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SFの為の科学考証  作者: アレの様な何か
第1章 光速度不変と時間遅れに関して
3/3

2.電界波紋


ともかく光速を考える前に

通過しなければならないのが「電界」であり

「静電界」という簡単な問題の系から

「動電界」という「動く電界」を考えなければならない。


そこで、詳細は大幅に省くのだが

「電界を解く為の方程式」として

『古典電磁気学』の基本式

『マクスウェル方程式』を示す。


挿絵(By みてみん)


ちなみに、「古典」「古典」と言ってはいるが

電磁気系の一般的な問題は

この方程式でほとんど解く事が出来て

「古典」とは言っても、実用性はこっちの方が遙かに上である。

ニュートン運動方程式も『古典力学』だが

ほとんどの機械力学問題はこっちで解かれている。

現実のモデルはこの様に『古典力学』で解かれているので

『古典』という言葉を使うのは、むしろ変かもしれない。


「古典」という言葉を使わざるおえないのは

『古典力学ではどうしても説明出来ない物理現象』

が世の中には存在し、その現象を観察していくと

『上位方程式』という拡張方程式がある事が分かり

『古典力学』は、我々の空間における

『上位方程式の近似式』であるという事が

分かっているからだ。


とはいっても、古典で説明できない物理現象というのは

「一般的な生活では遭遇する事がまず無い」

という物理的な特殊状況を徹底的に作った時に現れる現象で

(加速器で素粒子を加速とか)

そういうモノを観察した時には、

このような『古典力学』では説明が出来ない

という事なので、

素粒子をアホみたいな電圧で加速しない限りは

この方程式で示される答えの外に

解空間が出てくる事はまず無い。

(そのワリには結晶工学なんてまだ身近なモノでも

 この方程式では説明できない現象が起きるのだが…)


例えば電磁気を記述するこのマスクウェル方程式の

上位方程式とは何か?というと

この方程式に「量子理論」と「量子効果」を組み込んだ

『量子電磁気学』という拡張方程式だ。

哀しい事に筆者は、それに遭遇した事が無い。


「もしかして、アレだったんだろうか?」


と今に成ってみると量子系の教科書に出てくる

電磁気と量子が融合した式があるので

あれが「量子電磁気学」だったのかもしれないと

思わないでも無いのだが


マクスウェル方程式の上にシュレディンガー方程式を

直接被せていくという説明での教科書を見た事が無いので

『量子電磁気学』という分野は

筆者にとっては未だに謎の学門分野である。


どのみち、工学の電磁気やってる程度では

遭遇する事もない上位方程式であり

きっと理学部の素粒子系の人しか遭遇しない

方程式系なんだろうと考える次第である。


ともかく「古典」「古典」と言ってはいるが

そのまるで簡単に聞こえる「古典力学」の

マクスウェル方程式は、

基本的に二階の偏微分方程式なので

「これぐらい解ける様になろうぜ

 こんなの簡単な分類になるんだからな!」

とか無理ゲーを言ってみよう。

実際には、二階の偏微分方程式を解くなど

吐く程難しいので、

簡単などと口が裂けても言えないのだが

困った事に「上位方程式」は、

この基本フォームに更に、高位の物理現象が

生じる様に拡張されていくモノなので


「これが解けなければ上位方程式は更に解けない」


という上下関係があるので

相対的に「簡単な部類の方程式」と言わざる負えない。


言わざる負えないのだが、

この偏微分方程式の簡単な問題を解く過程を示した時

「それの何処が簡単なんだ!!」

とか、どうせ絶叫されるので

実は凄く難しいです、とフォローしておこう。


で、このマクスウェル方程式に

「空間状況」を与えて、「動電界」という

「動く電界」という空間設定を与えて

連立偏微分方程式を解くと

マクスウェル方程式の解の1つ

(この様な偏微分方程式は

 空間状況を可変させると解が無限に発生するので

 解の1つという言葉が乱発していく事になる)

