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バッドベアキッドのレポート  作者: キリュー
ビルディングの章
2/8

バッドベアキッドのレポート2



***


アンタ等はレベル上げって好きか?

レベルっても色々有るだろうけど、どっちかといえばオレは空いてるステータスとかって埋めたいタイプだ。

オレには仲がいい幼なじみがいるんだが、ソイツは背が高くて、顔が良くて、女にモテて、なんでもスマートなたいぷで、クールな感じで、そして女にモテる。

例えばだ、アンタにそんなダチがいたとしてだ、散々比べられるような事があっても恋人には《彼は確かにクールだけど、結婚するならステータスも安定してて頼り甲斐のある君がいいな》とか言われたいのがオレだ。

別にモテたくないって意味じゃ無いぞ?

ただ、もし実際にお付き合いする彼氏を女の子が選ぶとして、だ。

しょっちゅう意味深な言葉だけ残して失踪する様な奴と、コツコツ経験値貯めてるいつでも駆けつけるぜ系男子を比べたらさ、断然後者の方がいいだろ?オレはその方がいいと思う。


とにかくだ!

オレは残りのステータスの隙間を埋める為に、恐らくボスステージ前の最後のセーブポイントで名前も知らないエネミーをちぎっちゃ投げ、ちぎっちゃ投げして剣のキレをあげてる真っ最中だったワケだ。

ギラつく摩天楼は悪そうな色に煌めいて、路地の照明は時々バチバチと音を立てる、雨なんか降っちゃったりして。

ザ・アウトローな雰囲気に正直オレは酔っていた。

水も滴るモンスターハンターなんか気取っちゃっていた。

頭の中ではスパイムービーのクライマックスシーンで流れていたBGMをガンガンに鳴らして、さしずめ敵に囲まれても何故か無事な感じのスーパースター!

エネミーの最後の一体を横薙ぎに払って、決めポーズ。

あ、やっぱり右斜め45度から見てもらうのがベストかな?

とかなんとか思って悦に入っていた所だ。

それを邪魔する辛辣な言葉がそこにポンと投げ込まれた。


── バッカみたい。早く終わらせてくれないかな。


オレが脳内BGMをフィニッシュに合わせてかっこよく終了させてなかったら気がつかなかったかも知れないか細い、でも確かに聞こえた声。

オレは即座に振り向いて「誰だ!?」と声を上げた。

新しいエネミーか、NPCか、イベントシーンか?

シン、と一瞬雨粒の音が聞こえなくなる程の緊張感。

そのあとパチャン!と音がして、パチャパチャと連続した音に変わりつつ遠ざかっていく。


「見えないエネミーか!?」


そういう奴は大抵レアな素材をドロップするモンだ。

裏路地に逃げ込んだ足音をオレはすぐさま追いかけた。


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