第24話 イグリス会戦
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数日後 イグリス近郊 草原
「すごい光景だねぇ」
味方の隊列が足並み揃えて前進していく。
軍隊としては普通で見慣れた光景なのだが、甲冑に身を包み何メートルもある槍や弓を構えての行進は近代軍とはまた違った趣がある。
今までも見てはいたが急襲だったり奇襲だったりで落ち着かなかったのだ。
「よくそんな気楽に……ほ、ほら来た。敵も来たぞ!」
落ち着かないゴルラの言う通り、こちらの進路を横切るように敵がやってくる。
イグリスを発った俺達が行軍する敵を襲撃した形だが当然予期されているので奇襲にはなりえない。
敵も既にガッチリと隊列を組み、駆けることもなくゆっくりと接近してくる。
堂々と正面から会戦というのはこちらに来て初めてではなかろうか。
「時刻は昼前、天候晴れ、戦場たるは平坦な草原。これ以上ないぐらい真正面からの野戦だな」
バルベラ伯がそう言って笑う。
若干緊張の色が見えなくもないが、さすがにゴルラと違って堂々としている。
今回、俺は部隊を率いるのではなく伯爵の補佐を命じられていた。
「ですねぇ。まずは正々堂々と行きましょうか」
「イリア君使って卑怯な覗きするようなユーリが正々堂々ねぇ」
伯爵が呆れた目でこちらを見る。
それを言っちゃあだめだろうと俺もまたリシュを見――。
「ってリシュ!? なんでいるの!」
「しおらしく部屋に籠ってると思ってたら!」
慌てる俺とゴルラを見てリシュはふっと髪をかき上げる。
「矢とか積んでる荷馬車の下に張り付いてきたのさ! ……思ったより速くて死ぬかと思った」
荷馬車の下に張り付き、段差で跳ねる度に珍妙な悲鳴をあげているリシュが目に浮かぶようだ。
「なんでそんな無茶を……戦場が好きでもあるまいに」
「あぶねえから今すぐにイグリスに戻るんだ! なんなら俺が送っていく!」
だがリシュは首を振る。
「ええいうるさい! 来ちゃったんだから仕方ないでしょ! 今から戻る方が危ないじゃん。とっておきの防具もあるし大丈夫!」
「ううん……」
確かに会戦間近の今になって本隊を離れる方がリスクが高い。
まさか敵にリシュが戻るまで待ってくれと言えるはずもなく敵の斥候に遭遇する可能性もあるのだ。
あと強化した防具と言うのは、頭に被った鉄鍋と胸に吊り下げた洗濯板のことだろうか。
「やれやれ……リシュがいるんじゃ負ける訳にもいかないね」
「……それを伯爵様の前でよく言えるよな」
さて気を取り直そう。
ちょうど斥候も戻ってきた。
今にも接敵しつつある友軍はベネティア率いる右翼が歩兵800何某卿が率いる左翼が歩兵500、バルベラ伯爵直轄の中央が歩兵1000と後方に騎兵が400の布陣だ。お出かけ中の兵士300も合わせて全軍の3000人だ。
対して敵は主力に第三軍団、兵数は中央に1500両翼それぞれが1000、左翼側は装備から見て領主兵のようだ。見えないが後方にはこちらと同じ程度の騎兵もいるようだ。
当初の予定通り、数で若干不利だが場の勢いで挽回できないほどでもない絶妙なところだ。
上手く用意したものだ。
「さて始まるね」
両軍の距離がいよいよ詰まったところで、敵味方の弓兵が前に出て一斉に矢を放つ。
両軍の矢は放物線を描きながら空中で交差し、互いの頭上に降り注ぐ。
「盾構え――!!」
「防御――!!」
矢の雨がザっと降り注ぐも、各部隊は盾で矢を防ぐので大した犠牲は出ない。
