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入学試験 2

(やばい、屁ふりそう。)

試験中に猛烈な屁の衝動にかられた。

よし、後ろのやつムカつくから、屁をお見舞いしてやるか。


風魔法で屁の流れをアイツの憎き鼻の中に誘導。

よし!! 発射だ!!


『ぷぅ~』


「くっせぇ!!!!」

「そこ、私語厳禁ですよ!」


ざわついた会場。

試験監督の喝により元通りになる。


因果応報とはまさしくこのこと。

いい気分だ。


俺は心の中でガッツポーズをかました――




――― * * * ―――




午前の筆記試験を終えて、お昼休憩に入っていた。

午後からは実技試験だ。


外で食べるにちょうどよい天気。

座す場所は、校庭前の丸ベンチ。

朝から決めていたことだ。

中央に植えられた木の陰が、いい感じに太陽光を省いてくれる。


早起きして作ったお弁当を手に取り、一口めを運ぼうとした時。

後ろの席だったあの男が、複数の仲間を引き連れてやってきた。


「おい、さっきはよくもやってくれたな」


先程のお礼参りだろうか。

コイツはやり返さないと気が済まないタイプなんだな...


「眠気覚ましにちょうどよかっただろ? お礼ならいらないぞ」

「いや、そうはいかないね。 貴族たるもの頂いた礼はしっかりと返さないとな」


自称貴族の振りかぶった足が

俺の弁当箱を

――宙高くに舞い上げた。


「おまえにはお似合いの飯だな! 拾って食ってろ!」

「分かった。 俺にお似合いだというなら食べてみよう」


俺は四つん這いになって、地面に落ちたお弁当を食べてみせた。

少し砂利ッとするが、美味しいことに変わりはない。


「「おいおい、こいつマジかよ...」」

「お貴族様も食べてみるか? おいしいぞ」


顔を上げて貴族たちに問いかけるが、反応はない。

まぁ、食べないだろうな。


「ふ、ふふっ、地べたに這いつくばって飯を食べる。

 ところかまわずクソを垂れる。」

「何が言いたい」

「人間のやることじゃねぇよ!」


人間のやることじゃねぇよ、か。


「おいしいから遠慮するなってぇええええ!!!!」

「「ひぇっ!?」」


小柄な女にとびかかる。

服の裾を掴み、前後にゆさる。


「いいやぁあ!!」

「おいしいから! ね!? ね!?」


メガネ越しに涙ぐむ目に罪悪感を覚えながらも。

俺は彼女を揺すり続ける。


「何してんだ、おまえは!」


側頭部に軽い鈍痛。

その方角を見ると、自称貴族が右拳を握りしめていた。


「いくぞおまえら、バカがうつる。」


なんだか悪者の気分だ。

俺は何にも悪いことしていないはずなんだが。


俺は去り行く貴族たちの後ろ姿を見送った――


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