第一集:最後の……
天上界内城、上空に天上皇と拝謁できる、聖天の間はあった。
聖天の間は十二枚の翼を持つ、天上皇創りし上級三神の上位神しか、辿り着けない天と宇宙の狭間にある。
「――最後の上位神ですか!?」
天上皇が初めて創りし最高傑作の男神、上位神エルとルキ、双子の兄弟は同声を合わせ驚いた。双子と言っても若干、ルキのほうが声質は低く、顔形も似ていない。
長男エルは正義を司る男神だ。
白く艶めいた長髪を後頭部で束ね、白い紐で縛っている。ぱっちりした二重瞼の白い目は額と合わせて三つあり、長い白睫毛に山根と鼻尖が一直線の鼻、目鼻立ちがいい顔立ちで唇や肌は白い。
服装は光沢感がある白い漢服で、上衣下裳の装いだ。外衣の裏に着る單衫も白い、襟や帯の縁は金色で靴は黒い長靴を履いていた。
次男ルキは光を司る男神だ。
白くしっとりした長髪をハーフアップに上げ、団子状に結い、垂らしている。二重瞼で虹彩はエルと同色で白く、彼のほうが幾何か銀色がかっていた。すっきりとしている顎に鼻筋が通った高い鼻、鼻翼は狭い。黄金比率の骨格で欠点のない容貌だ。
服装は通気性に優れている麻生地の白い漢服、上衣下裳を纏っていた。下裳はマキシマム丈、裾が踝を隠す程度の丈になっている。單衫や襟、帯は黒い。
袖や帯に施された菊柄の刺繍は繊細で上品だ。両腕に嵌めている銀色のロングバングルが宇宙の星々の煌きを反射させていた。靴は三連チェーン付きの白い長靴を履いている。
背丈はエルが198㎝、ルキが203㎝だ。
「――ああ。最後の子だ。創炎の間にいる、今日で四日目だ。明日、お前たち上位神の血を一滴、希望を一欠片、遺伝子の本体に組み込もう。弟妹に伝えなさい」
「あ!? 四日だア!? ジジイ!! 四日も黙ってやがったのか!! しかも俺達の血と希望って……嘘じゃねえだろうな!?」
ルキが柳眉を逆立て天上皇に噛み付いた。
上位神は、父たる天上皇の神力を凝縮した透明で神聖な炎にて創造される。期間は八日間だ。つまり、すでに半分は経過していた。いつもは事前か、翌日に、福音が齎される。四日、知らされなかった経験はない。
加え、上位神の細胞の一部が入る弟妹は今回が初めてだ。
「――調整と安定の四日だ。目くじらを立てるな、ルキ。私はお前達に偽りを申さん。新しい弟妹だ、嬉しくはないのか?」
「……そりゃ嬉しいが……、クソ……、頭が混乱する。エル、お前よく平然としてられ……、んな」
ルキが隣で黙したエルを見、溜息が入り混じる語末が徐々に間延びした。エルは右手の指先で目頭を押さえ、涙は流すまいと耐えている。
「平然じゃない。数世紀ぶりの弟妹だ……。父上が仰るに、俺やお前、弟や妹、上位神の血と希望を継ぐ、特別な子が生まれる。父上、父上の愛に感謝致します」
拱手し首を垂れたエルは、溢れる謝意の言葉を震わせた。長男気質で中々、弱みを見せないエルが、感涙する姿は珍しい。
毒気を抜かれたルキは暫らく呆然とし、一拍後、エルに続いて拱手する。
「……祝着至極に存じます」
ルキは一先ず、弟妹の誕生をいまは喜ぶことにした。
原則、男神か女神かは問わない。それが上位神の謹みだ。
ふたりの頭上で、立体的な天の川の虚空にかかる神秘的な白いベールが揺れ、響いた天声が七色声で反響する。
「――下がって良い。明日の正午、創炎の間を訪ねなさい」
「はい父上、失礼致します」
エルが挨拶し、ルキと二人、内城に降りた。直後、ルキが叫んだ。
「っしゃあ!! やったなエルッ、俺達に弟妹が増える!!」
天上皇の御前で素直になれないルキは先程と違い、満面の笑みを浮かべている。エルは強く頷いた。
「ああ。早く知らせに行こう」
「みんな、ビビるぜきっと!!」
ルキはエルの左肩に左腕を伸ばし、上機嫌に掻き寄せる。前のめりになったエルは「っと」と一瞬で体勢を整え、微笑んだ。
春風で衣がはためくなか、目笑するふたりは、足早で目映い光に溶け込んで行ったのだった。
おはこんばんは、白師万遊です(*ฅ́˘ฅ̀*)♡
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