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赤き覇王 ~底辺人生の俺だけど、覇王になって女も国も手に入れてやる~  作者: 書く猫
第3章.ただの怒りではなく、それ以上の何かを
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第20話.片っ端から叩き潰してやる

 朝の日差しが気持ちよかった。


 俺は自分の赤い肌を隠さずに街の中を歩いた。まあ、今日だけはいいだろう。


「あそこか」


 格闘場から割と近い、3階建ての建物。あそこがレイモンに教えてもらった『犯罪組織の巣窟』だ。


 巣窟の入り口には二人の男が立っていた。 俺はそいつらに近づいた。


「な、何だお前?」


 俺の肌と体格を見て、やつらは早速警戒し始める。


「お前たちのボスはどこだ?」


 俺が質問しても、やつらは困惑した顔で答えない。いくら下っ端とはいえ、犯罪組織のくせに間抜けなやつらだ。


「お前たちのボスはどこにいるかって聞いている」


「何でそれを聞くんだ? どこの組織だ?」


「組織?」


 俺は笑った。


「組織なんかねぇよ。俺はレッドだ。ボスにレッドが来たと伝えろ」


「……ふざけやがって!」


 下っ端の一人が俺に拳を振るってきた。どうやら俺の笑いを挑発として受け取ったようだ。しかし……あまりにも粗末な攻撃だ。俺はやつの手首を掴んで、軽く捻ってやった。


「は、離せ!」


「今からでも遅くない。大人しくボスに言い伝えろ」


 下っ端は俺の警告を無視して、今度は蹴りを入れようとした。それに気づいた俺は先にやつの膝を蹴った。やつは悲鳴と共に倒れた。


「き、貴様!」


 残り一人の下っ端は驚愕し、建物の中へ逃げてしまった。


「ふ……」


 結局こうなるのか。俺は下っ端の後を追って建物に入った。


 建物の内部は広くて所々にテーブルが置かれていた。酒場かレストランみたいな感じだけど……朝だからなのか、今は誰もいない。


「あ、あいつです!」


 誰もいないと思いきや、逃げ出した下っ端が2階から数人の男たちを連れてきた。たぶん2階がこいつらの生活空間なんだろう。


「てめぇ、何者だ!?」


 強面の男たちが一斉に俺を睨みつけてくる。やっと犯罪組織らしくなってきたな。


「お前たちのボスに話したいことがある。案内してくれないか」


「……なめんなよ!」


 やつらが動き出した。俺を囲んでタコ殴りにするつもりなんだろう。不良たちもそうだったけど、こんなやつらのやることはいつも同じだ。


 もちろんこいつらは……犯罪組織の一員だけに、不良たちよりはずっと強い。だが……俺も不良たちを殴った時よりずっと強い。


「うぐっ!?」


 俺はまず先頭の男の顔面に拳を放った。軽い一撃だが、それだけでやつの鼻は折れてしまう。その直後、俺は間髪を入れずに手を伸ばして……左からかかってくる男の首を掴んだ。


「ぐおおおお!」


 野太い雄叫びと共に、俺は男の首を掴んだまま振り回した。成人男性の体格と体重は……そのまま俺の武器になって数人の男を倒した。武器になってくれた男も、もう白目をむいていたので手放した。


「ば、化け物……!」


 ほんの刹那の、ただ2回の攻撃で……目の前の男たちは戦意を失いつつあった。


「クソ野郎が……!」


 俺の後ろに回り込もうとした男が、力一杯蹴りを入れてきた。俺は飛んでくる足を狙って裏拳を放った。蹴りと拳が衝突し、やつの足の骨が粉々になってしまう。


「こいつ……!」


 今度は二人の男がテーブルを盾にして、俺にぶつかってくる。


「ぬおおおお!」


 俺は両手でテーブルを受け止め、逆にやつらを壁まで押し返した。やつらは壁に激しくぶち当たり、そのまま気を失う。


「……ひ、ひいいいっ!」


 残り一人が恐怖に満ちた叫び声を上げて尻餅をつく。皮肉にも、それは正門から逃げ出した下っ端だった。


「またお前だけ生き延びたな」


 俺は笑った。


「ご覧の通り、お前たちが束になったところで俺の相手ではない。大人しくボスに案内しろ」


 俺がそう言いながら近づくと……下っ端は小便を漏らして気絶してしまう。


「……これは困ったな」


 まあ……化け物みたいな赤い肌の巨漢が迫ってきたら、気を失うのも仕方ないかもしれないけど……本当に根性のないやつだ。


 俺も仕方なく、倒れている男たちの様子を確認した。まだ気を失っていないやつがいたら、そいつに案内させるしかない。


「一体何事だ!?」


 大きい声が聞こえてきた。振り向いたら険悪な顔をしている中年の男が階段を降りてきた。


「これは……」


 中年の男は目を見開いた。こんな光景を見たら普通はそうなるだろう。


「あんたがこいつらのボスか?」


 俺の質問に、中年の男が歪んだ顔で口を開く。


「その肌の色は……噂の化け物か」


 俺のことを知っている……ということは、やっぱりこの男がボスなんだろう。


「あんたに話したいことがある」


「化け物の分際が……」


「これ以上格闘場の選手たちに手を出すな。分かったか?」


 俺は犯罪組織のボスを睨みつけた。しかしボスは怯むことなく、むしろ笑顔を見せる。


「てめえ、まさか私の部下がこれだけだと思っているのか?」


 その答えに俺も鼻で笑った。


「こんな貧弱なやつらが他にもいるのか? じゃ、早く呼び出せよ。まとめて潰してやるから」


「勘違いするな、化け物」


 犯罪組織のボスが冷たい顔になる。


「私たちは手段を選ばない。お前みたいな化け物はともかく、お前の家族たちを一人一人なぶり殺してやる。ここでお前が私を殺しても……その結果は変わらない」


「あんたこそ勘違いするな」


 俺も無表情になり、ボスに近づいてその肩を掴んだ。


「俺には家族なんかいないんだよ。そんなくだらない脅迫が……化け物にも通用すると思うな」


 ボスは更に凶悪な表情になったが、結局何も言わない。


「あんたの仲間たちにもそう伝えろ。今度格闘場の試合にちょっかい出したら……その日がてめえらの終わりだとな」


 俺は犯罪組織のボスを残して、その場を去った。

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