ご近所草刈り会
地域では恒例の草刈りの時期となった。
まだ地域の人とはきちんと顔合わせしていない文乃。
胸に少しの不安を抱えながら、集合場所へと向かう。
日曜日、早朝5:30、文乃は起床する
今日は地域の草刈りがあるので、7:00前には集会所に行かなければならない。
というか、30分前には大概の人が来ているらしい。
文乃は6:30になると、前日に用意しておいた、草刈り機と長靴を積んだ軽トラに乗り込み、集会所へと向かった。
...いない。
まだ誰も来ておらぬ。
とりあえず文乃は、缶コーヒーを買いに車を走らせ、少し時間を調整する。
6:40を越えたので向かうと...、みっちりおる。
文乃「ほんの一瞬で一気に増えたなぁ。」
新参者文乃は、人々の中、奇異な視線を浴びているかのように思いながら入る。
車から降り、挨拶をすると、思いのほか、みなさんあったかい。色々と事情聴取を受け、すんなりと受け入れてもらえた。
「こっちゃ帰ってきたつね、明るくなるばい♪」
「おっかさん最近膝を痛めとらしたけんね、文乃ちゃんが帰ってきたとなら安心たいねぇ♪」
「女の子でよぉ草刈りさきてくれたねぇ、嫁入り前だけん怪我せんよお、むりせんごつせなんばい。」
おじいちゃんおばあちゃん、おじさんおばさん、皆さんかけてくれる声も暖かい。
めっちゃアットホーム♪
というか、平均年齢の高さよ。これが現代日本の地方というものか。
私一人くらいでは、ほとんど平均値を下げれないね。
〜補足〜
文乃はすんなりと草刈り作業に合流しているが、
専門的過ぎなければ大体の機械農具、小型車両は使用できる。
前の仕事が閑散期に入った時などは、自社所有の土地を草刈りしたり、小型重機で整地したりもしていた。
学生の時などは父親の建築の仕事にバイトに行き、割と厳しく仕込まれていた。
なので、建築業接触年数自体は4年程あり、一人で型枠を組み、重機を操り、それほど大きくなければ、間知ブロックを積んだり、コンクリート擁壁を作るくらいの能力もある。
ちなみに建築関係の資格は中型ユンボだけ持っている。
〜補足終わり〜
皆が集まり、地区の決定事項の報告や告知などが行われた後、私のことも紹介してくれた。
「五ヶ瀬文乃です!この度、一念発起し、ふるさとに帰ってきました。若い頃は地域にあんまり居なかったので、面識のない方も多いかもしれませんが、どうぞ、母ともどもよろしくお願いいたします!」
8888888888〜♪
拍手で迎えてくれる。
和やかな雰囲気の中、自己紹介も終わり、
開始前報告会は閉会となる。
そして、
それぞれのエリアに分散しての草刈りが始まった。
一人が刈り始めると、そのある程度先から他の人が刈り始める。道反対でも、同様。
そしてその間を通っていくのだが、これがまたスリルがある。
何せ両サイドで草刈り機を回しているのだから、何かのはずみでこっちに振りかぶったらとんでもないことになる。
私は体を小さくして、早歩きで間を抜け、ある程度離れたところで草刈りを始める。
文乃「この人密度、こわ〜。このソーが体に当たったらって思うと...、うひ〜....。気をつけなきゃね、自分だけじゃなくて人にも当てないように...。」
...ひと区画刈り終える。
前で切っている人たちを追い越してゆき、またエリアを定め、入り、刈る。
終わり次第、また追い越して〜...。
...
少し経てばそんな状況にも慣れ、額に汗を浮かべながら黙々と刈って行く。
そんなことが繰り返されていくと、いつのまにか近所の山を一周していた。
文乃「あれ?ここに出るんだ〜。お、もう2時間近く経ってたのか、思ったよりも経ってたんだな〜。」
うっすらと浮かぶ汗をタオルで拭きながら呟く。
額の汗は、自分のやってきた仕事の量を物語っていた。
「文乃ちゃん、あと少しだけんね。あとは、ここの川沿いを切ってしまえば終わるけん。」
文乃「はい、ほんとだ。頑張ります〜。」
もうじき終わると思うと元気も湧いてくる。
心なしかみなさんの足取りもかるくなっているようにみえてくる。
残りの草も、みるみるうちに刈っていき、10時になる前には完全終了した。
「よいよ終わったね〜、ほんなら解散すっかね!」
文乃「おつかれさまでしたー!」
挨拶後、軽い談笑の後、一同は解散する。
...
文乃「さて、二回戦!やるか!」
文乃は車に草刈り機を乗せると、そのまま自分の山へと向かい、自分のための草刈り作業を開始した...。
そんな田舎暮らしでの日常の一コマ。
地域の暖かさに触れ、朝からいい汗を流した文乃はそのままの勢いを利用し、自分の仕事へと向かって行く。




