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右手に盾をっ!左手にも盾をっ!?  作者: 枝豆
トゥールースを目指して

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31/35

BOSS部屋

さて、ボスはゴーレムなのか?


鍵を握るのは、あるアイテムです。

 木のアーチを潜ると、一瞬視界がホワイトアウトする。ボス部屋は別空間扱いなのだろう。


 真っ白な視界が開けてくると、そこには木で周りを囲まれた広場になっていた。


 今までのダンジョンの部屋は、木の枝葉が頭上を覆っていて木漏れ日で暗くはないが、空は見えないといった感じだった。しかし、今入ってきた広場には、頭上に遮蔽物がなく、青々とした空が見えていた。


 後ろを振り返ってみると、今通ってきた筈の木のアーチはなく、反対側にダンジョンの出口と思える木のアーチが有るようだった。


「ボスはいつ出てくるんだ?」


 てっきり、ボス部屋に入って直ぐに、ボスが居ると思っていた俺は、バタに問いかけてみる。


「さぁな。しかし、あそこに行くまでには出てくるだろうよ」


 そう言いながら、木のアーチを指すバタ。


「いつ出てくるか分からないのは緊張しますね」


 そう言いながら、【黒鉄丸】を握りしめるウルさん。


「入ってすぐに見える所に居てくれたら、あたしが1発当ててやったんだけどね」


 杖をクルクル回しながら話すリカ。魔法は魔方陣から出られないので、まだ居ない敵に備えて待機させておくのは難しい。


 皆がそれぞれ、ボスがいつ出てきてもいいように警戒をして待っていたが、ボスが出てくる気配はない。


「出てこないなら仕方ないな。警戒しつつ、中央辺りまで行ってみるか?」


 バタの声かけに、皆賛同して広場の中央へと足を進める。


『アオォォォォォォォォン』


 広場の3分の1位に進んだときに、奥から遠吠えが聞こえてきた。


「ゴーレムは、遠吠え何てしないよな?」


「そうだな。ゴーレムは吠えないな」


「そんな暢気な会話してないで!来るわよ!」


 声を聞いて話していた俺とバタに、叱咤しながら、リカは魔法の準備をしている。


「後ろからも来ます!」


 同時にウルさんからも声がかかる。


「挟み撃ちかよ、って横からもか!?」


 前方から、恐らく遠吠えをしたであろう、一際大きな狼が。その他四方八方から、小柄な狼がわらわらと出てきた。鑑定結果はそれぞれこんな感じだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

軍狼頭(アーミーウルフヘッド) Lv20


軍狼を統べる狼の頭

多数の狼を軍隊のように動かし狩りを行う

蛇肉が好物で蛇肉を大量に所持していると臭いにつられてやってくるとされている

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軍狼(アーミーウルフ) Lv10


軍狼頭の指揮のもと狩りを行う兵隊狼

時に軍狼頭の盾としてその身を捧げることもある

軍狼頭の指揮により、レベル以上の驚異がある

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 これ勝てないんじゃね?


「なんでこんな強いモンスターが出てきてんの?バタさんや」


「俺も知るか。俺が知ってるのは、ここのボスは、ウッドゴーレムだってことだけだったんだ」


「でも違うの出てきてんじゃん?しかもわらわらと軍隊つれてさ?」


「だから知るかって」


 そんな言い合いをしながらでも敵はお構いなしで襲ってくる。


 最初の内は包囲して攻めて来るだけだったので、攻撃を受け止めて、殴り返すことでダメージを与えられていたが、それを()()()()軍狼頭が一吠えすると、軍狼の動きが変わる。ヒット&アウェイを基本とした動きになり、なかなか反撃ができないようになってしまった。


 それに、軍狼たちは俺達を囲んでいるので、俺がカバーできない方からも攻撃を仕掛けてくる。その時は、バタやウルさんがカバーしてくれるが、ダメージは受けてしまう。回復職が居ない俺達のパーティーは、じりじりとHPを、削られて行く。


