第五章
テスト期間?
フッ……俺たちにそんなこと関係ないね……
今回もわりと長め……
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は……?
なにやってんだ、ワタル?
あれ?
俺が撃たれないでワタルが……?
「オイ! ワタル!」
俺はワタルにさっき崩された体を起こしながら名前を呼んだ。
立った瞬間体がふらついた。
恐怖で足が震えたから。
別に銃で撃たれる事が怖かったんじゃない。
ワタルの命が自分の目の前で確かに消えていくのが怖かったんだ。
自然と目元が熱くなってスグに視界が揺らいだ。
頭の中は理解が追いつかず、使い物にならなかった。
そのためか、心で思ったことがいつもとは比べものにならないくらい重く感じた。心がじりじりと焼けるように痛かった。今の心は恐怖に染まっているはずだ。
倒れる様にワタルの左隣にしゃがみ込む。
右手で背中を持って左手にある黒い石をその場に捨ててワタルの腕を引っ張る。
「ワタル! なに……やってんだ、お前!?」
俺はあの時死ぬ覚悟は出来ていた。
死ぬのは確かに嫌だった。が、誰かが死ななければいけないことは誰だって解っていたはずだ。
あそこで俺がああ言わなかったらこの町は爆発されていた。
しかし、俺がうたれることで車の中にいた奴なら考えを変えるだろうと思った。
根拠はないがスゴイ奴とはそういうものだ。
俺一人の死でここにいる全員を救えるなら安い事だと思って言ったんだ。
それなのに俺は撃たれずワタルが撃たれた。
結果として、最悪だった。
……本当に全く、
「何やってんだよ! ワタル!!」
どうして、こうなる?
ワタルの顔に水滴が落ちる。
くそっ……!!
俺は……今、涙を流す事しか出来ない。
「怖かったから……」
「えっ?」
ワタルの口が突然、開いた。
「なんでかも、分か、ら……ないけど……怖かったんだ……」
痛みのせいだろうか、言葉は途切れ途切れだった。
「ちょっと、前は悔しかった……その、前は……楽しかった。もっと、前、は、つまらなかった……。だから、これ、この気持ち……全部初めての気持ちだったんだよ……」
何、言ってんだ……突然?
「しっかりしてくれよワタル!!」
「なんで、こう、思ったんだろう?……そうだ、頭で考えなくても、心が勝手に、感じ、たんだ……その、理由……知りたかった、な」
そんなの、今から考えればいいだろ!
俺の手に伝わるワタルの血が、嫌になるような自分の考えを強くする。
……ふざけるな!!
「それならこれから解ればいいだろ!!」
笑って言ってやりたいけど、自分が今までどうやって笑っていたかがワカラナイ。
「ハハ……そう、だよね……これから、だもん、ね……ヒカルも、一緒、に、なって……新しい、世界を……見るん、だか、ら」
どんどん、言葉一つ一つの間が広がっていく気がする。
その分、心に深く浸透していった。
「今なら……見れる、気が、するんだ……。だって、自分で、動けるから……思った時、に、思った、様、に……動ける、から……。だから、そう、メグム、を、助ける、事だって、出来た……ん……だ……」
と。
そこで、ワタルの言葉が、切れた。
ワタルの目が、閉じた。
「ワタル……!? ワタル―――――――――――――――――!!」
俺は、ゆっくりワタルを地面に寝かせた。
そんな、この世界の一部になってしまったようなワタルを見ると、どうしようもなく悔しくなった。
ありがとうの一言さえ言えず、ただ涙を流すことしかできなかった自分が悔しかった。
俺は撃った男を思い切り睨む。
ワタルを撃った銃口が、こちらに向いた。
足元にある黒い石を持ち上げる。
高々と上げ、見せ付ける様に。
「こんなもんのタメに!」
そう叫んで、ワタルの右上に投げる。
石はやはり硬く、傷一つ見えなかった。
石は転がって行き、ワタルの頭のほうに触れた。
俺はもう一度男を見て歩き始めた。
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メグムが僕のことを見て泣いている。
メグムは悲しむとこんな顔するのか。
涙でくしゃくしゃだ。
僕のために泣いてくれてるのか……優しいな。
撃たれた場所が、じくりと痛む。
いや、痛む、なんてちゃちな物じゃなかった。
撃たれた。と、気づいた瞬間、狂わない事が不自然なほどに苦しかった。
メグムがそこで何か喋ったのは分かったけど。
痛みで、よく聞き取れなかった。
耳を、澄ましてみる。
「何やってんだよ! ワタル!!」
お、今度は聞き取れた……?
そう言われればそうだ。
なんでこんなことしたんだろ?