運の悪い者と要領の悪い者が時折悲鳴をあげて倒れる程度だ。
「でも僕は運も日頃の行いも悪いからリシュは頭下げておきなよ」
「大丈夫! 私はどっちも最高にいいから!」
次の瞬間カーンと音が鳴る。
流れ矢がリシュの頭頂部に命中し鍋で弾かれたのだ。
「ほげぇぇ! ユーリのアホ! 私から離れろぉ!」
リシュは凹んだ鍋を放り出してゴルラの背中に隠れた。
ちらりとバルベラ伯を窺うと、流れ矢に脅える仕草はなかった。
「壮観ですねぇ」
矢の応酬が二度、三度と続いた後、弓兵が後ろに下がる。
「散兵前へ!」
敵味方の歩兵が鬨の声をあげながら前進して切り結ぶ。
その後方では長槍隊が隊列を組み、隊列の隙間を突破してきた敵兵を槍衾で阻む。
阻止された敵軍は無理攻めすることなく退いていき、味方もあえて追撃しようとはしない。
双方ともに小手調べといったところだ。
「すごいなぁ。これこそ中世の戦いだよ」
「まるで観客のように言ってくれる」
バルベラ伯が言う。
劇を見ている気分というのは間違いではない。
一度死んだつもりの身だから観客に近いのかもしれないな。
それに正規兵同士が戦場で戦うのは一番良心の呵責が少なくて気は楽だ。
「さて、そろそろいいでしょうか」
俺は尻の痛みを誤魔化すように馬に座り直す。
「うむ、ここからだな」
ここまでは開戦の儀式のようなものだ。
本当の戦闘はここから始まる。
「さてユリウス。どう攻める?」
「いやぁどう考えても、あそこ狙い一本でしょう」
俺はベネティアの前、敵の左翼を指差した。
敵の領主軍が陣取った左翼側しかも旗を見る限り複数の領主による混成軍だ。
迅速な動きが必須な野戦において指揮系統も曖昧な混成軍が弱みとなるのは明らかだ。
「ふ、当然だな。故にベネティアをあてた」
伯爵も承知とばかりに笑う。
ベネティア信頼されているようでよかったね。
両軍が勢いを増して再びぶつかり合う。
中央は矢の応酬と散兵の戦いが続いて拮抗しつつ、やはりと言うか右翼のベネティアは敵を押し込み始めた。
「進め! 進め! 敵を押し込め切り開け!」
小手調べではなく本気で敵を打ち破ろうとする攻めだ。
しかしすごい迫力だ。あの勢いだと胸も暴れ回っているのだろうか。
対して何某率いる左翼は押され始める。
まあ1000対500の寡兵なのだから仕方ないが。
「それにしても打つ手なく押されるがままか。奴の才を高く見すぎていたか」
伯爵の目が実に怖い。
俺もこう言われないように……いや別に失望されて放逐されたらそれはそれでいいのか。
「いかに右翼で押したとて、左翼が破られれば後方に回られるぞ」
「ええ、どちらが早いか競争ですね」
俺は伯爵の問いに飄々と答えて観戦を続けた。
「は、張り詰めた雰囲気だ」
「お、おいリシュ……んな場所からやめろって」
ゴルラの股から顔を出してリシュが言う。
この間見た淀みの魔物の失敗版みたいになっている。
そこでまたもヘロヘロと流れ矢が飛んできて、リシュの肩を掠めてゴルラの尻に突き刺さる。
「いだっ!」
「おわぁぁぁ! ええいユーリといいゴルラの尻といい、どうして矢を引き付けるの!」
ゴルラが理不尽だと言いながら尻から矢を抜く。
そもそも矢に勢いがなく、更に洞窟での経験で尻の布地を厚くしていたゴルラに怪我はなかったようだ。
緊張感のないやりとりの間にも右翼のベネティアはドンドンと敵を押していく。
反対に左翼側はそれと同じか勝るペースで押されていく。
「左翼へ援軍を送るべきか?」
焦れたのかバルベラ伯が聞いてくる。
「まだもちますよ」
