バッドベアキッドのレポート1
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まず最初に言っておくと、この話は世界を救う勇者の話じゃあない。
世界を救う筈の勇者が、グレて《ハンパもん》になる話だ。
だから感動とかファンタジーとかキラキラした綺麗な魔法とかそんな素敵なモノは全然出てこない。
── ハイ、今読む気なくなったアンタ!
どうぞ回れ右、それが賢いやり方だ。
そしてココまで読んだ奴をさらにガッカリさせる話がある。
この話にはオレと《彼女》しか出てこない。
そう、ラブストーリーだ。
ハイ今何人かUターンしたな。いいぞ、続けるぜ。
しかもだ、イチャイチャエッチなラブコメなんかでは決してない。(そうだったらどんなに良かったか!)
彼女は終始ご機嫌斜めだし、なにより口が悪い。
オレとのフラグを逐一圧し折ろうとするツンドラで凶悪なヒロインだ。
他人が罵倒されてるのを見て手を叩いて喜ぶシュミのないヤツも帰った方がいい。
さて、これでほとんど帰ったな。
── なんだ。まだ読んでるのか。物好きな奴だなァ。
この話には感動とか教訓とかそんなもんは一切含まれてない。伏線も無い。
ただ、オレとの《彼女》がどうなるか、それを個人的にレポートにまとめたものだ。
なぜそんなものを作るのかって?
そういうのがオキマリなんだ。この世界では。