怖かった?
……そうだ。確かに、僕はあの時怖かったんだ。
「怖かったから……」
この一言がでると他の気持ちもズルズルでてきた。
後は出てきたものを言い続けただけだった。
一言話すたびに色々な思いがココロの奥から出てきた。
その思いは、僕の生きたいという気持ちを強くしていった。
そのたびに撃たれた腹が痛みを増していき、最後の言葉の時は目がくらんだ。
あぁ……
銅い空が見える……
……、あ、れ?
メグムの目が、銅い。
そうか。
あの空は、人の悲しみの色だったんだ。
だからあんなに切なくて、深くて、惹かれて……そして、終わりが見えないのか……
人の悲しみとの出会いは、もう、とっくに済んでいたみたいだ。
もう、限界なのかな……
自然と、目が閉じた。
「ワ…ル……タルー………!」
メグムが、名前を呼んでくれたんだろう。
今は、目さえ開かない。
そのまま僕の体は、温かいメグムの腕から、冷たい地面の上に置かれた。
背中に伝わる冷たさも痛い。
足音だろうか、砂のすれる様な音がして近くに何か落ちるものを感じる。
それは額に当たって止まった。
さっきまで開かなかったはずの目が、なぜか開いた。
僕の視界に果てのないような純粋な黒が広がった。
本当にココロが惹かれる。
そんな時、僕の視界にメグムの背中が映る。
メグムは何をしようとしてるんだ?
まさかあいつらに何かするんじゃないよな……。だとしたら、止めなくちゃ。
体に力を入れたが、腹の痛みが増えるだけで体は動かない。
そうだ、ヒカルに止めてもらおう。
「……ヒ……ヒッ」
声くらい出てよ。
「ヒ……」
声が出ない。
誰か、誰か、メグムを止めてよ。
誰でもいいから、早くメグムを止めてよ!
僕の視界にもう一度、黒が広がる。
もうなんでもいい。なんでもいいから、メグムを……メグムを、止めてくれよ……!
僕には、やっぱりムリだったんだ。
メグムを、助けるなんて。
僕はそう思いながら、無意識に、血で真っ赤な掌で黒い石を触った。
そのまま動けなくなくなった手は、黒い石に血の跡を残しながら落ちていく。
手が石から離れる瞬間、僕はあることに気づいた。
傷が、痛くない。
それだけじゃない。
力が溢れる気がした。
今なら……立てる!!
僕は両手を地面に立て、足を丸め込ませるようにしてから足の裏を地面につける。そのまま力を入れて立った。
俗に言う、ジャックナイフの要領である。
ふらつくのを踏ん張って、声が出るのか確かめる。
「あー、アー」
出る。
声が、出る!!
僕は顔をメグムの背中に向けて、
「メグム!! 行っちゃダメだ!!」
メグムはビクッとしてこっちに顔を向けた。
「ワタル……なんで?」
メグムは本当に驚いた顔をして聞いてきた。
「僕にも分からない。けど、そっちに言っちゃダメだよ」
僕は足を進めようとしてふらつき、倒れそうになる。
「あっオイ! ワタル!」
メグムがこちらに来ようとしているようだが間に合わないだろう。
倒れると思った時、誰かが背中を支えてくれた。
ヒカルかな?
「大丈夫か~?」
ヒカルだ。
僕は二人の声を聞けて安心した。
「えぇっ!? ワタル、血だらけじゃないか!? どうしたんだよ」
メグムが走ってくる。
僕はヒカルに礼を言って、ヒカルの手から離れ自分の力で地面に立つ。
もう、痛みはない。
疲れてはいるけど。
今はメグムがヒカルに説明をしている。
ヒカルは驚いたり怒った顔をしたり、忙しそうだ……
なぜか今は周りのものが優しく見える。
僕を撃った男でさえ見たって苛つかない。
なんだか気分が良かった。
気分が落ち着き、しっかり立てるようになった時、車から声が聞こえた。
「あれぇッ? あいつ、立ってるよ~? なんでだ~?」
さっき聞いた響きのある声とは正反対の声だったのでメグムとヒカルも車を見ている。
「なんだよ~。しっかり撃てよ、ハイッかまえぇ~」
ヤバイ。男達が銃を構えた。
そこで、また声が聞こえた。
「うるさいわね! 黙りなさい、ジェド!!」
「ホントだよ~? モト様が笑ってるんだから、殺すなら私がやるの~」
今度は二人の声がしたがどちらも女の声だった。
「モト様が笑ってるんだよ~? どんなに強いんだろ~?」こっちは声が高いな。
「はぁ、これだからジェドとは同じ班じゃ嫌だって言ったのよ」こっちの人は声が大人っぽいな。
「うーるせーな! いーんだよ! ほらっ! 撃てー」
ヤバイ。撃たれる。
そう思った瞬間、つい怖くて目をとじる。
銃声が耳に響く。
……あれ?
