《スライムが 仲間に なった》
夢を見た。深い深い記憶の底の靄がかかった古い思い出。だけど、突き刺す様な日差しと鮮やかな赤髪の少女の事だけは今も鮮明に焼き付いていた。
「大人になって〜〜〜〜たら〜〜〜〜しょう。絶対によ‼︎」
「分かった。ぼく大人になったら.........」
あの夏に口づけと共に誓った大切な約束。その筈なのに...大事な所だけどうしても思い出せない。その後の、
「もし、約束忘れたり破ったらしたらタダじゃおかないんだから‼︎」
という、ツンデレ発言と彼女の真っ赤な顔は思い出せるのに‼︎確か、この時とんでも無い事を言われて、それで俺は意味も分からず頷いた様な......気が...。
「ううっ...ここは一体...?確か、あの時、、、。そうだ‼︎はやく逃げないと」
急いで体を起こそうとするが、全身に鋭い激痛が走り起き上がることすら困難だと気づいた。しかし、例え動けなくともこの場所に居続けるのは危険だ。
パニックになりそうな、頭を落ち着かせる為に、深呼吸をする。
「すぅーふぅー すぅー......
「あっ、目が覚めたんですか‼︎良かったぁ...私このまま起きないんじゃ
「ブホォ.....ゲホッ...ウェ?」
誰も居ないと思って油断していた為か、後ろから聞こえた少女の声につい咳き込んで情けない声をあげてしまった。
「すっ、すみません。びっくりさせちゃいましたね」
「いえいえ、大丈夫......」
声の主の方へ目先だけを送ると俺は気づいてしまった。その少女の体が、青く透明な色の液体だけで構成されているという事を。
あどけない笑顔も、揺れるポニーテールも、幼さ残る体も全て液体で作られていた。
「それで、大丈夫ですか?足は、応急処置を施しましたが〜〜〜〜〜〜」
どうする?逃げるか?無理だ。逃げた所で、捕まるのが目に見えている。ならば、どうする?恐らくこの少女?は見た目からしてスライムだろう。よくあるRPGなら、初めの敵として出てくるのだが...。
「あの...聞いてます?」
「え?あっ、はい。もちろんです」
「それで、あの、もし良かったら私をお側に置いてください‼︎」
「はい?」
いきなりの急展開に、ついていけずについ聞き返してしまった。え?本当にどういう事?俺って、もしかしてドラ◯エの主人公だったの?
「だから、私...水野由良に...‼︎貴方を守らせて下さい‼︎お願いします!!」
少女は、頭を下げて真剣な眼差しで見つめてくる。どうやら、俺に危害を加える気はない様でひとまず安堵する。
「あっ、はい。こちらこそよろしくお願いします」
傷のせいで、頭を下げられ無いので代わりに小さく会釈する。すると、少女は
「やったぁぁ!!!やったよ、ママ‼︎私...‼︎」
まるで、今日が人生で一番最高の日だと言わんばかりに体全体を使って喜びを表す。その見た目相応の態度にいつの間にか緊張は解けており、ついつい俺の表情も笑顔になる。
「じゃあ、これからよろしくお願いします‼︎ご主人様」
「うん。よろし...ん?ご主人様?」
「はい!ご主人様はご主人様です。ママの本にこういう関係の時はご主人様と呼ぶって書いてありましたから!そして、メイド?はご主人様のご奉仕(意味深)をするのが仕事なんですよね‼︎」
先程までのあどけなさは、一体何処にやら。今の少女は、ドヤ顔でそんな事を言ってくるのだ。親御さん、なんてもん娘に読ませてるんですか。
それに、スライムといえ見た目は子供なのだ。そんな子に、ご主人様なんて呼ばれたら...やばいよね?うん。色々とアカン気がする。
「それで、ご主人様!どうします?折角なので、ご奉仕致しちゃいます?」
初めてが、ロリメイドスライム娘とかそれなんていうエ◯ゲ?なんか、色々な物失いそう。尊厳とか。
「うーん。よし、ご主人様じゃ無くて...ほら、あれ。そうだ、お兄ちゃん。お兄ちゃんって呼んでよ」
「お兄ちゃん‼︎」
うっ、なんだこの可愛い生き物。やっぱり、持つべき物は妹だな。さて、これで襲う理由も無くなっただろう。なんか、少し勿体ない気もするがこの選択は間違って無いだろう。少しだけ勿体無いけど。
「お兄ちゃんって、あれでしょ。妹とお兄ちゃんという血の繋がった兄弟が〇〇〇〇を〇〇〇して、〇〇〇〇するんでしょ‼︎それも、ママの本で覚えたもん」
「うん??????」
親御さん!!!どうなってるんすか⁉︎ちょっと、おたくの娘英才教育過ぎるでしょ。いや、てかそもそもこっちの世界にもそんな本ある事自体驚きだわ。やっぱり、そこら辺は世界共通なんだな。
結局この後、なんだかんだ傷が痛むと俺の必死の訴え(抵抗)によりご奉仕はしばらくお預けということになった。因みに、呼び方はご主人様らしい。