第十一章
今回、色々あって投稿が遅れる、との報告がありました。
菊田君に代わって私が、謝辞を送らせていただきます。
すいまっせんでしたぁぁぁぁぁーーー!!
ワタルには普通じゃない何かがあることはわかった。
今まで起きたことをを整理すると、
ワタルは血のついた手で石に触れた可能性が高い。
その石は宇宙からの落下物である。
石には血に反応するようになっていて、それには疑惑つき。
ワタルは普通の反応よりはるかに高い反応を起こした。
石によりワタルの傷がふさがり痛みが消えた。
…………ッあー!!
やっぱり、どう考えたって最後の一つが分からない。
俺は自分に対するイライラで、頭を掻き毟った。
いくら、宇宙という広大な【未知】からの石だからっておかしい。
普通に考えたら変だってわかるし、
それでも、それしか説明ができないことだってわかる。
頭の混乱をどこかに放り投げたくなるのは、もう仕方ないんじゃないのか?
「……大丈夫かイ?」
「いや、はい……大丈夫です」
完全に自分の世界に入って考えてしまっていた。
コースケさんの声がなかったら、そのまま深い奥のところまで考えすぎて、もう嫌になってたんだろうな。
もう少し嫌になってるんだけど、そこはまぁ置いておく。
「……無いんですか?」
「何がだイ?」
あぁ、ダメで元々だ。
素直に聞いてみるしかない。
「ワタルの事、今ワタルに起きてる事を、全部、全て知れる方法とか無いんですか?」
これさえあれば、全部どうにかなる気がするんだけど。
「まあ、方法はあるヨ」
……あるのか!?
じゃあ、一体どうやって?
「方法って! 方法って……一体なんですか!?」
「簡単サ。ワタル君の血をあの石につけるんだヨ」
ああ……確かにその通りだ。
「でっ、でも! あの石は? あの石はあるんですか!?」
「それが無いのが、唯一のポイントなんダ」
それを聞いて俺は苦い顔をし、地面を見つめて黙ってしまった。
ぐっと拳を握る。
分からなかった。
それが、悔しい。
そんな俺を見てコースケさんも黙ってしまった。
少しの静寂の後、
「……そうだな。やっぱりワタル君が撃たれたところに行ってみる……。今は、それしか方法は浮かばないみたいだしね」
ショウタさんはそう言って、ガッ、と椅子が倒れるくらいの勢いでたった。
「!? ちょっと、隊長!!」
コースケさんの語尾が少し強くなった。
「コースケはメグム君と一緒に他の方法を考え出すんだ」
ショウタさんの言葉は、なぜか断れないような雰囲気を感じた。
それでいて、どこか諭すような響きを含めていた。
それをコースケさんも感じとったのか、
「……ハイ、わかりました。でも念のため、気をつけてくださイ」と、自ら身を引いた。
ショウタさんは、コースケさんの言葉に「あぁ」と一つ頷いて、
「メグム君。あとは頼んだよ! 石は僕が見つけてくる」
そういって部屋を出て行ってしまった。
「……隊長がああ言ったんダ。僕たちは何としても方法を考えよウ!!」
行き詰った様な顔をしていたコースケさんだったが、ショウタさんの言葉の所為か、今は引き締まった顔をしていた。
ショウタさんには失礼だけど、あまり人を引き連れる様な、リーダーという感じがしなかった。
なんだか冴えないというか、迫力がないというか。
それなのに、石の話になった瞬間目つきが変わり、話す言葉には迫力がでた。
気迫と言っても間違いではないだろう。
言葉には迫力だけじゃなく、説得力もあった。
まさに、リーダーと言うべき人だった。
驚かされたこともあったけど、何より少し憧れた。
自分があの立場だったらどうしただろうか?
たぶんこの部屋で回らない頭を抱えて、足踏みでもしてるんだろうか?
でもなんでこんなにも色んなことを考えてるんだろ……
「はい、考えましょう。どうにかして……って、あれ?」
ふと疑問に思ったことがある。
「……? どうしたんたんだイ?」
「あの。まず、ワタルに聞いてみませんか?」
考えたら、石に最後に触れたのがワタルだとしたら、今あの石の場所を知っている可能性が一番高いのはワタルじゃないか。
色々なことを考えすぎて、こんなに単純な方法を忘れていた。
灯台下暗しというやつか。
「そうだネ。まさかそんなところ見逃しているなんて……! よし、ワタル君の検査が終わったら聞きに行こウ」
「えっ、検査?」
俺はコースケさんがさらっと言った言葉に、すぐに反応してしまう。
「あ、そうカ! すまない、言ってなかったかナ。今、ワタル君は血の検査をしてるんだヨ」
いやいや、そんな重要なことをなんで言ってくれないんだよ!?
思わず心の中でツッコミをいれてしまった。
だって、血の検査があるなら石なんてなくてもわかるんじゃないか?
「でも、それなら石が無くてもわかるんじゃないですか?」
「それはわからないヨ。検査といっても石の反応後を調べるわけじゃないからネ」
じゃあ何を調べてるんだ?