どこも……痛くな、い?
「うがァッ!!」
「くそッ! どこにいる!」
と男達が声を荒げている。目を開け男達を見ると足や手を押さえてキョロキョロとなにか見回している。
……誰かに、撃たれたのか?
でも、なんで?誰が撃ったんだ?
「オイ……まーたやられたのかぁ? つっかえねーなー」
と、ジェドと呼ばれていた男の声がする。
「フッ……もういい。帰るぞ」と続いて響く声がした。
「えっ?なんで帰ん「うるっさいわね! ……帰るのよ」……えー」と言葉の途中で大人っぽい声がした。
その声で、さっきまで動かなかった車が動き出し、武装集団と共に遠ざかっていく。
僕達は理解が追いつかずキョトンとしてしまった。
今度はここにバイクの音が近づいてくる。
見るとバイクは僕達から少し離れたところに止まった。
バイクは大きめで左側に車輪が一つの人が乗れるものがついているサイドカーだ。
本体には男と女が乗っていて、サイドカーには男が一人乗っている。
サイドカーに乗っている男は銃を構えていたのであの子が撃ったんだろうと思う。
何だろう、この人達?
僕はそう思ったがメグムは男の子が持っているものに興味があるらしく
「えっと……あの長い感じなんだっけ~? すなっ、すない……なんだっけ~?」
「スナイパー」
「おぉ~それそれスナイパー! 遠くまで狙えるんだよな~」
と、ヒカルと話している。
すない、まで言ったら出るよね、普通。
バイクをもう一度見てみると後ろにのっていた女の子が降りて、こちらに来ている。
すごく焦っているようで短い距離なのに何度かこけそうになっている。
あ、こけた。
その姿を見ていて頭の中が一瞬くらっとした。
「だっ、だいじょ~ぶですか~!?」
走りながら聞かれたからか、驚いてすぐ答えられなかった。
近づいてきてわかったが、見た目は同い年くらいだ。
顔は大人しい感じで整っている。
両手で箱をもっているが、赤い十字マークが入っているから救急箱だろう。
もしかして僕のケガを治しにきてくれたのかな?
もう痛みはないけど。全然。
「あっち人の背中のなんだっけ~?がと…がとり……がとりん……なんだっけ」
「ガトリング」
「そう……そんな感じ!」
メグムは相変わらず今度は男の人が背中に背負っている銃の話をしている。
……だから、がとりん、まで言ったら出るよね。普通ッ。
そうこうしていると女の子が僕達の目の前についた。
「大丈夫ですか!?」
また聞かれたけど……痛くは、無いんだよな……
「大丈夫、です……」
答えると女の子は僕の目を見て、顔を近づけてきて
「大丈夫!? 大丈夫なわけありません!!」
と、言ってきた。
「wowっ!」
僕は驚き、変な声を上げて後ろに倒れてしまった。不覚。
「あぁ~、すいません! 大丈夫ですか!?」
こっ……怖い……すごい迫力だ。
女の人はみんなこうなのかな……?
女の人との初めての出会いは怖いものになった。気がする。
「傷は大丈夫ですか?」
と、僕の体を起こそうとしてくれた。僕はちょっと怖くなって手で穴を掘り、隠れた。
「あっ、そんなに動いたら傷に悪いです……ていうか、なぜ穴を……」
女の子も僕を追って来ようとするからメグムを盾にした。
「オイッ、傷見てもらえよ~」とメグムが言うが、メグムも気づいているはずだ。
傷がもう塞がっていることを。
どうしてかはわからないが、傷はもう完全に塞がっている。
女の子に伝えたいが、うーん、どうも怖くて話せない。
「そうです! 傷を! 早く! 見せて下さい!」
ひっ! やっぱりすごい迫力だ。
「ハハ、怒鳴ったりしたらダメですよ?」
バイクに乗っていた男の人がこちらに来ていた。
「あっ、すいません……」
ちょっと怖かった女の子がいきなりしぼみだした。
ちょっと以上は断じて認めません。
それはそうと、スゴイ人だ。
「仲間がすいません。彼女は怪我人を見るとあぁなってしまうんです」
別に謝ることはないのに。
ただ、一生懸命なだけなんだし。
僕のかわりにメグムが大丈夫です、と言ってくれた。
「私の名前はショウタ、こちらはアヤメ、あっちにいるのがカイトです」
そう言って頭を下げてくれた。
アヤメという女の子も続いて頭を下げてくれたが、カイトという男の子は銃を見ている。