「電界波動」の解が得られる。


解といっているが、

物理学の方程式を解くというのは

「特性方程式解」と呼ばれる

特別な方程式を生み出す事であり、

一般方程式から

更に方程式を作り出す事が「解」になる。


この「特性方程式の解」を得た後に

更に空間設定を与えて方程式を解くと

解きたい問題の本当の答えが得られるという事になり

物理学の問題を解くのは

二段構えの解探求が必要というべきかもしれない。


つまり

「一般方程式」

から

「特性方程式の解」

を解いて方程式を得

特性方程式に問題設定を与えて

「本当に欲しい問題の解」を得る

という、二段階の解法操作が必要という事だ。


といっても「電界の波動方程式」等という解は

あまりにも有名過ぎる解なので

その解法は完全に網羅されており

こんなモノを原理式から一々解くという事は無く

電磁気を解く場合には、

最初からこの特性方程式から出発するモノだ。


もっといえば、

これは大学院の入試に出される問題でもある。


「マクスウェル方程式から

 電界の波動方程式を導出せよ」


とかいう問題は、私の大学の大学院の入試問題として

過去の入試問題では出された事がある問題だ。

こんな問題を設定する場合は

出題者の先生は電磁波の専門の先生で

「ああ、あの先生が今年は入試の担当かーー!!」

とか受験生が絶叫してしまったという笑い話もある。


ちなみにこんな問題が出た時の大学院入試の

電磁気科目の合格点は例年より酷く低くなったそうだ。

空で電磁波波動方程式の導出証明が出来る様な

奇特な奴は、電波系の研究室の学生くらいである。

無理ゲーを問題に出すな。


愚痴になった。


ともかく、この波動方程式の一部が

光速問題において非常に重要になるので出した。


挿絵(By みてみん)


式の細かい事はどうでもいい。

実際、ここら辺から細かい所がかなり難しくなるので

それを説明するだけで禿げそうになるので勘弁して欲しい。

ともかく説明を絞れば、この式から

「電界の伝搬速度」というモノが導かれるという事だ。

「不動の陽子 (不動の電荷)」を考えるモデルを

「静電場の系」というのだが、

静電場、つまり動かない電場では

電場の速度を意識する事が無くなる。

その為、電場は常に一様で逆二条の法則で

支配されるというイメージで問題を解いてしまい

「電場の伝達速度」というモノを考えなくなる。

この静電場的な状況でも、「あえて」電場の速度まで

意識した図面作りをしていったのが、上図である。


こんな言葉は使わないのだが

(そもそも特殊相対性理論を説明するのに

 こんな切り口で説明する奴が居ないので)

電界の伝達速度 vE が決まると、

時間毎に「何秒前に陽子から放出された電界」が

今は何処に到達しているのか?という

「電界到達等時円」なる円が描ける。

(これは私の作った造語なので

 こんな言葉は今は無い。

 無いが、私は造語を作っても良い人なので

 勝手に造語を作る)

これがあまり気にならないのが

「静電場」という「動かない陽子」を

考えた場合なのだが、

それを次の様に変えて見るとどうだろう?


挿絵(By みてみん)


最初の設定では「動かない陽子」としたモノを

「動く陽子」に変えてしまった場合

「電界到達等時円」を描くと

不動の静電場とは異なった図面になる。

厳密には「陽子」を動かしたら、

こんな簡単な話にはならず「磁界の発生」で

もっとグチャグチャになるのだが

今はあえて磁界は無視して、電界のみを追跡する。


ともかく陽子を移動させていった場合

特徴として陽子から電場が発生した後には

その電場は等速vEで円状に(立体では球状に)

広がっていくという事だ。

これは、電界が発生したポイントポイントで

円状に広がるので、発生が昔の電場ほど

広く広がり、発生が今に近い電場ほど

広く広がっていない。


これが波の運動の特徴的な振る舞いである。


と同時に、これが「光速度不変の定理」の

証明そのものなのだが、

今はこの図面が何故そうなのかに踏み込まず

白々しくイメージ固めの方に奔走する。


挿絵(By みてみん)


