表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤き覇王 ~底辺人生の俺だけど、覇王になって女も国も手に入れてやる~  作者: 書く猫
第3章.ただの怒りではなく、それ以上の何かを
25/602

第23話.こういう戦いも悪くないな

 俺は今まで一人で戦ってきた。それが楽しかった。


 考えてみれば、戦いは俺にとって単なる暴力ではなく……俺自身を表現するための手段だった。化け物としてこの世に生まれた俺は、戦いこそが自分の存在を示す唯一の方法だったのだ。


 だが、今この瞬間……俺の周りには一緒に戦ってくれるやつらがいる。


「レッドさん!」


「分かっている!」


 味方の一人が敵に囲まれてしまった。俺は全力で突進し、3人の男をぶっ飛ばして味方を助けた。その隙にナイフを持っているの男が俺を刺そうとしたが、そいつはレイモンが蹴り倒した。


 俺の周りにいるのは全員格闘場の選手たち……つまり戦いに慣れている強者たちだ。その強者たちが互いの隙を補いながら戦っているのだ。そこから生まれる力は俺の想像を軽く超えていた。


「はあああっ!」


 敵の攻撃が弱まった時、俺は突撃して敵陣を崩壊させた。そして味方が俺に続いて突撃してきて、分散されている敵を撃破した。


「何なんだ、こいつら……!?」


 敵の顔に恐怖が浮かぶ。それを見て俺は確信した。たとえ敵が今の倍になっても……俺たちの勝ちだ。


「何しているんだ?」


 俺は目の前に集まっている敵を睨みつけた。


「早くかかってきやがれ……!」


 俺が雄叫びを上げると、数十を超える犯罪組織の一員たちが後ずさる。やつらも俺たちに勝てないことに気付いたのだ。そしてそれはやつらのボスも同じだった。犯罪組織のボスは強張った顔で口を噤んでいる。


「もう指示も出せないのか?」


「……き、貴様は……」


 俺の挑発にボスが何か言おうとした時、大勢の足音が聞こえてきた。また数十に近い男たちが現れたのだ。


「レ、レッドさん……」


 レイモンが俺を呼んだ。敵の増援が現れたと思っているんだろう。しかし俺は首を横に振った。


「あれは敵じゃない。よく見ろ」


 俺はそう言いながら、新しく現れた男たちを率いている人を指さした。それは……ロベルトだった。格闘場の運営者である美中年のロベルトが、自分の組織を率いて来たのだ。


「ロ、ロベルト!」


 さっきまで強張っていた犯罪組織のボスの顔が明るくなる。


「よくぞ来てくれた! 早くあいつらを……!」


「勘違いしてもらっては困りますよ、ビットリオさん」


 しかしロベルトは犯罪組織のボスに冷たい視線を送る。


「私は争いにきたわけではありません。逆に仲裁しに来たんです」


「仲裁だと……?」


「はい、皆さんの『軽い口喧嘩』が大事に至る前に……仲裁に入らなくてはならないと思いまして」


 大通りのあちこちには多数の男たちが倒れていた。これが『軽い口喧嘩』か。


「ロベルト、てめえ……」


 『ビットリオ』と呼ばれた犯罪組織のボスが顔を歪ませる。


「まさか裏切るつもりか……!?」


「裏切りって……人聞きの悪いことは言わないで頂きたい」


 ロベルトが苦笑する。


「私はあくまでも善意を持って、これ以上の争いを避けようとしているだけです。皆さんの『軽い口喧嘩』に市民たちが怯えていますからね」


 ビットリオはロベルトの顔を睨みつけた。だが……これ以上俺と戦うのは自殺行為だということを、ビットリオが一番よく知っている。


「おい、化け物」


 ビットリオが俺を呼んだ。


「貴様の力はよく分かった。次はこうはいかないからな」


 その言葉にレイモンが「何だと!?」と反応した。しかし俺は手を上げてレイモンを阻止した。


「引き揚げるぞ」


 ビットリオは部下たちに命令し、倒れている男たちを収拾して退散し始めた。


「レッドさん」


 ロベルトが俺に近づいてきた。


「お話ししたいことが……」


「その前にこいつらを治療してくれ」


 俺は親指で俺の後ろに立っている格闘場の選手たちを指さした。するとロベルトが笑顔を見せる。


「分かりました。では場所を移りましょうか」


「ああ」


 俺たちも足を運んで戦場から離れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