ニチニチノマラーン戦記
葬儀屋の前で上裸でスクワットを200回。
それが私天野宮ZEROの日課であった。
訝しむ店員の目線を余所に、
私は単調なその動きを加速させる。
「これで200回」
そう呟くと、私は仏壇にかけておいたジャケットを羽織って夜の街へと消えていった。
もう何年も前のことだが、私は兵隊だった。だが、正式な軍人という訳ではなく、所謂傭兵であった。
幼少期から学問には縁がなく、父も母も物心着いた時にはいなかった。そんな私が生き抜くためには、自分自身を売る他無かった。
何も人を殺すことが仕事という訳では無い、基本的には戦地の哨戒や、後方支援が主な業務だった。
私が前線に初めてたったのは18歳の時だったか。
ただの地域紛争だ。本当に小さな、だが、私はそこで初めて人を殺した。今でもその感覚は覚えている。震える手にニチニチノマラ。ニチニチノマラだけが、私の存在を、私が生きている実感を与えてくれた。
そこから先は早いものだった。実戦経験の豊富な傭兵として、ニチニチノ天野宮として名を馳せ、多くの人を屠った。
私が、30歳を超えた辺りで、転機は訪れた。
アナスタ平原と呼ばれる平地で起きた戦争だった。
私が体験した最大の戦争だった。共和国と帝国の国境紛争が、徐々に拡大し、ここまでの大戦となった。
私はここで傭兵部隊の副長を務めた。
「空気とセックスしろ!」
隊長の怒号と共に敵陣に雪崩込んだ兵士たちは皆その命を散らし、死別したマラは平原に埋まり、つくしの様に見えた。
私はこの光景に絶望した。私のニチニチノマラ1つでは同胞の命を救うことは出来ない。
それ以降私は傭兵を引退し、Twitterにパクツイをした後に下に案件を貼る仕事に就いた。
Twitterって楽しいんだな。
「あのアイドルの今が悲惨すぎる.....と、この下に脱毛の案件を貼ったら今日は寝よう」