第92話 密室での特別指導
「アランくん、魔法陣学ちっとも進まないわね。獄炎魔法を再現できるほどの天才なのになぜなのかしら……さっぱりわからないわ」
「僕にもわかりません」
なんでだろうね。
魔法の深淵を覗きたい、みたいな欲望はないんだけどできないとなんかモヤッとする。
「今日はここまでよ。明日は私、お休みだから。魔法陣学から離れてみたら何かつかめるかもね」
◇◇◇
そして魔法陣学の教室から出たところ。
「推薦入学のアランだな。特別指導室へ来い。拒否はできんぞ」
とスキンヘッドの教官から呼び止められる。
迷彩柄の服の上からもわかる筋肉の形は、言っちゃ悪いが魔法学園には場違いだ。
身体強化魔法を極めた教官っていう可能性もあるけど。
「へっ、とうとう捕まったぜアイツ」
「特別指導室に呼ばれた者の末路か……改心か死だな」
「指導室、マッチョな教官、無垢な少年。何も起きないはずがなく……」
その場に居合わせた生徒がざまぁみろという顔でこっちを見ている。
「さっさと来るんだ!」
スキンヘッド教官がお怒りだ。
「はーい」
◇◇◇
特別指導室のドアが閉められる。
軽く40人くらい収容できそうな広い部屋だ。
「平民風情が調子に乗っているようだな。魔道具をもたせたガンマ様を全身骨折と内臓損傷させやがって、覚悟はできてるんだろうな?」
重力魔法で自爆したどこぞの坊っちゃんのことかな。
「ガンマって誰?」
「副学園長デルタ=フィボナー侯爵様のご子息、ガンマ=フィボナー様だ! お前誰に手を出したか確認してねえのか、迂闊なやつだな」
「向こうから手を出してきたんです、しかも名乗らなかったから名前知られたくないのかと」
「どこまでも可愛くないガキだな。おい、入ってこい!」
そして、ズカズカと特別指導室に入ってくる筋肉男たち。
「こいつが今回の指導対象か?」
「小綺麗な顔、グチャグチャにしてやりてえなぁおい」
「そのすまし顔、壊したい」
「おらっケツだしなっ、教育してやる。おしりペンペンじゃないぞ」
スキンヘッド教官が僕を見る。
「こいつらは筋肉による裏の教育部隊。公式には存在しない。魔法職は異常に打たれ弱いからな、震えて恐怖しろ!」
公式に存在しない……、何してもいいってことですね、やったー!
「お前ら、やれっ!」
「「「「おう、『威圧』!」」」」
ガチムチ四人組からの威圧。
普通ならこれだけで心が折れるやつだ、絵面も含めて。
「大の大人四人で威圧するとか恥ずかしくないの? くらえ、『威圧返し』!」
僕はカッと目を見開いて四人組を睨み返してやる。
「ぐっ……」「動けん……」「何だこのガキ……」「ばかな……」
震えて膝から崩れ落ちる裏の教育部隊。
「さらに、『真夏の夜の悪夢』」
とっておきの【暗黒魔法】だよ、存分に味わってね!
紫の煙が彼らを包み、眠りに陥れる。
「がっ、それ以上は首の骨が折れるっ……やめてくれ」
「痛い痛い、腕はそっちには曲がらねえんだっ……」
「棘の鞭は痛いっ、皮膚が裂けるぅ!」
「その穴はそんな物を入れるところじゃあ……ア〝ーーーッ!」
『真夏の夜の悪夢』は今までの自分の悪行を無理やり夢の中で体験させる魔法だ。
うなされている彼らの内容からするとたぶんそういうことを生徒にやってきたのだろう。
「ちぃっ、使えん奴らめ!」
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】【疾風迅雷】【闇精霊の守護】【怪力乱神】【雷神剣】【強運】【晴嵐魔法】【謙虚】
ランク:シルバー(アリサ:ゴールド)
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