第6話 昔馴染み
~ 同時刻 ・アスタとユキ ~
「もう少しで着くよ」
「!__ユキ止まれ!」
屋敷に急いで戻っている中、アスタは人の気配を感知し、ユキの腕を掴み、強引にでも動きを止めた。
「どうしたのアス……タ……」
「……」
切羽詰まった表情、普段のアスタからは想像できない雰囲気に、ユキは驚きと恐怖を感じた。
「__アスタ?」
「!__悪い……焦った」
「もしかして、今感じた気配のこと?」
いくら人の気配を感じたからとは言え、アスタの焦りに、ユキは不思議に感じていた。
普段のアスタなら、ここまで焦ることはもちろん、強引に止めるなんてことも無かったからだ。
「はぁ……はぁ」
「アスタ?……どうしたの!__息が乱れてるし、それに汗も(さすがにおかしい、今までアスタと一緒にいて、こんな事無かったのに)」
行き過ぎた焦りに、ユキは心配しながらも、アスタに言葉をかけ落ち着かせた。
「悪い。 ありがとうユキ、おかげで落ち着いた」
「ボクは大丈夫だよ。 いきなりでビックリしたけど、良かった。 もう大丈夫?」
「うん。 大丈夫だ」
「良かった。 じゃあ一旦戻ろう、ミユキ達が心配だし、帰ってからカナさんを」
「多分……カナさんは大丈夫だ」
「え? どうしてそう思うの?」
ユキがアスタと発言に疑問を持っている中、サオリからテレパシーで連絡が入る。
「(ユキちゃん、無事ですか?)」
「(サオリちゃん? うん、ボクもアスタも無事だよ。 でもまだカナさんが)」
「(それなら大丈夫。今私たちと一緒にいるから)」
「(え? どうし……なんで?)」
「(詳しいことは、戻ってきてから話すわ)」
「(分かった)」
受付係でレンの妹であるカナが無事な上に、今サオリ達と一緒にいる。 その情報に疑問を持ちつつ、サオリからの話を聞く為、アスタと屋敷へと戻った。
「お姉ちゃん」
「ミユキ、皆は?」
「中にいるわ。 入って」
屋敷の中に入ると、サオリ、レン、そして捜していたカナの姿があった。
「(一体、どうなって)」
ユキが疑問に思うのも、当然無理はない。サオリとミユキ、レンとカナも同じ感じだ。
ここで起きた事を話すため、サオリはユキに話しかけた。
「ユキちゃん達が来る前、ある人達がここに来たの」
「ある人たち? それって誰なの? サオリちゃん」
「誘拐専門の犯罪組織よ」
「え!? 大丈夫だったの!?__あれ、でも今……」
「うん。 ユキちゃんがそう思うのも、無理はないわ」
「撃退した。訳じゃ……ないんだよね?」
「えぇ、少し時間が経ったら、彼らは帰っていったわ。連絡が入ったとか言って」
「帰った? 連絡って誰から」
「分からないけど、その後一人の男が、カナさん連れて来て」
「え……その人って一体」
「見た事ない顔で分からなかったわ」
「サオリちゃん、結構交流深いのに、誰なんだろう」
「変わったピアス付けてたから、会ってたら気づくと思うんだけど」
「変わったピアス?」
「変わったと言うか、ピアスを付けたり外したりしてるみたいなの、取った後も残ってたし」
謎の人物に、女性陣が頭を悩ませていると、アスタはある人物の名前を出す。
「フーマだ」
「フーマ? 聞いたことないな、でも、どうしてアスタは知ってるの?」
ユキはアスタに聞き、答えた。
「昔、一緒にいた事がある。 ユキたちと会う前。ノネ、サラ、俺、そしてフーマ。 四人で集団を組んでいた時があった」
「昔馴染みってこと? でもボクたちを助けてくれた時、そのフーマって人いなかったけど、途中で抜けちゃったってこと?」
「いや、追い出そうとしたんだ」
「え? どうして追い出そうと、ん? 追い出せず抜けたってこと?」
「いや、隙を見て逃げられんだ」
「え……そのフーマって人は、結局何者なの?」
「フーマ、元ランク2位の上級剣士にして、現在、暗殺専門犯罪組織のリーダー。最悪の剣士だ」




