アストラッド
ホワイトアウトした視界が次第にクリアになって行くに連れて、自分が今どこにいるのかぼんやりとだかわかってくる。
「……ここは?」
「おぉ、新しい天生者の方ですな、どうぞこちらへ」
目を開けた先にいたのは白いローブに身を包んだ男性であった。
「私はエキストと申します。お見知りおきを」
ローブの男性、エキストさんが丁寧にお辞儀をしてくれる。
「これはご丁寧に、俺は天生者?のエージュです」
それにつられて俺もお辞儀で返してしまう。日本人の性ですな。
「こちらへどうぞ。天生者の方には一通りこの世界についてお話しするように、神託が降りていますので、お話しさせていただきますね」
「はぁ、わかりました」
チュートリアルは終わったと思ったのだが、まだ少し続きがあるようだ。
「この世界『アストラッド』は、魔物と呼ばれる生き物が蔓延しております。中には知恵を持ち私たちと友好を結んでいるものもいますが、個の生存のために本能で人々を襲うものが殆どです。」
まぁファンタジー物としてはよくある設定だよな。
「この『アストラッド』に住んでいる者にとっては、魔物はとても脅威なのです、そこで我らが神々は貴殿方天生者を遣わせてくださったのです」
「そうなんですね、では俺達は魔物を狩るのが仕事というわけですね」
「そうしていただけると私たちも安心して暮らせます」
「わかりました、どこまでできるかわからないですが、できるだけやってみます」
「おお、ありがとうございます、先ずは身分を証明する物が必要になるでしょう、ここを出て真っ直ぐ行くと噴水のある広場にでます。そこに羽の付いた靴のマークの看板のある建物がありますから、そこにお行きください。」
「その建物はなんなんですか?」
「冒険者ギルドです。そこへ行けば、ギルドカードを発行してくれますので」
「そうですか、教えていただきありがとうございました」
「いえいえ、あなたに神々の加護のあらんことを」
ローブの男性の元を後にし、今居た場所を後にする。
外に出て振り返ると、そこは教会だったようだ。ということは、あの男性は神父だったのだろう。俺は神父に言われたように冒険者ギルドへ向けて歩き出した。
教会の神父エキストさんに教えてもらった通り、教会を出てすぐの道を真っ直ぐ進んでいくと噴水のある大きな広場に出た。
広場は噴水を中心に東西南北に大きな道が伸びている。俺は西の道からやって来たのだが、教会からここまでは畑ばかりだった。
西の道の先に教会があり、あとは農地になっているようだ。
「えっと、羽付の靴のマークだったな」
エキストさんに言われた冒険者ギルドを探していく。すると、北と東の道の間に羽付の靴のマークが描かれた大きな建物があった。これが冒険者ギルドなのだろう。
「ここか、にしてもでかいなぁ。まぁ見てても仕方ないし中に行きますかね」
教会にも負けない位大きな建物の中に足を踏み入れると、円卓の置かれたエントランスになっていた。奥にはカウンターがあり受付らしき人が立っている。
円卓に座っていた何人かがこちらに興味を持ったようでマジマジと見られている気がして居心地が悪い。
「ここはさっさとカウンターに行くのがいいかね」
視線を避けるように足早にカウンターを目指す。
カウンターに着くと受付の女性が顔をあげる。
「ようこそハナディウムの冒険者ギルドへ。本日はどのようなご用件ですか?」
「ここで身分を証明していただけると聞いてやってきたのですが」
「天生者の方ですね。確かに天生者の方の身分証、ギルドカードの発行を行っていますよ。すぐにお作りしますか?」
「はい、お願いします」
「かしこまりました少々お待ちください」
そう言いながら、受付の女性は一度奥へと消えていく。
「お待たせいたしました、此方の水晶に手をかざしていただけますか?」
程無くして、女性が水晶とカードを持ってやってきた。
「手をかざすだけでいいんですね」
そう聞き返しながら、水晶に手をかざす。
「はい、ありがとうございます。エージュ様ですね。此方があなたのギルドカードになります」
「えっもう、いいんですか?」
手をかざしてから一瞬の出来事であった。
「はい、この水晶には認識の魔法がかけられていまして、手をかざした人のステータスを、カードに写し取れるようになっているのですよ」
魔法がこのゲームに存在していることは知っていたが、目の前で見るとかなり便利なものだとわかる。
「では、ギルドカードの確認をお願いします。あなたのステータスとギルドのランクが書かれている筈です」
そう言われてカードを見てみると、
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名前:エージュ
種族:獣人族
ランク:F
Lv::0
HP:200
MP:150
ATK:20
DEF:15
INT:15
MND:15
AGL:40
スキル:
ミックスキル:
称号:【ミラードの祝福】
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確かにランクの項目増えた以外先ほど見たのと同じようだ。なんか最後に変なのが書いてある気がするが。
「確かに書かれていますね」
「ステータスの表示はエージュ様の意思で非表示にもできますので、お願い致します」
「わかりました」
そう言いながらカードの表示を変更する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前:エージュ
種族:獣人族
ランク:F
Lv:0
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「では続きまして、クエストの説明をさせていただいてもよろしいですか?」
「あっ、はい、お願いします」
冒険者ギルドでのチュートリアルも長そうだ。
「では、クエストの説明をさせていただきますね。まず、クエストにはそのクエストの危険度によって、受注できるランクが決まっています。」
まぁ、そうだろう。今の俺にドラゴンと戦え何て言われても無理だしな。
「危険度は上からSS、S、A、B、C、D、E、Fとなっていて、受注できる冒険者ランクと対応しています。つまり、ランクFのエージュ様は、危険度Fのクエストのみ受注することができます。例外はありますが基本的にはランク=危険度です」
「例外とはどんなことですか?」
「ランクの昇格試験などですね。」
「わかりました」
「では、早速なのですが、冒険者ギルドから初心者の方への基礎クエストというのがあります。どうなさいますか?」
「基礎クエストですか?それはどんなことをやるんですか?」
「クエストの内容はこちらになります」
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〔基礎クエスト〕
教官と共に冒険者としての基礎を身に付けてください
内容:ハナディウムラビットの討伐×5匹
薬草の採取×5本
報酬:3000j
初級ポーション×5本
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「このクエストは必ず受けなければいけないのですか?」
「いえ、必ずということはありませんが、強くおすすめはいたします。このクエスト中のLvupやスキルの獲得も報酬ですので」
よくよく考えれば、まだ俺は0Lvだしスキルも持っていない。教官が面倒を見てくれるというのも、これは美味しいのかもしれないな。
「わかりました。基礎クエストを受けます」
「それではギルドカードをご掲示ください」
そう言われてカードを出すと受付の女性もカードを出し、重ね合わせる。
「これで手続き完了です。教官が来るまでエントランスでお待ちください」
「わかりました」
手続きも済ませたし、待てと言われたエントランスで待つとするか。どんな教官が来るか少し楽しみだな。




