情報と依頼
台詞だけだと、バタとエージュが書き分け難くて難しい。
自分でも時々わからなくなるときがあると言う不覚。
後日、俺とパートナーのウルさん、現在のパーティーメンバーであるバタ、リカのコンビ。そして、個人情報屋のスリークの5人は、ハラスティ武具店に集合していた。
「ウルさん、エージュさんなんでうちの店を使うんですか?」
納得いかない顔をしているのは、ハラスティ武具店の店主であるハラスティ氏である。
「ウルさんが作ってくれた装備も渡して貰いたかったですし、他の人も武具の見直しや修理が必要そうだったので、ついでにと思いまして」
「すみませんハラスティさん」
言い訳を伝える俺と、謝るウルさん。
「はぁ……まぁ今回だけですよ。何かあれば奥に居ますので声をかけてください」
「「「ありがとうございます」」」
ため息を着きながら許可を出してくれる優しい店主に全員でお礼を伝えつつ、早速話し合いである。
「先ずは紹介からかな、この人が今回の情報提供者スリーク、個人の情報屋らしい」
先ずは初対面のウルさんとリカにスリークを紹介する。
「らしいとは失礼ッス。スリークッス。個人の情報屋をやらせて貰ってる人間種族ッス」
「次は俺たちのパーティーだな。まず知ってるとは思うが俺がエージュ。もう1人の男がバタ。精霊種族の女性がリカルチャで、角人種族の女性がウルさんだ」
「バタだ、この前ぶりだなスリーク」
「リカルチャよ、リカって呼んでね。よろしく」
「ウル・メイクです。よろしくお願いします」
三者三様スリークに声をかける。
「お三方よろしくお願いするッス。まずはおいらの情報からでいいッスか?それにお願いしたいこともあるッス」
「お願い?まぁ内容は後で聞こう。軍狼頭の情報を聞こうか」
「了解ッス。まず前提として、ハナトゥー森林の"通常"のボスはウッドゴーレムッス」
「それは知ってるぜ。けど俺たちが戦ったボスは、軍狼頭だったんだよな」
「その通りッス。バタさん達の戦った軍狼頭は、所謂隠しボスッス。ハン・アングリーラビットみたいに条件を満たすとボスが変わる仕組みのようッス」
「その条件と言うのが、称号に書いてあったお肉と関係しているのでしょうか?」
「ウルさん、それも正解ッス。軍狼頭の出現条件は、ボア肉の大量所持がキーになってるって噂になってるッス」
「ハン・アングリーラビットの時といい、ここの運営は肉になにかこだわりでもあるのか?」
空立腹の双盾をさすりながら、ウサギとの激闘を思い出す。
「それは運営のみぞ知るッス。けど、ひとつエージュさん達と他のプレイヤーとの違いもあるッス。それは、さっきもウルさんからでた称号に関してッス。掲示板でも軍狼頭の情報は出始めてるッス。けど、称号については誰からも話がでないッス」
「という事は、現状称号を獲得して軍狼頭に狙われ続ける呪いのような状態なのは、あたし達だけってこと?」
「秘匿してるプレイヤーが居るかもしれないッスけど、現状ではそうなるッス。掲示板で一度戦った報告をしたプレイヤーは、次の時はウッドゴーレムだったみたいッス」
「ってことは、何かのトリガーを俺たちが踏んじまったってことか。ついてねぇなぁ」
「称号が増えたって意味では、ついてるんじゃないの?若しくは憑いてる?」
「あははは……」
バタがタメ息混じりに呟けば、リカがおどけて見せる。それに対して苦笑いのウルさんという構図。
「まぁ、皆さんついてて憑いてるってことッスね。はっはっはぁ………ッス」
各々にスリークを睨み付け、たじたじのスリーク。話をそらすべく軍狼頭の話題に戻す。
「とっとにかく、現状ではエージュさん達しか連戦になっていないってことッス」
「それはわかったけど、他に情報はないの?」
リカがスリークをにらんだまま聞くとスリークもしどろもどろしになりながら答える。
「あっ……あるッスよ。軍狼頭戦で出てくる軍狼の数は最大で20匹。軍狼頭は基本的に指揮官のため軍狼がいる間は動かず指揮に集中してるッス」
「確かに俺が戦ったときも、奴は最後まで自分から仕掛けることはなかったな。今思うと、その時点でまだ倒しきれていない軍狼がいたって示唆だったんだろうが……今更だな」
軍狼頭との戦闘を思い出しながら情報と擦り合わせていく。
「なのでッス、軍狼頭は先ずは置いておいて、軍狼を全て倒すことが第一歩だと思われるッス」
「それも中々難しいですよね。前回の時も挟み込まれたりしてやられちゃいましたし」
「前方はエージュが居るから良いんだがな、後方を勤められる奴がいないんだよなぁ。俺もディフェンダーみたいなことはできないからな抜かれちまう。それで前回瓦解したしな」
「私は詠唱中は動けないからいい的なのよね。悔しいわ」
「確かに今のパーティじゃ、ウルさんが物理アタッカー、俺はアタッカー兼ディフェンダー、リカが魔法アタッカー、バタも魔法アタッカーかな?つまりフルアタッカーパーティーってことか」
「エージュさん達って結構脳筋パーティーだったんッスね」
余計な一言を言って、またにらまれるスリーク
「まっまぁそれなら、おいらの依頼を聞いてほしいッス」
「依頼?パーティー更正と何の関係があるんだよ?」
「実は、おいらをエージュさんのパーティーに入れてほしいッス。軍狼頭の情報をいち早くゲットするためには、エージュさん達について行って実際に戦うのがきっと一番ッス。それに、おいらはディフェンダーもできるので、パーティーの補強になるッスよ?」
「ディフェンダー?盾を装備してガッチリ守るようには見えねぇがなぁ」
「所謂回避盾って奴ッス。後はスキル的に自己回復ができるのでスタミナもあるッス」
「確かにそれなら痒いところにてが届きそうよね」
「そうッス。だから、おいらをパーティーに入れてほしいッス。どうッスか?お得ッスよ?」
商人のよくやる手もみをしながらしゃべるスリークであった。
気まぐれにゆっくり更新させていただきます。
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