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イース  作者: 浪漫
3/5

第二話 ~接触~

第二話ですww


 悠斗は家に着くと自室のベットに倒れこんだ。

いつもとなんら変わらない、只退屈なだけの日常のはずだったのだが今日は少し違っていた。


目を閉じるとなぜか浮かんでくる夕日に照らされた美紀の笑顔。

なぜ美紀の事がこんなにも気になるのかが解らず、悠斗は困惑してしまった。



(いやいや、他にも今日はあったろう!)



何故か美紀の事を考えるのが怖くなった悠斗は無理やりにも思考を今日あった事へと変えようとする。


 今日はいつも通り母さんに起こされて、学校に向かって美紀と登校へ向かった。

学校ではつまらない授業を受けて昼休みになった。

昼休みにメールの確認をした後に、美紀と昼食を食べてまたつまらない授業を受ける。

放課後にはいつも通り美紀と下校して今に至る。


こう思い返すと自分の生活の薄っぺらさと、結局美紀の事を思い返す羽目になってしまったことに自嘲した。


ふと、あることに気づき笑みが止まる。



(メール?)



悠斗は昼間に確認したメールの中に気になる迷惑メールがあったことを思い出した。

ポケットから携帯を取り出し、受信メールの確認をするとやはり昼間確認したメールが存在した。


 はたから見るとただ単に意味のわからない迷惑メールであったが、何故か悠斗にとって惹かれるモノを感じるのである。

何時もの彼なら全く気にも掛けないのであったが、何故かこの時は開かなくてはならない(・・・)と、どこか使命感のようなものを感じていた。


だがやはり悠斗の理性では、何を馬鹿らしいと思う自分が存在し、それと同時に指の先では本能的にリンク先のページを開こうとしている自分が存在していて、まるで自らの指ではないかのように画面をスクロールし続けていた。



「くだらない」



そう呟くと同時にリンク先へのアドレスをクリックしていた。




一瞬自分がボタンを押している事に驚いたが、現れたページに悠斗は完全に意識を奪われた。


そこには単純に時間と場所。

それにその場所に行くと説明をするとだけ書かれた文面があるだけの質素なページであった。


それだけのページであったのにも関わらず、悠斗は心を鷲掴みにされるような気持ちになった。

たった二行程度の文面であったが、悠斗は何度も、何度も読み返していたのである。


そして悠斗は、無意識の内に携帯をポケットに入れて財布の中を確認し、家を出たのだ。


目的地に向かう電車の座席に座った時点で悠斗は自らの行動に鳥肌が立った。


 そもそも悠斗と言う少年は、その明晰な頭脳のおかげで常に物事を考え行動をし続けてきていた。

そんな自分が全く理性など何処か遥か彼方に置いて、全て本能でこの電車に乗っていたのだ。

それは悠斗にとってただの恐怖でしかなく、それと同時に全く新しい体験でもあった。


これから自分に何が起こるかなど到底想像できないが、自らが考ええぬことなど今までにはなかったので、悠斗にとってこれから先のことは恐怖と共に、刺激に満ち溢れていた。



夜のネオンを照らしながら走る電車は悠斗にとっての道への架け橋であった。




 次の駅が自分が降りる駅であると気づいたときに、悠斗の体は突然震え出した。

駅に着くまでにある程度の心構えをするつもりであったが、思ったよりも早く目的地に着いたようだ。

実際電車に乗っていた時間など覚えてもいない。

五分で着いたような気もするが、三十分かかったような気もする。


時間間隔がおかしくなっているのが極度の緊張からだと気づいた時には、自然と笑みがこぼれた。

兎にも角にも目的の駅に着いてしまったのだ、悠斗は震える足を引き摺りながらホームに降りた。



実際この駅は休日によく利用する駅であり、これといって新鮮であった訳ではないが、今の悠斗にとって別世界と思えるほどの違いを感じさせた。


今なら引き返せると思いながらも悠斗の足は出口へと向かうのであった。




 指定された場所(何の変哲のない交差点)に着くと既にそれらしい男が立っていた。

男は身長が180Cmほどある身長と鍛え上げられた体を黒いスーツに包んでいた。

まるでボディーガードだなと考えていると、男と目が合いゆっくりとこちらに歩いてきた。



「如月悠斗様ですか?」



男の口から見た目とは全く想像のつかない丁寧な口調で話しかけてきた。

悠斗は男の問いに関してゆっくりと首を縦に降った。



「それでは、説明のために場所を移動しますのでこちらの車にお乗りください。」



男はゆっくりと丁寧な、それでもって有無を言わせない口調で黒光りする高級車へと悠斗を誘った。

悠斗はこれから自分がどうなるかなど更にわからなくなりながらも、どこか期待に膨らんだ胸を弾ませながら車にのりこんだのであった。

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