簡単に返すと「そうか」と呟き、気まずそうに前を向く。
左翼は押されながらもなんとか隊列を維持し続けた。
そしてとうとうベネティアが先に領主兵を突き破ろうとした時だった。
「助太刀に参ったぞ!」
銀色の一団が崩れつつある敵領主兵を援護し、ベネティアの部隊を食い止めた。
「あれは?」
「ナヴィスの私兵か!」
私兵と言うが騎士団に近い。
装備も領主兵や軍団の兵より遥かに上に見える。
その中で一人の騎士が何故か兜を被らず金髪をなびかせ、鎧に施した赤い装飾を強調しながらベネティアに向かって駆けていく。
「おお、あの時の女騎士もどきではないか」
あの顔は……あぁ偽装農民の中にいた奴だ。
やはりナヴィスの配下だったようだ。
「貴様! やはりナヴィスの手の者だったか!」
ベネティアは怒声をあげて斬りかかるも相手は軽くいなす。
「怒り顔も綺麗なものだが、長々と睦事できる時ではないようだ。ナイト・ブーカ!」
そこにもう一人見覚えのある筋骨隆々とした騎士が現れる。
「騎士でもない女相手に二人掛かりなど不名誉極まりなし! されど勝たねばならぬ戦い。許せ!」
これはいけない。
俺とゴルラの目が合う。
「リシュを頼んだ!」
同時にゴルラが馬に乗って駆けだしていく。
それを見たマッチョ騎士、ナイト・ブーカは満面の笑みを浮かべて叫んだ。
「おお、もう一人来たか。ならば俺はこちらの相手をせねばならぬなぁ!」
「ふん。助太刀などいらん!」
といいつつもホッとした表情のベネティア。
2対2の戦いが始まった。
ベネティアと金髪美形騎士が切り結ぶ。
「相も変わらず美しい。何故戦場ではなく舞踏会でお目にかかれなかったのか」
煽りながら騎士は鋭い突きでベネティアの喉元を狙う。
「貴様こそ今日は農民の仮装をしていないな。それとも騎士の成りこそ仮装だったか?」
ベネティアも煽り返しながら突きを全て打ち払った。
『ウガァァァァァァ!』
『オォォォォォォォ!』
ベネティアが騎士の剥き出しの顔へ横薙ぎに斬りつけるも、男は紙一重で躱して逆にベネティアの首を斬り払う。
金髪が数本舞い散り、白い首筋から朱が飛んだ。
しかしこちらも紙一重で動脈には届かず、尚も追撃しようとする騎士の顔面をベネティアが裏拳で殴りつけると鼻から血が噴き出す。
『ぬん! ぬんぬんぬんぬん! ぬうん!』
『ふん! ふんふんふんふん! ふんん!』
「なるほど綺麗な剣筋だ。ご婦人方を魅了するのには使えそうだな」
ベネティアは首筋を手で軽く拭って嗤う。
「そちらこそなんとも力強い。粗野で我流、荒くれ者相手に剣舞すれば受けが良かろう」
騎士もまた、鼻から流れる血を絹のハンカチで拭って嗤う。
『おぉぉあぁぁぁ!』
『むぅぅぬぅぅぅ!』
美麗騎士がベネティアの目を狙って突き込む。
だがベネティアは稲妻のような突きを剣ではなく手甲の方で弾いた。
「なんと!?」
剣を跳ね上げられた致命的な隙を狙ったベネティアの斬撃は騎士の首を飛ばすかと思われたが、男は反対側の手でナイフを引き抜いて受け、絶妙の角度で受け流す。
結果、宙を舞ったのは首ではなく数本の輝く頭髪だけであった。
「非礼を詫びよう千人長。役に負けぬ見事な腕、貴殿には舞踏会よりも戦場がふさわしい」
「貴方の方も腕は見事だ。しかし所詮は敵、ここで葬らせてもらうぞ」
『ぐおぉぉぉ! くそったれこの野郎! こうしてやるぞボケナスが!』
『てめえこそ舐めやがって! 顔の形変わるまでぶん殴ってやる!』
「「お前らうるさい!」」
ベネティアと美麗騎士が怒鳴り、互いに落馬して取っ組みあっていたゴルラとナイト・ブーカの動きが止まる。