「この検査は石に触れる前の血が、あのファイルにあった血にどれだけ近いかを調べることなんダ」
「それならファイルにあった血よりワタルの方が凄かったら、分からないんじゃないですか?」
「今回はそうかもしれないナ。ハッハッハ、検査の結果が意味ないとはネ」
しかし、なんでワタルだけを検査したんだ?
一応俺も人間だ。
血は流れてるんだけど……
そんなことを考えていると、「ああ、これが終わったらメグム君も検査を受けてくれないかい?」とコースケさんが言った。
「ハイッ。何もないと思いますけど」
コースケさんは少し笑っている。
俺もコースケさんもやっと見えた兆しに、少し力が抜けていた。
「……ふ~……」
背もたれの無いイスに寄りかかろうとして、少し体勢が崩れた。
体勢を立て直しコースケさんを見て、
「コースケさん、結局ワタルは」と言いかけたところで、こんこん、と控えめなノックの音が部屋に響いた。
「すいません、アヤメです。レイナさんから検査結果を預かってきました。……隊長はいますか?」
「ふむ、アヤメか。こちらはコースケなんだが……隊長はいないから僕にみせてほしイ。入ってくレ」
そういうと、すこし時間をおいて「はい!失礼します」とアヤメさんが入ってきた。
アヤメさんは俺に気づき、軽く頭を下げて「どうも」とだけ言ってきた。
俺は至って普通に、「はい、どーも」
と答えたが、どうもアヤメさんは緊張しているように見える。
……コースケさんが苦手なのかな?
結果の紙を渡す手が少し震えているように見えた。
「これなんですが……。お願いします」
「ありがとウ」
コースケさんは手に持った紙をゆっくり見ていく。
あぁは言ったけど、確認するのが緊張するのは仕方ない気もする。
紙を見たコースケさんが少し残念そうな顔をした。
やっぱり反応は分からないものだったのか。
「ダメでしたか?」
「ん、珍しいことは確かだけど分からないのも確かだヨ。こんな結果は……あれ?」
言葉が切れ、コースケさんの顔から苦笑いが消えた。
それから机の上にあるファイルを乱暴にとり、ばたばたとページをめくり始める。
焦っている様で、ページはくしゃくしゃに折れてしまっている。
突然すぎて俺はアヤメさんと顔を合わせてクエスチョンマークを浮かべている。
「あっタ!! あったぞ!! これを見てくレ!!」
そう言ってコースケさんは、俺の前にファイルの1ページと検査結果のかかれた紙を並べて見せてきた。
「こっちのファイルの方は石に触れている途中の血を検査したものなんダ!! 言ってしまえば、黒い石の反応をしている血なんダ!」
そう言って、ファイルの方に視線をおくっている。
「そしてこっちは、さっきワタル君を検査した結果なんダ!」
今度は、そっちの紙の方にコースケさんの視線が行っている。
俺も両方を見比べてみる。
あれ?
ワタルの結果はファイルの血の結果を、全て上回っていた。
そのうえ、同じものが全てあった。
もっと言うと、ワタルの結果はファイルには無いものさえ集めていた。
「ワ、ワタルは……、まだ、反応を続けている!?」
「そうなんダ!! ワタル君は、反応を続けている!! ワタル君は、あの石を持っていたのか!?」
違う、ワタルが石を持ってるわけない!!
あの時は、【よく分からないが、敵だと思うやつらが探していた黒い石】くらいしか分かっていない。
つまり、ワタルがそれを重要だと思い、あんな重い石を軽い気持ちで持っていく訳がない。
というか、そんなのを持っていたら誰だってその状況に気付くだろう。
「なんであいつはあんな重そうな石抱えてるんだ?」と。
なんでだ……?
わからない。
分からない。
どうしたら、分かるんだ!?
「なんで、ですか!?」
コースケさんは少しうつむいてしまった。
「く、それは僕にモ……!」
なんでなんだ……?
どうしたら分かるんだ。
そうだ。
「そうだ……!」
「「ワタル (君)に会いに行こう (ウ)!!」」
俺とコースケさんは、一瞬視線を合わせて立ち上がった。
アヤメさんは驚いて、「あの、どういう事ですか?」と、立ち上がってオロオロしている。
「ワタルはどこにいるんですか!?」
俺の質問にアヤメさんは口をあわあわとさせ、
「えっ、あの……たぶん、検査してから移動してないと思います!」と、言った。
考えたら、俺はその場所を知らない。
「クソッ、どこだ!?」
「場所は僕が知ってル! メグム君、ついて来てくレ!」
俺はコースケさんの言葉に頷き、扉を出るコースケさんの後を追った。
廊下を走り、エレベーターの前に立つ。
コースケさんは、一度緑のボタンを押す。
すぐに扉は開いて、中に入る。
すぐに青のボタンを押すと、フワッという感覚と共にエレベーターが動き出した。
二人して貧乏ゆすりをし、気づいてはやめるを繰り返す。
この時間は妙に長く感じた。
何秒かすると、扉が開いた。
コースケさんのほぼ横を走る。
いくつもある扉の中からコースケさんは一つを選び、扉を開ける。
コースケさんは「すまない! 失礼するヨ!!」と言い、俺は「ワタルッ!!」と、叫ぶ!
最後の終わり方が斬新ですね!
ふむ、次が早くなるといいな……
では、また次まで、またお会いしましょう。