表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

第一夜

死んだはずの少女は見知らぬ場所で目覚める。

見目麗しい麗人と出会い。

其の温もりに癒されながら…。

今思えばあの人と出会えたことは何よりの幸福でそして何よりもの不幸だったのだろう……。


今終わる私が思うのはそんな取り留めもないことだった。何も望みを持たなかった哀れな人形のそんな結末に泣く者は誰独りとていはしなかった。


そして意識は闇に溶ける。ぶつりっ。








目が覚める。どうして起きれるの?そう不思議に思いながらの目覚めだった。


ふわり。目の前にあったのは美しいとわかる性別はわからないけれど人物の長い濡れ羽のような黒い黒い長い髪。思わず言葉が零れ落ちた。



「きれい……」



其の人は振り返った。そして私を見据えると微笑みあまやかな声音で囁いた。



「きれいなのは君のほうですよ」


「目が覚めましたか?彷徨い人よ」



其の言の葉に私は縫いとめられた心地になり唇を戦慄かせた。


美しい麗人は微笑みをたもったまままた囁く。



「怖がらせてしまいましたか?」


「だけれど此処には貴女を傷つけるものはいません」


「居たとしても私がその存在を否定します」


「だからどうか泣かないで」



言われるまで気づかなかったけれど私は涙を流していた。


泣きたくなくて声を押し殺す。だけれど嗚咽がもれる。そんな私をあの人は抱きしめた。



「怖かったのですね」


「もう大丈夫ですよ」


「今は好きなだけ泣きなさい」


「其れが今の貴女に必要なことなのだから」



そして私は泣き疲れ眠ってしまった。意識はまた闇へと溶けた。



「眠りましたか……」


「君は覚えていないでしょうけど」


「私はずっと君を覚えていたのですよ?」


「君のことをずっと」



あまやかにかそけき声で囁き告げると壊れ物に触れるように優しく愛しき存在を抱き上げた。


そして寝室へと運んだ。物語は今だはじまったばかりーー。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