「ナイト・ブーカ! 貴様も騎士ならもっと優雅に戦え! 地を転がり回って殴り合うとは野人か!」
「お前に優雅さなど期待せんが静かに戦え気が散るだろう! また失神するまで上四方固めするぞ!」
ゴルラめ、あの風呂場でそんなことが……逃げなければよかった。
一騎討ちの結末を見届ける前に、いよいよ左翼が崩れかける。
「さすがにもう左翼は限界だ!」
自ら駆け付けようとする伯爵を止めて続ける。
「ええ、ここで左翼を後退させつつ外側を下げて陣形を斜めに傾けるよう指示してあります」
押されて潰れるように自然に左翼が傾いていく。
敵はこれを好機と見た。
陣形が斜めに崩れれば外側から迂回して後方を取れるからだ。
敵は気勢をあげながら左翼を回り込んでいく。
「うん。いいね」
「!?」
そこでバルベラ伯も気づいたようだ。
敵が左翼を外から回り込んだことで、敵中央との間に大きな隙間ができたのだ。
伯爵も一軍の将、この好機を見逃すはずがない。
「騎兵! 敵右翼と中央を分断せよ!」
後方に待機していた騎兵が一気にせり出して隙間に飛び込んでいく。
敵の右翼は騎兵に後背を突かれてたちまち動揺し始める。
距離が開いているので敵の中央も上手く援護できない。
苦し紛れに崩れかけている味方を無理攻めするも、陣が斜めに傾いたことで敵の攻撃は全て正面攻撃となってなかなか突破できない。
「形成逆転」
優勢だった敵右翼は後方から騎兵に襲われて完全に動きを止めてしまった。
敵騎兵が救援すべく慌てて駆けて来るが、これも想定内、むしろ望んでさえいた。
「敵の攻め手が止まり、機動兵力たる騎兵も投入してしまった」
俺はベネティアとゴルラの方に視線を戻す。
両将軍一騎討の間にも戦況は進み、領主軍は完全に敗走し始めた。
踏みとどまっているのはナヴィスの騎士達だけとなっている。
いかに精鋭とはいえ数も少なく重騎兵だけの編成では守り切ることなど不可能だ。
「ちっ寄せ集めが……ここで死ぬことはできんぞ。ナイト・ブーカ!」
「うむ全員ここまでだ。離脱する! またいずれ会おう!」
二人の号令と共にナヴィスの騎士達は一団となって離脱していく。
ベネティア率いる右翼全体から歓声があがる。
敵左翼の崩壊はもう止められない。
「支えようにも敵は騎兵を左翼援護に投入してしまっている」
伯爵が歯を剥きだして笑った。
まるで肉食獣だ。怖い怖い。
敵左翼を蹴散らしたベネティアはセオリー通りにそのまま敵全体の背後へと回り込んでいく。
「左翼完全に崩れました! 収拾不能です!」
「右翼部隊、未だに敵を突破できません! 増援の騎兵も乱戦で身動きが……」
「敵が回り込んできます! このままでは後ろを取られます! 部隊を回して――」
もちろんそんなことは許さない。
俺達のいる中央も猛然と前進を始める。
「敵の中央が前進してきます! 正面攻撃が来ます!」
「援護を出せば正面が危機に!!」
敵陣は見るだけで動揺の声が聞こえるほどに乱れ始めた。
「勝ったな」
伯爵がそう言った瞬間、今度は敵全体から歓声があがった。
なんと側面方向からもう一団の敵が戦場に向けて進んできていたのだ。
「敵新手! 兵数約3500!」
「街道を進軍してきます!」
「旗を……第二軍団! 敵は第二軍団です!」
「そうだろうね」
「ど、どういうこと?」
鍋を被った上で補給用の樽に入った完全防御リシュが転がりながら聞いてくる。
