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桜紅初恋(オウコウ・チューリエン)1月24日番外更新☆  作者: 白師万遊
┈┈••✼✿桜の章✿✼••┈┈
111/134

第一集:最後の……

 

 天上界内城(ないじょう)、上空に天上皇(てんじょうおう)拝謁(はいえつ)できる、聖天(せいてん)()はあった。

 聖天(せいてん)()は十二枚の翼を持つ、天上皇(てんじょうおう)創りし上級三神(じょうきゅうさんしん)上位神(じょういしん)しか、辿り着けない天と宇宙の狭間にある。


 「――最後の上位神(じょういしん)ですか!?」


 天上皇(てんじょうおう)が初めて創りし最高傑作の男神(おがみ)上位神(じょういしん)エルとルキ、双子の兄弟は同声を合わせ驚いた。双子と言っても若干、ルキのほうが声質は低く、顔形(かおかたち)も似ていない。


 長男エルは正義を司る男神(おがみ)だ。

 白く艶めいた長髪を後頭部で束ね、白い紐で縛っている。ぱっちりした二重瞼(ふたえまぶた)の白い目は(ひたい)と合わせて三つあり、長い白睫毛に山根(さんこん)鼻尖(びせん)が一直線の鼻、目鼻立ちがいい顔立ちで唇や肌は白い。

 服装は光沢感がある白い漢服(かんふく)で、上衣下裳(じょういかしょう)の装いだ。外衣(がいい)の裏に着る單衫(したぎ)も白い、(えり)や帯の縁は金色で靴は黒い長靴ブーツを履いていた。


 次男ルキは光を司る男神(おがみ)だ。

 白くしっとりした長髪をハーフアップに上げ、団子状に結い、垂らしている。二重瞼(ふたえまぶた)虹彩(こうさい)はエルと同色で白く、彼のほうが幾何(いくばく)か銀色がかっていた。すっきりとしている顎に鼻筋が通った高い鼻、鼻翼(びよく)は狭い。黄金比率の骨格で欠点のない容貌(ようぼう)だ。

 服装は通気性に優れている麻生地の白い漢服(かんふく)上衣下裳(じょういかしょう)を纏っていた。下裳(したも)はマキシマム丈、(すそ)(くるぶし)を隠す程度の丈になっている。單衫(したぎ)(えり)、帯は黒い。

 袖や帯に施された菊柄の刺繍は繊細で上品だ。両腕に()めている銀色のロングバングルが宇宙の星々の煌きを反射させていた。靴は三連チェーン付きの白い長靴を履いている。


 背丈はエルが198㎝、ルキが203㎝だ。


 「――ああ。最後の子だ。創炎(そうえん)()にいる、今日で四日目だ。明日、お前たち上位神(じょういしん)の血を一滴、希望を一欠片、遺伝子の本体に組み込もう。弟妹(みな)に伝えなさい」


 「あ!? 四日だア!? ジジイ!! 四日も黙ってやがったのか!! しかも俺達の血と希望って……嘘じゃねえだろうな!?」


 ルキが柳眉(りゅうび)を逆立て天上皇(てんじょうおう)に噛み付いた。

 上位神(じょういしん)は、父たる天上皇(てんじょうおう)神力(しんりき)を凝縮した透明で神聖な炎にて創造される。期間は八日間だ。つまり、すでに半分は経過していた。いつもは事前か、翌日に、福音(ふくいん)(もたら)される。四日、知らされなかった経験はない。


 加え、上位神(じょういしん)の細胞の一部が入る弟妹(きょうだい)は今回が初めてだ。


 「――調整と安定の四日だ。目くじらを立てるな、ルキ。私はお前達に偽りを申さん。新しい弟妹(じょういしん)だ、嬉しくはないのか?」


 「……そりゃ嬉しいが……、クソ……、頭が混乱する。エル、お前よく平然としてられ……、んな」


 ルキが隣で黙したエルを見、溜息が入り混じる語末(ごまつ)が徐々に間延びした。エルは右手の指先で目頭を押さえ、涙は流すまいと耐えている。


 「平然じゃない。数世紀ぶりの弟妹(きょうだい)だ……。父上が仰るに、俺やお前、弟や妹、上位神(じょういしん)の血と希望を継ぐ、特別な子が生まれる。父上、父上の愛に感謝致します」


 拱手(きょうしゅ)(こうべ)()れたエルは、溢れる謝意の言葉を震わせた。長男気質で中々、弱みを見せないエルが、感涙(かんるい)する姿は珍しい。


 毒気を抜かれたルキは暫らく呆然とし、一拍後、エルに続いて拱手(きょうしゅ)する。


 「……祝着(しゅうちゃく)至極(しごく)に存じます」


 ルキは一先ず、弟妹(きょうだい)の誕生をいまは喜ぶことにした。

 原則、男神(おがみ)か女神かは問わない。それが上位神(じょういしん)(つつし)みだ。


 ふたりの頭上で、立体的な天の川の虚空(こくう)にかかる神秘的な白いベールが揺れ、響いた天声が七色声(なないろごえ)で反響する。


 「――下がって良い。明日の正午、創炎(そうてん)()を訪ねなさい」


 「はい父上、失礼致します」


 エルが挨拶し、ルキと二人、内城(ないじょう)に降りた。直後、ルキが叫んだ。


 「っしゃあ!! やったなエルッ、俺達に弟妹(きょうだい)が増える!!」


 天上皇(てんじょうおう)の御前で素直になれないルキは先程と違い、満面の笑みを浮かべている。エルは強く頷いた。


 「ああ。早く知らせに行こう」


 「みんな、ビビるぜきっと!!」


 ルキはエルの左肩に左腕を伸ばし、上機嫌に掻き寄せる。前のめりになったエルは「っと」と一瞬で体勢を整え、微笑んだ。

 春風で(ころも)がはためくなか、目笑(もくしょう)するふたりは、足早で目映い光に溶け込んで行ったのだった。

おはこんばんは、白師万遊です(*ฅ́˘ฅ̀*)♡

最後まで読んで頂きありがとうございます(•’-‘•)


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頂けると更新の励みになります(*´︶`*)♡


次回の更新もよろしくお願い致します٩(*´︶`*)۶

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