PvP
更新が遅くなりました。
PvPのルールを考えるのに時間がかかってしまった
申し訳ありません
さて、このオットスとか言う俺様とのPvPになってしまったが、SCOのPvPのルールを確認してみよう。
先ず、PvPとはプレイヤーvsプレイヤーの略であり、中世の決闘のようなものだ。
PvPを申し込むプレイヤーが、相手に申請を送り、相手が了承すると、何処でもPvPが成立する。例えモンスターの集団のど真ん中でもだ。今回は、町中での申請なので気にしなくてもいいが、決着が着いた後も、同じ場所に返されるので、すぐにまた戦闘になる。
PvPが成立した場合、一時的に、コロシアムと呼ばれる闘技場へと転移させられる。コロシアムには15m四方の闘技台が中央にあり、周りを観客席が囲んでいる。なぜ観客席があるのかというと、PvPが成立したときに近くに居たプレイヤーには、観戦するか否かのアナウンスが流れる。ここでイエスを選ぶと観客席へと転移するのだ。
そして、PvPでは、回復アイテムは使用禁止である。能力向上系のアイテムや、投擲アイテムなどは使用可能だ。むしろそうしないと戦えないプレイヤーも居るだろう。
さらに、PvPの決着はHPの全損した方の負けである。場外に出た場合は、1分以内に闘技台に戻ってくれば大丈夫だ。
決着がつくと、プレイヤーは、元の場所に戻される。この時勝者はHPと装備の耐久が全快した状態になり、敗者はHPと装備の耐久が1の状態になる。つまり、モンスターの集団の中でPvPになると負けた方は、HPと装備の耐久が1の状態で集団の中に戻されることになるのだ。
さて、ここまでがヘルプを読んで確認した内容だ。因みにこれを読んでいる間、オットス君はイライラしながら待っている。なぜって?俺がPvPを承認していないからだ。承認しなければ始まらないので仕方がない。
「おいっ!もう、いいだろう。いい加減承認しやがれ」
そう言いながらも待っているオットス君は、やっぱり少し脳のシワが少ないのではないだろうか。
「あぁ、もう大丈夫だ。待たせたな」
そう言いながらPvPの申請に承認する。
「お前なんかぎったぎ……」
オットスが言い終わる途中で転移されていった。締まらないやっだ。
「エージュさん、勝ってくださいね」
「負ける気なんかありませんよ」
軽くウルさんと会話して俺も転移が始まる。次に目を開けると闘技台に立っていた。オットス君も反対側に立っている。観客も先ほど取り囲んでいたプレイヤー達が、挙って転移してきたようで、かなり騒がしい。
お互いが転移した後は、30秒間の準備時間になる。闘技台中央に砂時計が現れ、そこに30のカウントが表示され、砂が落ちると共に減少を始める。このカウントが0になるとPvP開始となる。
俺は【空立腹の双盾】を構えて、戦闘の準備をする。【空腹の盾】を前面に、【立腹の盾】を背面に構え、半身になりながら出方を伺う。
「あぁ?盾?そんな軟弱な物で俺様に勝てると思ってんのかよ?」
俺を挑発しながらオットス君が武具を構える、ってなんだあの剣デカ過ぎだろう。刀身が3m位、幅が1.5m位ある巨大な剣を構えているのだ。
「ふんっ、びびったか?これが俺様の【巨剣】だ。これでお前もぶっ倒してやるよ」
【巨剣】と言うらしい馬鹿でかい剣を、肩に担ぎながら何か言っている。
オットス君がギャーギャー言っている間にカウントが進み、0になる。
「死ねやおらぁぁぁぁ」
開始の合図と共に、まっすぐに突っ込んでくるオットス君。まっすぐ来るだけなら問題ない。しっかりと【空腹の盾】を構えて防御の姿勢をとる。
「喰らえぇぇぇぇぇ」
オットス君が突っ込んできた勢いのまま、【巨剣】で押し潰すように豪快な縦振りで俺を叩き切ろうとする。
ガッキィィィィン
甲高い音がして、盾と剣とがぶつかり合う。
「なっ!?」
まず、俺が防げると思っていなかったんだろう。オットス君は驚きながら、【巨剣】を押し込もうとする。
「ダメージなしか、やっばり、大したことないな」
「なっ!?」
【巨剣】の、面の叩き付けなら逃げ辛かったが、縦切りの線の攻撃なら避けられると思いながらも、敢えて盾で受けてみたが、やはりダメージにはならない。流石ウルさんの作ってくれた盾だ、しっかりと防ぎきってくれる。
「じゃっ、こんどはこっちからだな」
「なっ!?」
オットス君の【巨剣】を上へと弾き飛ばしてやると、3度オットス君は驚く。さっきから同じことを言っているが、なっ!?しか言えないのだろうか?