「敵が投入できる兵力はもっと多いはずだ。なのに彼らは『僕達がギリギリ勝てる』程度の兵力で正面からやってきた。その意味は別動隊との挟撃でもって、一撃でこちらを撃滅したいからに他ならない。敵を侮辱するのは良くないが見え見え過ぎる」
「あーもう! 勝ったなんて言うから!」
新手の数はこちらとほぼ同数か少し多い。
最初から2倍の兵力で来ればこちらが逃げてしまうと踏んだのだろう。
だがその上で。
「やはり僕達の勝ちだ」
火矢が打ちあがると同時に、街道を進む敵第二軍団側面の森から矢と魔法、投石機などあらゆる火力が撃ち込まれた。戦いの裏側で左翼から抜いた300とイグリス伯の兵士を森林に潜ませていたのだ。
もちろん規模としては知れているものの、攻撃を受けた第2軍団側にそんな情報はない。
混乱を収拾して応戦しようとするが、それは同時に行軍の足を止めてしまうことを意味する。
「総攻撃せよ!」
伯爵の凛々しい声と共に完全に後方に回り込んだベネティアを始め全部隊が攻撃を加える。
第三軍団はこれに耐えきれず、とうとう全隊総崩れとなって逃げ散った。
「さてこれで第二軍団だけだ」
第二軍団もちょうど伏兵を蹴散らして行軍を再開し、こちらも陣形を再び整えてそれと正対する。
「とはいえ来られたら連戦、少々厳しいかな」
そういうと伯爵はフンと鼻で笑う。
「第二軍団長のガルドリエスは有能ではある。あるが臨機応変さを持ち合わせておらぬ。当初の作戦が破れたとなれば」
第二軍団は動きを止めて逃げ散る第三軍団の残党を受け入れながら下がっていく。
微塵の隙も無い後退で見事なものだが……。
「やはり老いて硬いな。ああいうものは要らん」
「連戦せずに済んで何より」
敵としても数的優位のないままに挑んで第二軍団までやられたらそれこそ一大事だ。
破れたといえ第三軍団は壊滅しておらず、建て直せばまだまだ優勢だとの判断だろう。
戦術的にはその通りだ。
俺がもし総司令官ならこの場で戦っているけれど。
伯爵は大きく息を吐いて兜を脱ぐ。
汗で濡れた長い金髪が広がるのは女性にやられると最高なんだけれど伯爵だとなぁ。
「ナヴィスは主力を差し向けたが我々が勝った。この意味は大きいぞ。日和見共はこの一戦でナヴィスになびこうとする足を止めるだろう。もう一度勝てば次はこちらになびく……俺の目に狂いはなかったな。ユリウス、お前は有能極まる男だ」
「はは……それはどうも」
苦笑しながらお褒めに預かっていると意気揚々とベネティアがやってきた。
彼女は俺とバルベラ伯の間に割り込み『見事な戦いぶりだった』と褒められると跳ねるように喜ぶ。
跳ねる胸部を見て俺も喜ぶ。
ゴルラもヒイヒイ言いながら帰ってくる。
「皆良くやった。褒美は後に精査して取らせよう」
中世の軍隊で勝利の後と言えば酒と女となるのだろうが期待して良いだろうか。
「今はしばしの休養……そして戦力を整えて次は王都だ」
バルベラ伯は静かに笑い、ベネティアは首が取れるほど頷き、俺はひっそり溜息を吐き、樽から抜けなくなったリシュはゴルラに引っ張られながら悶えていたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
イグリス近郊 会戦
王太子派
第4軍団
参加兵力⇒戦闘後
歩兵2700⇒2500 騎兵400⇒350
イグリス領主兵
歩兵200⇒30
ナヴィス派
第三軍団
歩兵2700⇒1700
騎兵300⇒200
領主兵
歩兵1000⇒300
直属騎士団
100⇒90
第二軍団
3500⇒3480
本文後に戦闘損害など入れてみましたが不要だったかな……。
次回は日常回になりそうです。