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《僕/俺の夢は......》

 

 ある日、親戚に俺を預けた両親は突如として俺を残して消えた。


親戚は、声を揃えてこう言った。


「親に捨てられるなんて、可哀想に」


「子供を捨てるなんて、親として人として最低」


「あんな親の事、はやく忘れてしまいなさい」


 うるさい...うるさい、うるさい、うるさい、うるさい‼︎お前らに、何が分かる⁉︎あの人達はそんな人じゃない‼︎父さんも母さんも、きっと帰ってきてくれる。僕は、僕だけは絶対に信じ続ける。



 そして、その日から待ち続けた。待った、待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った待った。


 待った...ただ、帰ってきて欲しい。また、会いたいと信じ続けた。朝も昼も夜も、春も夏も秋も冬も。ただ、願い続けた......。












 もう、疲れてしまった。身長が伸び、大人になった俺にはもう以前の面影など無かった。高校生になった俺はもう信じるのを諦めた。


 諦めてから、俺の生活は著しく変化した。


 友達が出来た。少し変わった奴だけど、面白くていい奴だった。

 ラノベ?を読む様になった。クラスの奴の紹介なのだが聞くところによると色々のジャンルがあるらしい。楽しみだ。

 叔母さんが、嬉しそうな顔をするのがふえた。叔母さんが笑うとなんだか俺も嬉しくなる。

 

 俺は、今幸せだ...。今まで、不幸だった分これから、幸せになって取り戻すんだ‼︎


「あぁ、信じる事を諦めて本当に良かった...!!」

















「きて...起きてください。大丈夫ですか...?」


 由良に、体を揺らされて目が覚める。どうやら眠ってしまったらしい。泣き疲れて、眠るとか赤ん坊かよ。


「ごめん、寝ちゃってた。なんか、あったの?」


「いえ...うなされていたので...」


 表情が一瞬強ばる。が、それを由良に悟らせる訳にもいかないので急いで笑顔になる。


「いや、怖い夢を見ちゃって。起こしてくれてありがとう」


 由良に、精一杯の笑顔で自分は元気だと振る舞う。大丈夫。演じる事には、もう慣れている。


「そう...ですか...なら、良かったです‼︎」


 何故か、歯切れの悪い返事をする由良だったがすぐに笑顔になる。一体、何かあったのだろうか?まさか...いや、それは無いだろう。


「あっ、お腹空いてませんか?すぐに準備しますね‼︎」


 由良は、林檎の様に赤い果実を切り分けてお皿に入れる。ここ毎日、果実しか食べて無いせいか今は無性に魚や魚が恋しくなる。


 その無意識な表情が、伝わってしまったのか由良は申し訳無さそうに俺の顔を見つめていたのだがそれを、俺は気づく事が出来なかった。


「ごめんなさい...私が、もっと強ければ...」


「ん?今なにか言った?」


「いえ、なんでもないです‼︎ささっ、あ〜ん‼︎」


















 二人で、ご飯を食べお風呂(俺は自分で体を拭く)のを済ませた後は、いつも会話をしていた。由良との会話は有益な情報ばかりだ。


 この森が、深き森といって危険な場所である事。上位種と呼ばれる化物クラスが最近この森に住み着いた事。この世界には、色々な種族が住んでいてその中に人間もいる事。


 人間が、この世界にいるなら会って話してみたい。もしかしたら、帰れるかも...いや、期待しないでおこう。


「あっ、あの‼︎私は、ご主人様を守る事が私の夢なんですけど、ご主人様の夢はなんですか?」


 俺の暗い顔に、なったのを見て気分を変える為に話題を振ってくれたのだろう。こんな子供に、気を使われるなんて。


「俺の夢か...。う〜ん?なんだろう?」


 期待するのを辞めた俺が叶えたい夢。そんな物果たしてあるのだろう?何か...夢...。


「ハーレム...かなぁ...」


 自分でもそれが出てくるのが意外だった。無意識とは言え、ここでハーレムだなんて答えるなんて。でも、言葉を止められない。


「俺はね、ハーレムが好きなんだよねぇ...彼は、彼らは、皆んなに無償で愛させれているから。何もしなくても愛される。だから...俺も」


 不安定な心は、上手く制御が出来ずに不意に本心が口から漏れてしまった。その事に、気づいて俺は急いで誤魔化す。


「まぁ、そんな冗談は置いておいて。うん、俺の夢はお腹いっぱい美味しいご飯を食べることかな?やっぱり、魚とか食べたいかな?」


「ツッ...!!そ、そうなんですね‼︎だったら、待っていて下さい‼︎すぐに、私が叶えてあげますね‼︎」






 俺は、自分の無茶な願いと少女のぎこちない笑顔に気が付かなかった。俺は、自分の事しか考えられなかった...俺は...最低だ。



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