第二集:上位神
「――、てなワケで俺達に弟か妹ができる!! 各自、可愛い末子にどんな希望を贈ってやるか決めておけ!!」
上位神ルキが仁王立ちで、天上皇の御心を簡略に伝えた。眼前にいる十二枚の翼を畳んだ上位神達は、唐突な報告で一様に放心状態だ。彼らは長男の命でエルの宮殿、内城南に位置した厳かで静寂が漂う、斗拱の建築構造、正風殿に召集され、いまに至る。
正風殿は反り屋根で瓦は白い。外壁や柱も白だ。彼らが通された一室も床や壁は白いが、天上に精密で繊細に描かれてある竜や鳳凰の色は青い。
ルキの発言で沈黙が落ち、刹那、彼らは叫んだ。
「うっしゃあああ!!」
「やったああああ!!」
男神は拳を翳し、女神は抱き合い、喜んびを表した。
「きっと弟だぜ!!」
先陣切って予想をする男神はシュトリアだ。地上に雨を降らす役目を担った神、慈雨を司っている。一重瞼でキリッとした切れ長の目元、高い鼻筋に小鼻、小顔でシャープな顔立ちだ。服は上衣下裳、雄黄の漢服で襟や帯は路考茶色、靴は黒い長靴を履いていた。蒲公英色の長髪だ、前髪も同じ長さになる。親指を立てた彼の身長は210㎝と大きい。
「え~僕も僕も~!! 弟に一票~!!」
シュトリアと同調する男神はラファフィルだ。身体と精神を癒す役目を担った神で治癒を司っている、地上の自然活動に力を入れていた。二重瞼に若緑の眼睛、山根と鼻背、鼻尖が整う鼻の鼻翼は狭い。鉤眉が印象的だ。服装は常磐色の漢服、上衣下裳で生地は絲と光沢感がある。
前掛けは白い。靴は黒い長靴だ。若緑の髪は短髪で背丈は189㎝、細身だが体格はいい。
「やっぱ弟じゃんね!! 僕も仲間~!」
ふたりと一緒の意見の男神がいた。時間を司る神、クロスだ。天地の時の流れを正す役割を担っている。黒いリップを塗った唇、顎下に脂肪がない曲線美の顎、上顔は濡羽色の髪、刈上げマッシュヘアの前髪で見えない。服は上衣下裳、濡羽色の漢服を着用していた。長靴も黒く、全体的に黒で統一されてある。
身長は197㎝、手足はすらりとしていて体型がいい。左手に持つ約180㎝の杖は時空の杖だ。先端に付いた、高波動エネルギーを有する高品質の水晶は透明で美しい。
「んまあ、俺も弟だな。イジりがいがなきゃつまんねえ」
捻くれた要素を含ませ独言する男神はシリスだ。大地の死と復活を促す役目を担った神、生命の死を司っている。彼は白いフードが深いローブマントを纏っていた。表情は一切、窺えない。手元も長い袖口で覆われている、裾もマキシマム丈と引き摺っていた。背丈は2m30ある。
「はあ!? 弟!? 妹だっつの!! 妹がいい!!」
女神を希望する男神はキッドだ。川を絶えず流す役目を担った神、増大と水を司っている。二重瞼で藍目、目鼻立ちがいい。両耳に天然石、アメトリンの滴型ピアスを付けていた。
服は上衣下裳、藍色の漢服だ。前掛けは青藤と色合いがいい。靴は黒い長靴だ、2m20立っ端で迫力がある。黒髪はアップバングレイヤーソフトツーブロック無造作ショートと厳つい。
「さすがキッド!! 私も!! 妹だと思うわ!! 末妹よ!!」
女神アライアがキッドに加勢した。彼女は式典で舞う役目を担う神、典雅と優美を司っている。二重瞼に薄花色の目睛、美眉で潤沢な唇、目縁は水色の化粧が施されてあった。薄花色の長髪はリボンのハーフアップで結われてある。
服装は薄水色の漢服、襦裙だ。衿元が右前の短い上衣の襦、御納戸色の腰紐、下裙はウエストスカート状で可愛い。蝶々があしらわれた布靴を履いていた。右手に全長約32㎝、扇面約20㎝の、蝶々柄で可憐な古典円型団扇を所持している。男神と大差のない185㎝の背丈は彼女の悩みだ。
「うふふ、私も妹ちゃんに一票よ!」
女神エシュネが片頬に右手を添え微笑した。薄化粧の彼女は酒盛りの役目を担う神、舞踊と酒宴を司っている。二重瞼で紫色の慈眼、形のいい鼻、柳眉な眉、ふっくらした唇、端的に容姿端麗だ。紫苑色の髪は長髪でハーフアップされ、くるり、リボンが巻かれてあった。
服は漢服で襦裙を着用している。形状はアライアと変わらない。色は半色だ。羊の刺繍がされた布靴は彼女のお気に入りであった。左手に握る古典円型団扇も羊柄だ。180㎝の身長に特段、苦悩はない。
「……ふう。ま、アタシも妹がいいな」
女神アマトが煙管の煙を吐き出し独り言ちた。彼女は死者の審判において死者の過去の罪を裁く役目を担う神、法を司っている。シュッとした一重瞼で赤朽葉色の虹彩、鼻や唇は小ぶりだ、頬骨も主張していない。しょうゆ顔で美形だ。
服装は毛織製の黒い法服に身を包んでいた。襟は立襟シングルブレストのフロック型で袴、所謂、長ズボンを穿いている。襟の模様は唐草で刺繍は金糸だ。靴は黒いブーツを履いていた。右手の指で支えた煙管の雁首や吸い口は真鍮製、羅宇が竹製になっている。背丈は186㎝、本人曰くあと4㎝ほしいらしい。
「……私も妹かな」
白い柱に凭れ掛かる男神リイガウが細声で呟いた。彼は天上皇からの伝達と啓示の役目を担う神、行動を司っている。二重瞼で萌黄色の明眸、眉目清秀だ。
萌黄色のナチュラルボブの髪型で百合の耳飾りを両耳にぶら下げていた。服装は雄黄の漢服、上衣下裳を着衣している。靴は白い長靴だ。身長は198㎝、女性的な体付きで腰は細い。
「いいや男神だ!」
「いいえ女神よ!」
上位神達の「男神」か「女神」かの、小競り合いが始まる。見兼ねたエルが二回、両手を叩き、響き渡る音でようやく一帯が静まった。
「お前達、浮足立つな。特別な子だ、各々、末子に贈るに相応しい希望を考えておけ。明日、正午、創炎の間に集合だ」
「は~い」
長男エルに叱られ、背筋を伸ばす上位神達は間延びした返事をする。皆が表情筋を緩ませ、期待で膨らんだ胸の内を隠しきれていない。
「はあ……、仕方ないか」
「ハッ、だな」
苦笑するエルにルキが相槌を打ち、一笑したのだった。
♡おはこんばんは♡
白師万遊です٩꒰。•◡•。꒱۶
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