陽子の電界波動のモデルを

我々の感覚で分かる世界にするために

「船が海を航行する時に船が切る波の波紋」

を考えてみよう。

すると上図の様に「ライン」で

広がっていくのを写真観察で見る事が出来るハズだ。

「動く陽子」のモデルでは、

円状に広がる様子を掴む為に「離散的」な図面にしたが

現実の波動ではその円状発生が「連続的」に発生するので

円の半径が発生時毎に重なり、「ライン」になってしまう。


現実の波動はこの様にライン的に

伝達到達距離が見える事になる。

波動運動の特徴である。


この波動運動の特徴が何故起きるのか?

それが前の図面の「到達等時円」であり

その円が発生する大前提


『波動は伝搬速度一定』


である。

波は、船なら船の運動速度がどうであろうが

何であろうが、そんな事は完全に無視して

波が発生したその瞬間に

『波を伝達する媒質』で決まる「等速度」で伝搬する。


逆に言えば「それが波」である。


波は波を起こす運動物体に性質を決められるのではなく

(時に運動物体に性質を決められる奇特な波もあるが)

波が伝わる周囲の「媒質」に依存するのである。


逆に言えば「媒質を伝わるモノ」それが「波」である。


船における媒質とは「海」であり、

もっと物質まで突きつめると「水」である。


船の波動を決めるのは「水」という「媒質」である。


それに対して電界の「媒質」とは?となるが

これは歴史的な研究経緯として

「波動なのだから、伝搬媒質が無いとおかしいだろう?」

という事で当時の研究者が「エーテル」という

電場の波を伝える「媒質」の存在を真剣に探していた。


結局、研究の結果として「電場の波」は

媒質を必要としない「自己励起」型の特殊な波だと

分かったので「エーテル」が存在せずとも

空間を伝搬する事が分かったのだが

媒質レスの波動であっても、

あるいは「真空」という「媒質」を伝わる波

であると考えたとしても

波動であるので、「伝搬速度一定」という性質は

水や空気(音速)と変わらない。


さて、ちょっとした回り道だが

波の計算をしてみよう。

とはいっても、本気でフーリエ級数など解いたら

吐く様な結果にしかならないので

高校の物理で出てくる様な、簡単な波動方程式の解で

ちょっとした計算実験である。


最も簡単な電界波の波形はこの様な式になる。


挿絵(By みてみん)


ここで、「何故、電界で説明したのか?」

という特殊相対性理論の展開の切り口とは

異質な理論説明が、突然、特殊相対論に接近する

不思議な邂逅の計算をする。


電界波あるいは電磁波とよばれるこの波は

我々の身近な所ではコンピューターのCPUの

クロック数等で邂逅する事ができる。

「我々のコンピューターのCPUのクロック数は

 3GHzで~~~」とかいう数字は

実は、あれが電界波の周波数の事を言っている。

CPUのクロックは電界波の中でも

「矩形波」という特殊な波形の電界波なのだが

数学解析すると、結局、

サイン波の加算集合に落ち着くので

この最も簡単な電界波と無関係ではない。


もっと言えば説明を省いたが

「電界波」は「電気を流す能力」を持っている。

しかし、その説明をし出すと

普通に電磁気学の講義を始める事になるので

それは割愛する。

とても長い話になるので、

電気系の大学に入ってそっちで勉強して欲しい。

三年ぐらい勉強すれば分かる様になるよ、たぶん。


ともかく、

そんなCPUのクロックもやってる電界波は、

周波数と波長という変則的な

2つのパラメータを使って

融合表示すると示した式の様になるのだが

周波数と波長の等式が成り立っているのなら、

周波数か波長のパラメータか

どっちかの1変数に統合するのが本来は

数学的な式整理の筋である。


が、あえてこの表示にして

電界波、あるいは普通の呼び方「電磁波」

あるいは、俗語で「電波」であるこの式を

特殊相対性理論と邂逅させる為に

周波数と波長という2変数で表示し計算する。


そこで突然何故か、

波長λ=1マイクロメートル (1μm)