「俺はメグムです。こっちはワタル、こっちがヒカルです」
と、メグムも頭を下げたので僕とヒカルもそれに続いた。
「私達は今みたいな奴らと戦っているんですが……色々とあなた達と話がしたいんです。少し、時間をいただけませんか?」
メグムは少し考えて、
「いいか?」
と、僕に聞いてきた。
ヒカルになんで聞かないのか、不思議に思ってヒカルを見る。
「ヒカルはお姉ちゃんのところに行ってやれよ」
そう、メグムがヒカルに言った。
ああ、そうか。なるほどね。
ヒカルが少し笑顔に見えた。
「それじゃあオイラはここでっ」
ヒカルが走る構えになった。一刻も早く逢いたいんだろう。
「明日の夜に、またここな」
夜? なんか曖昧だな~。と思ったが、ヒカルは
「おっし、わかった」
タカタカ走っていってしまった。
メグムが僕の方を見てきたので僕は、「うん、別に大丈夫だよ?」
と、言った。
メグムがOKのマークを出すと、ショウタという人は走ってきた車に手を降り出した。
車を指を指して、「じゃあアレに乗ってくれませんか」と言われた。
「わかりました~」
「わかりました……」
僕は穴から出て、メグムに続いた。
「隊長ー。来ましたよー。」
止まった車から男の人が出てきた。
隊長と呼ばれていたってことは、やっぱり本当に何かと戦っていそうだ。
「ありがとう、セイヤ」
ショウタという男の人は僕達より年上に見えるが、セイヤと呼ばれる人も年は変わらないようだ。
それにしても、メグムは年上相手に余裕が見える。
「あの……」
つくづくメグムの余裕には驚かされる。
「あのぅ……?」
なんでなんだろう。
「あの……!!!」
「うおっ!?」
考えていて気がつかなかったが、いつのまにかアヤメという少女が近づいていた。
また顔を近づけられて、
「車に乗ったら、ちゃんと傷見せてくださいね?」
「え、ああ、ええと、ええ?」
「……いや、傷を見せるだけだぞ……別になにも怖くは……」
メグムに正論を言われた。
「え、ああ、はい」
思わず答えてしまった。
「わかりました! 先に乗っています。ショウタ隊長。私は車で帰ります」
「あぁ。わかったよ」
と、言ってしまっていた。
「本当に悪いね。さっ、乗ってくれ」
僕はメグムの後ろから車に向かった。
何気なく自分の立っていたところをみると銃の弾があった。
一つは形がそのままだったが、もう一つは凹んでいるというよりは原形がわからないくらいにぺちゃんこだ。
すごく気になるが、
「おーい、ワタル~」
「あっ、ゴメン。今行くよ」
メグムに呼ばれたので車に急いだ。
車はさっきほど大きくはなかったがそれでも大きい方だ。
車に乗り込もうと右足を車に乗せる。
やっぱり、あの銃弾が気になってもう一度見てみる。
弾が二つ転がって、少し動いた気がした。
うたれたお腹に手を当てると、傷が少しむず痒かった。
僕は顔を上げ、左足も車に乗せた。
ワ「さあ始まりました、ドッキドキの宣伝タイム。次元を超えて!」
メ「急にテンション上げて、どうしたん?」
ワ「なんか、宣伝するらしいよ?」
メ「え、マジで?」
ヒ「急だなしかし……」
ワ「確かにね……」
紅「こんにちは」
ワ・メ・ヒ「!?」
紅「日常日記からきました、作者の紅夏です。よろしく」
ワ「あ、うん、よろしく」
メ「……作者?」
ヒ「作者……、って、確かこの世界を作ったって噂の……?」
紅「あ、違う違う。」
菊「これを作ったのは俺!」
ワ・メ・ヒ「!!?」
菊「ま、俺達の事は、下にある作者のマイページって場所から、日常日記って場所に行ったらわかると思う」
紅「あ、先走りおったな、菊田君……」
菊「そんなわけで俺達が送る、」
紅「俺が友達の皆とリアルで起きた事をかきつづるだけの小説(?)」
紅・菊「日常日記!」
紅「詳しくはweb(嘘)で」
紅「……さて、帰りますかね、リアルに」
菊「そうだな」
ワ「……なんだったんだ……」
メ「……宣伝、か……」
ヒ「……リアルって、どこだ?」
ワ「……さあ?」
メ「……俺達も、行くか!?」
ヒ・ワ「マジで!?」
紅「……というわけで、日常日記。皆様、どうか、よろしくお願いします」
宣伝失礼しました~。
ちゃんちゃん。