表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼き英雄  作者: 雨宮結城
第二章 過去編
8/9

第7話 ともだち

~六年前 とある森にて~


「おいアスタ、今日も始めようぜ」


アスタに勝負事を提案するフーマ。ノネとサラにすらまだ会っていない時、二人はどこにでもある村で育ち、決して裕福とは呼べるものではなくとも、毎度一対一の勝負をしたり、モンスターを倒したりと、幸せな日々を送っていた。


そんなある日、村の近くに強力なモンスターが目撃されると言う情報を受け、当時ランク一位の上級剣士サラと、上級剣士という肩書きこそないが、最強剣士ノネ。


この二人がモンスター討伐の為、村を訪れた時、アスタとフーマに出会った。


「なぁフーマ、あの二人剣士だよな?」


「ん? あぁ、ノネとサラな」


「フーマ知ってんの?」


「いや、俺はと言うか、剣士を目指してる俺達じゃなくても、誰もが知る有名人だろ。ランク一位のサラに、最強と言われてるノネ、逆になんでアスタ知らないんだよ」


「へぇ~」


「ここまでくると、アスタは天然ってより、世間知らずだな」


「失礼な……まぁ否定はできないけど」


「だろ? にしても、そんな二人が何の用だろうな?」


「あの二人じゃないと、対処できないモンスター……とか?」


「そんな奴いたか?」


話していると、木剣を握っているアスタとフーマに、ノネとサラは興味を抱き、話しかける。


「君たちは、村の子か?」


「ノネさん」


「おや少年、私を知ってるんだな」


「有名人ですから」


アスタとノネの会話を聴きながら、フーマは思った。人から聞いたことを、さも知ってたかのようにドヤるアスタを見て、なにをドヤっているのかと。


「こんにちは、私はサラと言います。貴方のお名前は?」


「フーマって言います」


「フーマ君、いい名前ね」


「ありがとうございます」


「礼儀正しいのね、フーマ君」


「あいや、そんなことは」


謙虚(けんきょ)なのね」


「意外ですか?」


「まぁ、年頃の男の子にしては、ね」


「そうですか。あの、聞いてもいいですか?」


「えぇ、なんですか?」


「今回来たのって、モンスター討伐ですよね? そんなに強いんですか?」


「具体的な事は話せませんが、まぁ手を焼いているみたいです」


「ギルドが手を焼くって」


冒険者ギルド、言わば剣士と言う職業を登録するハローワークの様な場所。


だが中の雰囲気は方苦しくなく、誰でもウェルカムな飲み屋的な場所。


そんな冒険者ギルドには、一般剣士から上級剣士を含め、何百人と存在している。


頂点にいるノネとサラを除いたとて、腕のたつ剣士はいる。


だが、そんな中にも関わらず冒険者ギルドは、頂点の二人を指名し依頼した。


「なぁ、ノネってそんなに強いの?」


「おま! アスタ! 流石に敬語使えよ!」


年上のお姉さんに失礼と感じたフーマは、アスタの頭を下げさせる。


「ちょ! フーマなにすんだよ!」


「お前だよアスタ! 流石に敬語!」


そんな二人の事を、弟の様に見ていたノネとサラ。


微笑ましいと感じていると、森の奥から、獣の叫びが聞こえた。


ノネとサラは標的のモンスターと感じ、剣を抜く。


「フーマ君、アスタ君をお願いね」


「あ、はい」


ノネとサラは気づけば目の前から消え、十一歳の子供では、到底追いつけない速さで、向かって行った。


「すげぇ……」


「なぁフーマ」


「ん?」


「見に行かないか?」


「アスタ……それはバカだって」


「あの二人の邪魔はしないよ、あくまで遠くから見るだけ」


「そう言う問題じゃ……第一俺らは」


「あー、聞こえなーい」


フーマの正論を聞きたくないアスタは、森の方へと走り去ってしまった。


アスタは見たくて堪らないのだ、最強剣士がどんなものなのか、そんな純粋さが、アスタを動かす。


「おいアスタ! あー……怒られる……」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