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ラワード物語  作者: 高志淡々
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第一話:変

初投稿なので、お見苦しいところが多々あると思いますが、見守ってやってください。

 それは家の裏にある古い蔵の中にあった。


 蔵と言っても我が祖父が、集めに集め並べに並べた本がところ狭しと整列している、蔵という名の図書館でもあった。僕がその蔵へ入るようになったのはいつからだったろうか。事故の前もそれなりに入っていたが、事故の後はそれまで以上に蔵へ入るようになっていた。



 その日も、読み終えた小説を置いて新たな小説または活字で書かれた文の集合体、とりあえず本と呼ばれるものなら何でもよいと、いつものように物色を開始する。物色を開始すると、もう慣れたがいまだに理解できない祖父のこだわりに本選びは難航させられる。祖父は几帳面なのか、はたまた大雑把なのか、彼の分類とやらで本を整理しており、<怪>やら<徳>やら一つの漢字からなる分類を見せていた。さらに、分類ごとに読んでみるとその文字に関する本が並んでいるのかと思いきや、まったく関係ない本が置いてあったりするから本選びには頼りにならない。例えば、<怪>の文字から想像するに妖怪やら怪談話があるものだとその分類から何冊か取り出すと、カメラの取扱いの本だったり植物と土壌の関係について書いた本だったりと、何でここなのかわからないものが多々あるのだ。祖父に聞いてみたところ、その分類には自信があるといい<怪>には<怪>の理由があるのだという。その中でも一番変なのが<変>の分類なのである。変なものが変なのだから、それはまっとうな分類に見えるのだが、何語でかかれているのかもわからない本や血の色で描かれた絵集などがあり、それはもう変なのである。


 祖父の腰の関係で数年前に少しだけ工事し、バリアフリーの装いの広い通路は、狭い通路だったころと比べ非常に助かっていて、その広い通路を迷路のように進んでいき、最後にたどりつくのが<変>で分類された本棚である。小さい頃、蔵の中にかくれんぼで隠れているとき偶然<変>の本棚を見つけてしまったときは、ほこりかぶった不気味な本、蜘蛛の巣、薄明りという条件で若干トラウマになりかけたのはいい思い出だ。だが、16歳にもなるとそんなトラウマも消え去り、物色して最終的にたどり着いた<変>の本棚は好奇心を刺激する何かにしかならない。変てこな動物だか、なんだかわからない生物が書かれた本でも見てみるかとその日も気軽に本棚に手をのばす。



 ばしんっっ



 小さな衝撃と小さな光とともに一冊の本が、広い通路にぼとっと音をたてて落ちる。あの時はちょっとめまいがしたくらいだと思っていたが、よくよく考えてみれば、その現象すべてがおかしく、ぎりぎり手を伸ばせば届くほどの高さにあった本が落下したというのに傷ひとつないというのにそのことに気づかなかったのに、多少今後悔している。今の後悔むなしく、あの時の僕は一種の催眠状態にかかったようにその本を腕に抱え込み、蔵から出ていた。





「ゴン、ご飯ができてるよ。」




 自分の部屋へ入る直前、祖母から声をかけられる。が、そのまま部屋の中に入る。部屋がしまる音が聞こえても、祖母は何も反応しない。耳が遠いのではなく、蔵から出た僕が一冊本を読み終わらない限り出てこないのを知っているため何も言わないのである。その日も蔵からとってきた推理小説か、物理系の本でも一冊読もうとしていたが、何語かわからない言語で書かれた本をなぜか手に取っていた。




 まずは外の表紙と裏側をじっくりみる。図鑑程もある大きさと質量、埃がすこしかぶっていたというのに少し払えば、新品のような色合いとつやをはなつ。裏側には、よく漫画や映画などでみる魔法陣がかかれている。そして、表紙には何語かもわからないタイトル。なぜ、こんな本に興味があるかもわからなかったが、惹きつけられた。とりあえず、ぱらっと、意味がわからなくても見てみるかっと本を開いてみたのが、物語の始まりだった。


 


 



 





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