ハナトゥー森林
大変長くお待たせしました
東平原の道から続く森の入り口へとたどり着き、俺達は森の中へと足を踏み入れる。
入り口を通り過ぎた瞬間、何だか空気の壁を抜けたような、身体中にエアブラシをかけられたような感覚がした。
「この森はインスタントダンジョンになっているのよ」
リカがそう言って教えてくれる。インスタントダンジョンとは、インスタントつまり即席のダンジョンのことで、スタート地点と、ボスのいるゴール地点以外の中身が、入る度に変わってしまう。道やモンスターの配置、採取アイテムの位置など、入る度に変わっていく。
「だから、こうなる事も有るってこった」
そう言いながら、弓を構えるバタ。
俺達がハナトゥー森林にはいって直ぐに出会ったのは、
モンスターの群れだった。
「いきなりモンスターハウスとか引き悪すぎないか?」
そう言いながらも双盾を構える俺。
「いえ、素材ウハウハですよ?ウハウハなんですよ?」
なんかやたらと目をキラキラさせながら、鎚を構えるウルさん。
「おしゃべりしてないで、来るわよ」
杖を手に詠唱を始めるリカ。
初手で範囲魔法を使う気なのだろう。兎を相手にしたときよりも長い詠唱を始めている。
「エージュはリカをフォローしてくれ。ウルさんは囲まれないようにしながら俺とタッグを組んで動くぞ」
「あぁ」
「わかりました」
バタが指示を出して俺達は二組に別れる。俺は詠唱をしているリカの護衛だ。
『シャーーー!』
詠唱をしているリカに向かって、蛇が襲いかかる。
「させるか!」
俺は蛇とリカの間に割り込み、蛇の牙を【空腹の盾】で受け止める。受け止めたついでに鑑定をしてみると、
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フォレスネーク Lv3
至るところの森林で生息している蛇
毒もなく他の蛇種に比べて危険度は低い
肉は食用として用いられる
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この先何回も出てくるよ?と暗に説明されていた。そんなフォレスネークを【立腹の盾】で打ち付ける。Lvも下だし、【DAミラー】で強化されている俺のATKならば、一撃でオーバーキルだった。
その後も3~4匹を相手にしていると、リカの詠唱が終わる。
「いくわよっ。敷き詰める種火に、赤々なる意思を!ファイアカーペット!」
リカが杖を向けた先、4畳位の広さに赤い円陣が現れる。そして赤い円陣の範囲内にいる敵5~6匹ほどが次々と燃やされていく。
因みにではあるが、このSCOでは、FFによるダメージは存在しない。しかし、状態異常は掛かるので注意が必要だ。
ダンジョンの入り口と言うこともあり、敵のLvも全て3だったので50匹程居たモンスターも苦もなく片付けることができた。
最後の敵をウルさんが叩き潰した所で、リザルトが表示される。
「終わったぁ」
皆武器を下ろし、一息着く。
「素材がウハウハですね、蛇皮が一杯有りますよ?」
訂正、ウルさんだけはリザルト画面をみて、キャッキャしていた。
「さて、予想外の初戦だったが、奥に進むか?」
バタが皆が一息つけたところで聞いてくる。
「入っただけで出ていくなんて、嫌だしな。進もう」
俺が答えると、他の二人も頷いて肯定していた。
「よし、じゃぁ奥に行くぞ。まぁ今の戦闘の感じからいくと、ボスまでは問題無さそうだけどな」
「そういえば、ボスがいるのかここには。どんなやつなんだ?」
「俺もみた訳じゃないが、掲示板ではウッドゴーレムだって言われてたな。ATKとDEFが高くて、HPもある。その代わり遅いって言うコテコテのやつだ」
「ウッドゴーレムか、よく燃えそうだな」
「私もそう思うわ。私の火魔法で燃やし尽くしあげる」
「まぁ、ボスだからそう簡単には行かないだろうな」
そんな話をしつつ、俺達は、隊列を組み直す。ここに来るまでに組んでいた。俺→リタ&ウルさん→バタの順だ。なんやかんやでこの隊列が一番やり易いからな。
ハナトゥー森林の中は箱迷路のような形をしている。部屋と部屋を通路で繋いでいて、その部屋毎にモンスターが居たり、採掘ポイントや、採集ポイントがあったり、逆に何もなかったりして、最奥のボス部屋を目指していく。
最初の部屋こそモンスターハウスだったが、その後は、居て3匹ほどのモンスターと出くわすか、採集、採掘ポイントがあるかしかなかった。
フォレスネークの他に出てきた敵は2種類
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フォレスバット Lv4
至るところの森林で生息している蝙蝠
毒もなく他の蝙蝠種に比べて危険度は低い
普段は木にぶら下がって休んでいることが多い
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ハナトウルフ Lv5
ハナトゥー森林に生息する狼
3~5匹で群れを作り狩りを行う習性がある
時にリーダーとして成長する強い個体がいる
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フォレスバットが、バタが言っていた空飛ぶモンスターだな。ハナトウルフの説明をみる限り、ハンアングリーラビットみたいな強いやつがいるんだろうなぁ。そう思いながらも、軽快にハナトゥー森林を進んでいく。
森の奥に行くに連れてモンスターのレベルも上がって来る。入り口付近では3~4、中程になると4~6、そして、今いる奥の方では6~7程度のモンスターが出てくる。
バタ曰く、この奥の方になって2人ではモンスターの処理が間に合わず、ウルフに接近を許してしまったらしい。
しかし、今は俺が居るから、ウルフとスネークは俺が引き付けて、ウルさんが叩き潰している。バタとリカは、バットの処理だ。
レベルが高い相手との戦闘と言うこともあり、俺のレベルも上がった。STpは、DEFに振っておいた。
部屋にいる敵を迎撃しつつ、奥へ奥へと進んでいくと、この森に入ってきた時と同じようなアーチを作った木が生えていた。
バタは部屋にはいると俺達に声をかける。
「次がボス部屋だな。この部屋はモンスターはでない。少し休憩をして、ボス戦にするか?」
「そうだな、ウルさんやリタは大丈夫か?」
「はいっ、私は大丈夫です」
「あたしも大丈夫だよ」
ウルさんも、リタも大丈夫そうだ。
「じゃぁ少し休憩して、HPとMPが回復したらボス戦といこう」
このSCOでは、敵の居ない特定の場所で、行動をしないでいると、徐々にHPとMPが回復していく。主に各町やこういったボス戦の前などが多いらしい。らしいってのは、まだこのハナトゥー森林しかダンジョンがないからということだ。
俺達はそれぞれ休憩をとる。レベルも上がったので俺はステータスを開いて確認をする。
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名前:エージュ
種族:獣人族
ランク:F
Lv:6
HP:350
MP:150
ATK:35(+63)
DEF:96
INT:15
MND:15
AGL:78
スキル:【カウンター】【 】【 】【格闘】【回避】
ミックスキル:【双盾】【両手剣】
常駐スキル:【DAミラー】【ソナー】
称号:【ミラードの祝福】【専属冒険者】
残りSTp:0
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こんな感じだ。
「よしっ、皆回復したな?ボス戦行くぞ」
バタの掛け声で俺達はアーチを潜りボスの部屋へと入っていくのだった。
次のボス戦ウッドゴーレム出すか、変えるか迷い中
皆さんどっちがいいですか?