という電波の「周波数」を計算してみる。

あるいは1000nmナノメートルという

キリの良い波長というべきか。

555nmとか、あざとい数字でも良かったのだが

そこは計算的にキリの良い数字を選んだという事で。


さて電界の伝搬速度であるが

これは、真空の誘電率ε0と真空の透磁率μ0が

分かっているので

計算上、秒速30万キロメートルと分かっている。

指数表示で 3.0×10^8 (m/s)である。

その数値を使って、1000nmの

波長の周波数を計算すると、300(THz)である。


ここが数値計算的な笑いを凝縮させた所だ。


我々のCPUクロックは3GHz出せば、

つまり3×10^9(Hz)の電界波を作れれば

上々なのに対して

波長1000nmの電界波という謎の波は

我々的な周波数で見ると

3.0×10^14(Hz)と

五桁も上の世界の波だという事だ。


何故そうなのかの説明は省くが、つまり


「電波工学の電波発生方法では

 1000nm波長の電波を作る事は出来ない」


という電波工学の問題を言っている。

300(THz)の

「電界制御できる」電磁波なんか作れたら

きっとノーベル賞ものであろう。


この邂逅を見たいが為に、

あえて周波数と波長が混在した汚い波動式を使った。


「電波工学では作れない電界波(電磁波:電波)」


それを何と呼ぶのか…

というのは、ここは誤魔化して焦らしておくwww

でもホラ、

特殊相対性理論とここで邂逅しちゃっただろww


さて、また回りくどく周辺の埋め作業として


挿絵(By みてみん)


波動方程式という「波動」を扱う方程式がある。

「ギターの弦の波動」

「声を伝える音波の波動」

「海の波を使える水の波動」

「電波を使える電波波動」


すべからく全ての「波動」は

「同じ形の方程式」で理論解析される。


それは

「空間二階偏微分の変位関数は

 時間二階偏微分の変位関数と速度の逆二条積に等しい」

である。


これが「波動方程式のフォーマット」である。


この波動方程式がマクスウェル方程式を

連立偏微分方程式で解くと電界でも出てくるので

「電界波」も「波動」なのである。


ついでにいうと、出てくるのは「電界波」だけでなく

「磁界波」の波動方程式も空間直交する形で出てくる。


この2つの波は常にペアで発生するので

「電界波」「磁界波」のペアリングを

「電磁波」と呼んでいるのである。


電磁波とは、俗称で「電波」であり、

我々がラジオやテレビを受信したりするのに使ってる

「アレ」である。


ただし「電波」のニュアンスは

「MHz波まで」という、定義とも経験則ともいえない

微妙な境界線で使われる言葉であり

最近はGHz波も使えてきているので

「GHz波までは電波的な感じ」

という言葉的イメージか。


電界波にほとんどの仕事をして貰って

磁界波は積極的に使わないので

(使わないというか磁界の方で

 磁気回路を組むのが難しいので

 信号のやり取りは電気回路でやってしまうから)

電磁波の「磁」の方を無視して「電波」と呼んでいるのだ。


この電磁波は波であるが

媒質毎の伝搬速度の違いを示すと


空気(音速) 340(m/s) (要するにマッハ1)

水     1500(m/s)


電磁波   30万(km/s)


と、他の波に比べて伝達速度が飛び抜けている。

「早すぎる波動」それが「電磁波」である。


この早さが故に

「波の様な扱いがイメージし難い」

という所が

この波を図で描く時に最も苦しむ所になる。



といった下準備をした所で、

次回は、「光速度不変の定理」を

開口一番で始末して

「時間遅延」なる現象の図形解説をしたいと思う。


(「光速度不変の定理って今回の図面で

  ぶっちゃけ説明した様なモンだし…」)


うーん、1回で出来るかなぁ…

作図が難しいんだよなぁ…


造語作るんなら、それなりに覚悟はしないとマズイって事なんだが

さてどうするかねぇ。。。

こんな草の根のゲリラ活動で…

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