二人の精霊族
お待たせしました。
『ただいまの戦闘で、【カウンター】、【ダッシュ】、【鉄壁】を、習得可能になりました』
「おっ?」
アナウンスを聞き、スキルが習得出来るようになったことを知る。PvPでもスキルが覚えられるんだな。
「それぞれのスキルの効果は、っと」
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【カウンター】
相手の攻撃に対して防御をしたり、回避をしたりして、相手の体制を崩し自分の攻撃を当てた場合相手に与えるダメージが倍になる。
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【ダッシュ】
走る速度が速くなり、初速が上がる。AGLが高いほど効果が高い。
任意で常時発動に変更可能。
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【鉄壁】
スキル発動後の一撃に限り、DEFを倍にする。また、盾や防具の耐久値が減少しない。
しかし、自身はその場から一撃を受けるまで動けなくなる。
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【カウンター】は、"シールドバッシュ"と合わせて使うとかなり使えそうだし、俺の戦闘スタイルにあっている気がする。
【ダッシュ】は、獣人族に適した効果だろう。AGLを元にするなら、獣人族が上がりやすいからな。
【鉄壁】は、ビミョーだ。DEFが倍、耐久が減らないは強力だが、動けないのは駄目だ。
これで俺の覚えられるスキルは、【剣】【槍】【盾】【弓】【格闘】【採取】【観察眼】【回避】【背水】【索敵】【カウンター】【ダッシュ】【鉄壁】の13個になった。
空きスキルが3つ有るので、ひとつに【カウンター】を覚える。これで、俺のステータスは、
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名前:エージュ
種族:獣人族
ランク:F
Lv:5
HP:350
MP:150
ATK:35(+58)
DEF:91
INT:15
MND:15
AGL:68
スキル:【 】【 】【カウンター】【格闘】【回避】
ミックスキル:【双盾】【両手剣】
常駐スキル:【DAミラー】【ソナー】
称号:【ミラードの祝福】【専属冒険者】
残りSTp:0
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となった。
バランスはとれてきた気がするが、もう少し有用なスキルがほしいな。後はレベル上げが課題か?
「エージュさん、お疲れさまでした。」
ウルさんが駆け寄ってきて、声を描けてくれる。
「ウルさん、ありがとうございます。大丈夫ですか?」
「えぇ、私はなんともありません。それよりこの子です。是非、使ってあげてください」
そう言いながら、ウルさんは、俺に抱えていた包みを渡してくれる。それは俺が注文していた大剣だったようだ。
「ありがとうございます。今確認してもいいですか?」
「はいっ、是非見て下さい。素敵な子が出来上がりましたよ」
包みを開いてみると、白い心金に、黒い刀身が鈍く光る大剣だった。早速、何回か素振りをしてみて感覚を確かめる。握りは俺にしっくり来るし、俺の肩から足ぐらいまである大きな刀身だが、取り回しには全く困らない。素晴らしい作品だろう。
素振りを終えて、改めて大剣のステータスを確認する。
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【空立の大兎剣】
空立腹兎の素材を使って作り上げられた大剣
隠し機能として刀身を分割出来るようになっているが、今はまだ機能を使うことはできない。
製作者はウル・メイク
エージュ専用装備
ATK+45【立腹】
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流石専用装備、ATKの上がり幅が半端ないな。だってこれ最初のフィールドで手に入る素材しか使ってないんだぜ?
「どうですか?気に入っていただけましたか?」
ウルさんが少し心配そうに覗き込んでくる。
「はいっ、流石ウルさんですね、最高です」
ウルさんにそう告げて、【空立の大兎剣】は、ストレージに仕舞っておく。今は【空立腹の双盾】が俺のスタイルだからな。ウルさんには申し訳ないが、トゥールースの街までは我慢してもらうしかない。
「それじゃぁ、トゥールースに向けて出発しますか?」
「そうですね。まず目指すのは、ハナトゥー森林でしたか?」
俺は、ウルさんに問いかけながら、門の方へと歩いていく。それに続いて、ウルさんも足並みを揃えて、着いてきてくれる。
オットス君とやりあっている間に、13時は過ぎている。ヤツルギの奴は、もうハナトゥー森林くらいまでは、進んでいるだろう。俺も早く行かないと追い付けなくなってしまう。
「なぁ、そこの翼の人。あんたはもしかして〔守護天使〕さんじゃないか?」
「んっ?」
何かヤツルギから言われていた二つ名を言われたので、声のした方を振り返ってみれば、一組の精霊族の男女が立っていた。
「やっぱり、背中の白い翼と、両手の盾のあんたが〔守護天使〕さんだろ?さっきのPvPは凄かったな」
二人の精霊族の内、男の方が声をかけてくる。男は背中に弓を背負っていて、籠手やハーフプレートを身に付けている。
「エージュさん、〔守護天使〕ってなんですか?」
「〔守護天使〕?たしか掲示板でそんなこと言われていたって、ヤツルギに言われてたな」
少し前に、ヤツルギに言われたことを思い出して、〔守護天使〕が俺の事を指していることに気づく。
「そうそう、あんたのことだよ。俺はバタ、こっちはパーティー仲間の……」
「リカルチャよ、リカって呼んでちょうだい」
二人が自己紹介をしてくる。
「それで?バタとリカの二人が何の用だ?」
「話を聞いていたら、あんた等も、トゥールースの街を目指してるんだろ?それなら一緒に、パーティーを組んでくれないかと思ってな」
2人の要求は俺達の2人とパーティーを組むことらしい。
「何故俺達に頼むんだ?」
「それは、俺達二人が両方とも遠距離型だからだな。前にしっかりと、敵をガードしてくれる奴がいると助かるんだ」
精霊族は、MP、INT、MNDは延びるが他が成長しないので打たれ弱く、前衛が居ないと攻撃の合間に倒されてしまうそうだ。
「あんた等の言いたいことはわかったが、俺達のメリットはなんだ?」
俺もお人好しではない。あっちにメリットがあっても、こっちにないのであれば、協力する必要はないだろう。
「俺達は、少し前に森まで行っていてな、そこには空を飛ぶモンスターも居たから、そいつ等との戦闘で有利になるぞ。後は純粋に攻撃力の強化だな。あんたは、多分獣人族だろ?それなのに〔圧殺巨剣〕のオットスの剣を防いでいたから、AGL&DEFの2極振りだと思ってな」
オットス君、何か滅茶苦茶かっこいい名前がついとる。きっとバタは、俺はATKが無いと思っているんだろうな。まぁ普通はそうか。
「エージュさん、どうしますか?」
隣で話を聞いていたウルさんが、こっそりと話しかけてくる。
「俺的には、有りかなと思っているんですが、ウルさんはどうですか?」
「私もいいと思います。良い人そうですし」
ウルさんも、いいと言っているので、バカ……じゃなかったバタの申し出を受けることにする。
「わかった、トゥールースまで一緒に頼む。俺はエージュだ」
「私はウル・メイクといいます。ウルで構いません」
バタとリカにパーティー申請を送りつつ、名前を名乗る。
「良かった、これからよろしくお願いするよ」
「よろしくね」
バタとリカもパーティー申請を受諾しパーティーに入る。このSCOでは、最大6人のパーティーを組むことができる。パーティーメンバーの名前とHPは、視界の左下辺りに表示される。今は、俺、バタ、リカの3人だ。
……あれ?ウルさんの名前があるけど、左下ではなく、右下にある。何故だ?
〔圧殺巨剣〕オットス君。エージュとのPvPにより、〔なっ!?〕の2つ名が、増えたとか増えて無いとか。
バタとリカルチャの戦いかたについては次回までお待ちを




