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俺の嫁はエルフ受けが悪い  作者: 吉田しく
69/96

俺の嫁はエルフ受けが悪い【69】

 結論から言うと、

「あれを潰せばいいの?」

「うむ、任せよ!」

「いやいやいやいや、待ってくれな。まだ潰すべきと決まったわけじゃないから」

 サクラとルジオがついて来ることになりました。

 正直この2人を同時に見るのは厳しいというか、余裕でアンコントローラブルの状況に陥りそうな予感がするが、現状黒寄りのグレーって感じなので、最悪それも良しだろう、というのが俺とヒイラギの見解である。

 こっちの世界に存在しない種族を増やす、ってのはさすがに問題が多すぎるような気がするってのもあるが、どうにも、ここの王様は良くない感じがする。

 俺やヒイラギもわりとオタクだからこそ、思うんだ。

 この国の作り方やら種族の偏り方を見るに、この転生者はたぶん、厄介なタイプのオタクだろうな、と。

 説得をしたところでまともにその説得に応じてくれるかどうか、正直なところ自信がない。

 別にオタクだから悪い、ってわけじゃあない。

 それを言ったら俺だってヒイラギだって、普通の人よりはコミュニケーションも得意じゃない方だし、何かと問題のある部分も抱えている方だ。

 でも、自分で言うのもなんだが、どうにかこうにか人と関わってうまくやれている、と思う。

 俺の場合ハンナがいることも大きいかもしれないが、ヒイラギだってなんだかんだ言いながら国のお偉いさん方から気に入られてはいるのだから、多少なり社交性は持ち合わせていると言えるだろう。

 そんな俺たちですら、今回はマズいよなぁ、という思いを抱いている。

 理由はいくつかあり、そもそも周辺国家に黙ってこんな国を作っていることもそうだし、こちらに存在しない種族を生み出しまくってるのも問題だし、何より問題なのは、

「改めて聞くけど、マジなのか? その、世界を狙ってるってのは」

「ああ」

 これだ。

 この世界を狙ってるってことは、ザクロたちのいる本国にだって、ドラゴンたちの暮らしている国にだって、果てはエルフの里にだって被害が出るってこと。

 転生者たちの間でも問題視されていた人物がそんなことをしているとなっちゃあ、黙っているわけにはいかない。

 大切な義実家が襲撃されるなんてことは、絶対に阻止しなくてはならない事態だ。

 たぶん今回の黒幕のお眼鏡に叶うエルフはいないだろうが……そうなるとむしろ、ハンナに危険が及びかねん。それは許されない。

 とはいえ、だ。

「久しぶりだねぇ、パーティ全員集合なんて。この間はヒイラギいなかったし」

「手早く済ませて帰りましょうよ。私だって仕事がいくつも残ってるんだから」

「相変わらず大変そうですね、ザクロちゃんは」

「まあね。でもま、もう少し仕事が片付いたら休暇をもらう予定だから、その時は一緒に街で遊んだりしましょうよ」

「お、いいねー! 久しぶりに女子会しよ、女子会!」

 やっぱり過剰戦力じゃねぇかなぁ、と思うんだよな、このメンバー。

 俺、ハンナ、ザクロ、タンポポ、ヒイラギのパーティメンバーに、魔王と魔龍。

 ゲームクリア後に裏ボスにでも挑むのかってぐらいの、スーパーメンバーである。

 全員のレベルもアホほど高い上に、戦闘能力は俺以外軒並み国家のお抱えクラス。

 国家のお抱えってのは、国家が抱え込まなきゃならないと思っている戦力、ということだが、それは強いからというよりは、敵に回ってほしくないから、というのが大きかったりする。

 自分たちの国とそれだけの力を持つ者が友好的であるということは、それがそのまま防衛に繋がるということ。

 意志を持つ核兵器に、敵対視されたらたまったもんじゃないだろ?

 そういうことだ。

「ヒイラギ、俺じゃこの女子連中を誰1人として止められないから、とっとと作戦を始めよう」

 全員が全員、すでに終わったあとの話を進めているもんだから緊張感が足りてないとも思うが、それもしょうがない話だ。

 俺だっていつもよりずっと気を抜いてるぐらいだもん。

 とはいえ、ヒイラギがパーティが揃ってればなんとか、と言うぐらいの場所、ってのも気になる部分ではある。

「では、説明しよう。作戦自体は大したものではない。表でサクラとルジオに騒ぎを起こしてもらい、その間に俺たち4人が王城へと侵入する。敵側で注意すべき相手は4名」

 ヒイラギがそう言って懐から出してきたのは4枚の写真。

 タンポポお手製のポラロイドカメラ(消音)によるものである。

「まずこちらの剣士。ダークエルフであり、魔術と剣技の合わせ技を得意としているらしい。彼女がどうやらあちら側の最高戦力のようだ」

「へぇー、いい趣味してるねぇ」

 楽しそうに笑いながら、タンポポは写真の出来にご満悦なご様子。

 んで件のダークエルフ剣士は黒い甲冑に身を包み、どデカい大剣を背に帯びていた。

 冷めた表情、銀髪褐色赤瞳で長身巨乳、と。

 うーん、趣味丸出しって感じだな。

「次に獣人の格闘家。こちらは戦闘狂のようでな、ここらの魔物を片付けた1番の立役者が彼女のようだ」

 こっちはワイルドな感じのお姉さんだ。金髪のツンツンヘアー。

 乳もデカいが何より身長もかなり高め。

 虎の耳と尻尾が生えていて、鋭い犬歯も伺える。

 ぎらついた瞳としっかりとついた筋肉、そして動きやすさ重視なのかやたらと薄着だ。

「そして、天使のような種族の魔術師。彼女はどうやらある程度の召喚術も操ることができるらしい。こいつに関しては個より軍への対処が必要だろうな」

 修道女みたいな恰好の、糸目にこやかお姉さん。

 しかし良く見ると天使の輪っかみたいなものと、折り畳まれた白い羽が見受けられる。

 んでこの人も巨乳。もうね、何も言うまい。

「……全員焼き尽くせばいいのね?」

 にっこりと笑いながら写真を見るザクロが恐い。

 まったく目が笑っていないし、何より殺気が漏れ出まくっている。

 なんというか、ここの黒幕がザクロと出会わないことを願う限りだ。

 相手が可哀そうだから。

「最後に」

 ザクロから若干目を逸らしながら、ヒイラギが4人目の写真を出す。

「こいつが黒幕、転生者にして生命を作り出すチート能力持ちの男だ」

 最後に見せられたそれに「うわっ……」と思わず声が漏れる。

 うーん、なんというか、酷いな。

 まあ、イケメンだ。黒髪のイケメンが映ってる。

 んで、その周りを例の3種族の美女たちが取り囲んでいる写真だった。

「こいつなりの事情が何かしらあるなら、もう少し温情のある結果で終わらせてやっても、と思っていたが……」

「ないでしょうね、これは」

「ないだろうねー」

 ヒイラギは黙って頷き、さすがのハンナも苦笑いだ。

 満場一致で滅ぼすことを決めた俺たちは、それぞれ行動を始めるのだった。


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