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蹴鞠と糸のフィールド  作者: やしゅまる


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第26話『守り人の系譜』

欧州の寒さが肌を刺すなか、スタジアムの大型スクリーンには、熱戦の様子が映し出されていた。リヨン・ルミエールの中盤で躍動する花村いとの姿。彼女のプレーは日増しに輝きを増し、現地メディアも称賛の声を上げている。


一方、遥か離れた日本の久留米。テレビの前には、久留米FCレイヴンズの守護神、桐生ほのかと頭脳派ボランチの志摩舞子が並んで座っていた。試合の一部始終を食い入るように見つめる彼女たちの表情には、誇りと安堵が混ざっていた。


「ほのか……あの子、完全に“兵法家”になったわね」舞子がつぶやく。

ほのかは頷きながら答えた。「そうだな。いとはもう、ただの選手じゃない。戦場の軍師だ。」


テレビ越しに映るいとは、鋭い視線でフィールドを睨み、味方の動きを細やかに調整していた。彼女は今や、単なるプレーヤーの枠を超え、チームの「守り人」としても存在感を放っている。


試合後のロッカールーム。いとはチームメイトに静かに語りかけた。「わらわには、常に後ろに、信じてくれる“守り人”たちがいる。彼らの存在が、我が舞いの根底にあるのじゃ。」


ふと、過去の記憶がよみがえる。久留米での日々。ある試合での激しい攻防の中、CBでキャプテンのほのかが言った言葉が耳に蘇った。


「守るということは、単に敵を防ぐことじゃない。見守ることだ。仲間の背後に立ち、みんなの歩みを信じること。それが私の使命だ。」


その教えはいとの心に深く刻まれていた


欧州の練習グラウンドで、クロエ・モンフォールが問いかける。「君の背後には、何人の戦友がいるのか?」


いとは微笑みながら答えた。「幾星霜の、声の記憶……それこそが我が力にござる。」


彼女の言葉は、まるで遥か遠い時代から受け継がれてきた絆の象徴のように、静かにチームに響いた。


その夜、リヨンの空に冷たい風が吹き抜ける。いとは藤の紐をぎゅっと結び直し、胸に秘めた久留米への想いと共に、新たな戦いへの覚悟を固めていた。


「我らは一人ではない。共に戦う“守り人”がいる限り、道は必ず拓けるでそうろう。」


遠く離れていても、心は確かに繋がっている。いとは新たな風を感じながら、次の舞台へと歩みを進めていった。

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