「後退するぞっ!フィールドの端に行けば、背中を気にしなくてもいいはずだ」


 バタが声を上げるが、ここからフィールドの端までは結構距離がある。バタとウルさんが先導して俺が殿を勤めるが、牛歩の歩みである。


「きゃぁぁぁ。ごっごめんなさい、耐えられなかっ……」


 バタとウルさんの脇を抜けた軍狼がリカに襲いかかり、リカのHPが0になってしまった。そして、モンスターと同じように光の粒子となっていく。


「リカっ!!……くっ」


 バタが叫ぶが、バタにも軍狼が殺到しているので、振り向いてリカのことを確認することすら許されない。


 3人になった俺達だが、俺以外は残りHPがかなり少ない。後数発でアウトだろう。


「エージュさん。すみません先に離脱します……」


 リカの次はウルさんが光の粒子となってしまった。


「ウルさんっ!……おいバタ何とかならないのか?」


「出来るんだったらやってるっての。このっわらわらと」


 俺が硬いとわかってか、軍狼の比率がバタ:俺で7:3位で襲いかかってくる。俺の方にも次々と攻撃が来るので、バタを助けにいくこともできない。


「……ここまでか。エージュ後は頼むぞ」


 数の暴力に、バタも遂に力尽きる。軍狼の数も減ってはいるが、まだ10匹は居るだろう。


「せめて、あの(かしら)の奴とタイマンするまでは、粘らねぇとな」


 そう。3人が倒れた今まで、いや今でも、軍狼頭は出てきた位置のまま動いていない。じっと佇み、時々唸りながら軍狼たちに指示を出しているだけなのだ。


 幸いなことに、軍狼の攻撃では2位しかHPは減らないので、何時もの防いでカウンターではなく、攻撃に合わせたカウンターで軍狼を盾で殴って行く。


『キャウゥゥゥン』


 直前で取ったスキルの効果か、クリティカルが連発して入り、軍狼を1匹、また1匹と倒していく。


「これで、ラストぉ」


 最後の軍狼を光に変えるべく、盾で殴り付ける。クリティカルの入った軍狼は、光の粒子となって消えていった。実は途中からスキル【立腹】の効果が乗ってきて、一撃で倒せるようにはなっていたのだが、ヒット&アウェイを繰り返す軍狼相手に削られ過ぎた。


「ハァハァハァ……さぁ後はお前だけだぞ?」


 それでも俺は、軍狼頭を睨み付けて語りかける。


『グルルルルルルルル』


 軍狼頭の方も、俺を威嚇して臨戦態勢だ。


 軍狼全てを倒した俺の残りHPは20、元のATKとスキル【立腹】の効果も合わせて、合計ATKは253、これだけあれば、一撃で仕留められるかもしれない。


 油断なく盾を構えてじりじりと近づいていく俺。俺に向かって唸りながら、ゆっくりと歩いて距離を測っている軍狼頭。奴の攻撃を盾で防げるかどうかで、俺の勝ち負けが決まる。


「どうくる?他の狼と一緒なら直線的な動きになるはずだが」


『ガァァァァァァァァァ』


 軍狼頭が勢いよく走り出す。一直線にこっちに向かって噛みつこうとしに来ているように見える。


「速いっ……だが直線的な動きなら追える」


 俺は盾を軍狼頭に対して正面に構える。この攻撃を防げれば勝てる。そう考えた瞬間だった。


『バウッ』


「おわっ」


 いきなり後からタックルを食らう。そんなに強い力ではないので、HPは減っていないが、体勢を崩してしまう。


「なっなんで!?」


 そこに居たのは、HPがミリ単位で残っている軍狼だった。見えている範囲の奴は倒したはずだったのだが、潜伏させていたようだ。


『ガァァァァァァァァァ!!』


 体勢を崩した俺に対して、軍狼頭が食らい付く。その前に奴がニヤリと笑ったように見えたのは、気のせいだったのだろうか?


 まともに攻撃を食らった俺のHPは0になり、俺達のパーティーは軍狼頭を相手に全滅するのだった。


『ハナトゥー森林のレアボス軍狼頭と遭遇し、全滅しました。称号【軍狼頭の獲物】をパーティー全員が獲得しました』


 アナウンスを聞きながら、俺の意識はブラックアウトしていくのだった。

エージュ君初の死に戻りです。


称号は次話で効果を確認します。

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