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桜紅初恋(オウコウ・チューリエン)1月24日番外更新☆  作者: 白師万遊
┈┈••✼✿桜の章✿✼••┈┈
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第四集:紛い物と特別


 天上界内城(ないじょう)外城(がいじょう)を繋ぐ門、七福門(しちふくもん)が完成して一カ月、上位神(じょういしん)ルキはジッと神々の出入りを見つめていた。

 七福門(しちふくもん)楼門(ろうもん)の構造だ。一階に屋根はない。二階部分は高欄(こうらん)が設置されてある。十二本の柱は紅く、屋根は金瓦(かながわら)鬼瓦(おにがわら)箇所が七福神(しちふくじん)だ。(むね)の隅、帆立瓦(ほたてがわら)の部分も七福神が神々を見下ろす構図となっている。


 「――何してんの、ルキ」


 両腕を組んで動かないルキに、話しかけてきた男神(おがみ)上位神(じょういしん)リイガウだ。百合(ゆり)の耳飾りが風で(なび)いていた。


 「……品のない神が増えたなって、アイツらは(まが)い物だ」


 「紛い物、ってお前……、私達が生み出したんじゃねえか」


 ルキが言う紛い物の神、換言(かんげん)すれば上位神(じょういしん)外の神々だ。上位神(じょういしん)下位(かい)、翼を四枚持つ中位神(ちゅういしん)や翼を二枚持つ下位神(かいしん)上位神(じょういしん)が各々の神力(しんりき)で創った神々になる。万物の創造主、天上皇(てんじょうおう)創りし上位神(じょういしん)だが、彼らは父の無限で果てのない神力(しんりき)に及ばない。天上皇(てんじょうおう)の命で「神の御使(みつか)い」を増やしたはいいが、やはり、尊さを感じることはできなかった。


 「生み出したが愛着が湧かねえ。俺だけじゃねえだろ」


 ルキが横目でリイガウを一瞥する。リイガウは溜息を吐き、右手の平で(あご)を擦った。「まあ」と考えながら同調はする。


 「愛着が湧かない理由は、私達の子であって私達と異なった神々だからじゃねえの? 神力(しんりき)の波動や量、密度や純度が違うだろ。しかもアイツらが神力(しんりき)で創った子供や結婚して出産した子供、中級三神(ちゅうきゅうさんしん)となりゃ、翼はねえし神力(しんりき)も私達と雲泥(うんでい)の差だ。でもまあ……、父さんや私達の使いだし……、ルキお前もそんな目くじら立てんな」


 神々の御使(みつか)いの増加は天上皇(てんじょうおう)の計画のひとつだ。地上が豊かになった際、上位神(じょういしん)の数で大地すべての監視、保護は無理に等しい。必ず、彼らの手助けが必要になってくる。上位神(じょういしん)も納得の案件であった。


 「別に目くじら立ててねえよ。あと俺達の()じゃねえ、ジジイの思想の産物だろ」


 リイガウに諭され、低声で返すルキは露骨に唇を(すぼ)め、一部否定する。上位神(じょういしん)次男のルキは案外、子供っぽい性質だ。喜怒哀楽は双子の長男エルに比べ、表情に出やすい。


 「はあ……。ま、いいじゃねえの。私達にゃ末子(まっし)がいる」


 「――だよな!? アイツは俺達の、正真正銘、子供だ!!」


 天上皇(てんじょうおう)創りし最後の上位神(じょういしん)は、兄姉(きょうだい)の血と希望が細胞に組み込まれた唯一無二の存在だ。自分達の血が混ざって尚、同等で崇高、天上皇(てんじょうおう)に授かりし上位神(じょういしん)の宝だ。


 「ぅおッ、……おお、落ち着けルキ」


 突如、ルキに両肩を掴まれ、リイガウは前後に揺さぶられた。首がガクガク外れそうになっている。


 「さすがリイガウ、わかってんじゃねえか!」


 「いや、(みんな)、わかってんじゃねえ? てかお前、今回は子育て志願すんの?」


 新しい上位神(じょういしん)が誕生した場合、教育係として上位神(じょういしん)が数名、面倒をみる決まりだ。


 「あん!? 当たり前じゃねえか!」


 「当たり前ってルキお前な、シリスで失敗してんじゃん。シリスの意地(いじ)わ……、じゃねえ、茶目っ気はお前のせいなんだぞ」


 上位神(じょういしん)の五男、シリスはルキが育てた。結果、俺様気質で悪戯(いたずら)好きな男神(おがみ)に成長している。上位神(じょういしん)兄妹(きょうだい)は彼の無鉄砲な行為で度々、苦労していた。


 「失敗じゃねえよ。アイツは生命の死を司ってる。厳しい状況下で任務を(こな)す神になるんだぜ? 優しさは裏に隠させてんだよ」


 「……優しい一面はあるが……」


 ごく僅か、と言いたいものの、リイガウは口籠る。

 

 「だろ、任せろ」


 自信に満ちたルキは手入れされてある片眉を上げ、ビシッと親指を立てた。白い虹彩(こうさい)が太陽で銀色に輝いている、反射した煌きは神々しい。


 「……いや任せろってお前な、全員が志願してるし……」


 「よし、エルを脅してくる」


 「穏やかじゃねえ……って最後まで聞けよ。まったく、世話が焼ける兄貴だな」


 翼を羽ばたかせ、飛んで行ったルキの背中はすでに遠い。独り()ち、苦笑するリイガウはエルを助けに、ルキと同じ方角へ足先を向けたのだった。


 

おはこんばんは、白師万遊です(*ฅ́˘ฅ̀*)♡

今日も最後まで読んで頂きありがとうございます(*ˊᗜˋ*)/


感想、レビュー、評価、いいね、ブクマ、フォロー等々、

頂けると更新の励みになります(*´︶`*)謝


また次回の更新もよろしくお願い致します*_ _)ペコ

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