
「はぁ、朝からうるさいやつらだったな。特にウォークのやつ。」
「まぁ、否定はしませんが。それより炭は?」
「んー、もう少し待った方がよさそうなだな。」
炭が完全に冷えるのを待つ間、俺は魔力を使い実験をすることにした。というのも、昨日の石ころを潰したとき、俺の魔力が少し揺らいだような気がしたのだ。
それは微かな反応だったが、違和感を感じとるには十分なものだった。
(んー、何かしら変化があったと思うんだけどなぁ。気にしすぎか?)
あーでもないこーでもないと唸っていると、フレイが昼食の準備を始めた。
「レヴィ、暇でしたら大きめの石を持ってきてくれませんか?」
「いいけど、そんなもの何に使うんだ?」
「テーブル替わりにしようかと思いまして。」
「わかった。少し待っててくれ」
「石、石ねぇ。んなもん何処にあんだよ。」
探したが使えそうなものは全く見当たらない。今持っているのは野球ボールほどの大きさだし。
(………これじゃむりだよな)
(魔法が使えたらなぁ。無理だよなぁ。)
やけくそ気味に石に魔力を通してみる。実はモノに魔力を通すことは高等な技法なのだが、俺は魔力操作のスキルを持っているため、わりと簡単にできてしまう。
魔力を通した物質は強度が上がるだけなのだが……
(はぁ……………ん?)
今までとは違う変化が起きた。
(これは、強度が上がっているだけじゃない?)
本来なら均一に広がる魔力が流動しているのだ。
(もしかしてっ!)
俺は石に伝えている魔力を強め、形を変えるイメージをしながら放出した。
出来上がったものは綺麗な立方体。
「やった!出来た!!」
考えられるのは1つ。昨日の石ころだ。本来と違って消滅した。あれは消えたのではなく俺に吸収されたのではないか?
「間違いない!」
他の石ころでも同じような結果になり、更には枯れた木すらも形を変えることに成功した。
「フレイ!!」
「どうしたんですか?そんなに慌てて。」
「これを見てくれ!」
「それは…石……ですか?……とても精巧に出来ているようですが、玩具ですかね?拾ったんですか?」
「違うんだ!俺が作った!!」
「レヴィが作った?…………どうやって?」
「こうやって!」
そういって実践してみると、フレイは驚愕していた。
「今、レヴィは詠唱しませんでしたよね?」
「うん?してないけど。」
「………レヴィ、魔法を構成するものを教えて下さい。」
「えっと、魔力と……あ、呪文か」
「そうです。普通は詠唱が必要です。初級魔法であればその必要はありませんし、メフィスト様ほどの実力者なら省く事も出来ますが、レヴィはそもそも魔法が使えませんでしたよね?」
「つまり?」
「それは固有魔法です。」
呪文を詠唱し、魔法陣を作ってから魔法を行使する一般的な魔法ではなく、種族あるいはそれぞれの魔物が扱う詠唱を必要としない魔法だ。
強力なものが多く、人族の固有魔法はない
「理由は不明ですが、レヴィは固有魔法を顕現させました。これは秘密にした方がいいでしょう。」
「……うん、それもそうだな。」
秘密って、なんか響きがいいし。
魔法を使えるようになり興奮した俺は、出来上がっていた炭にまで造形を施し、気がつくと辺り一面小鳥やらウサギやらの形をしたモノが転がっていた。
今は炭以外のものを元の形に戻している。調子に乗るなと怒られたから。
俺達は出来上がった炭(小鳥、ウサギ、ミニミニ竜など)を売りにいこうと、冒険者ギルドに向かったが、途方にくれていた。
「「入りたくない。臭い。」」