淡く、儚く
最近は春の訪れを感じることが多くなった。
梅の花が蕾をつけはじめているからもう少し暖かくなれば桜も咲くだろう。
そんなことを思いながら教室の自席で頬杖をついていると
心地良い暖かさの風が吹き抜けて君の香りを運んできた。
目の前にいても尚、話すことの出来ない自分に嫌気がさす。
ただただ楽しそうに笑っている君の横顔を見つめながら、またひとつ溜息を零すだけだった。
「もう一年か───」
僕は君に恋をして2度目の春を迎えた。
いつもの様に今日も君の隣には君の愛する彼がいる。
いつか僕も君の隣へ───。
そんな思いも儚く、春風とともに桜の木々をすり抜けて消えて行った。