「1発食らっとけよ?」
【巨剣】を弾き飛ばしたことで空いた腹に、【立腹の盾】で打ち付ける。
「うがぁぁぁぁぁ」
ダメージエフェクトと共に吹き飛んでいくオットス君、攻撃が当たったことでオットス君のHPバーが表示されるが、いきなり3割削れている。
「なっ、なんなんだお前はぁ」
「喧嘩を売られただけの、冒険者だよ」
そう言いつつ、追撃のためにオットス君に接近する。
「そう何度も喰らうかよぉ」
【巨剣】を、盾のように面で構えて、防御姿勢を取るオットス君。
「"シールドバッシュ"」
それに対して俺は、Lv5で覚えられた【双盾】の技、"シールドバッシュ"を使う。
「なっ!?」
【空腹の盾】に当たった【巨剣】が、技の効果で撥ね飛ばされる。"シールドバッシュ"は、盾の当たった対象に対して、吹き飛ばしを確定で与える技だ。今回は、【巨剣】を吹き飛ばしたことになる。
撥ね飛ばしたまま固まっているオットス君に、【立腹の盾】で追撃を与える。今の攻撃でオットス君のHPバーは、レッドゾーンにはいった。
「糞っ、糞っ、雑魚の分際でぇ」
俺のHPを削れていない時点で、どっちが雑魚なんだと言う話だが、オットス君は、我武者羅に【巨剣】を振り回す。
「喰らえ、喰らえ、喰らえ、くたばれぇ」
しっかりと狙っていない攻撃になんて、当たるはずもなく、回避しながら接近していく。
「これなら、ハン・アングリーラビットの方が強かったな」
「なんだ……ぐわぁぁぁぁぁぁ」
近づいた俺の攻撃が当たって、オットス君のHPバーが砕け散る。
『勝者、エージュ』
闘技台中央上空と、俺の前にウィンドウが現れて、勝者を発表する。
『30秒後にもとの場所への転移を行います』
システムアナウンスがあり、きっかり30秒後には、元の東門へと転移された。そこには元居た見学者と、膝を付いているオットス君、対峙している俺とウルさんが居た。
「何で、何で俺様が負けるんだよ?おかしいだろう、こんな雑魚に負ける俺様じゃない!!」
負けてなお、苛立ちが晴れない、むしろさらに苛立ちが募ったようで、こっちに向かって叫んでいる。
「おかしいんだよっ!お前チートしただろう、絶対にそうだ、そうに決まってる」
チートとは、ゲーム自体に改造を施したりイカサマをして、自らに有利な動きをさせることを指す。まぁ、要するにズルしていたから強かったのだろうと言っているわけだ。
「見てろよ、GMコールをしてお前を……」
『その必要はありません。プレイヤー名エージュのログを確認しましたが、違反は感知されませんでした』
「なっ!?」
いきなりの声にオットス君が振り返ると、赤い光の玉が浮かんでいた。本当になっ!?しか言わないな。
『なお、別件として多数の方よりプレイヤー名オットスに対するGMコールを確認していますので、プレイヤー名オットスに対してGMは、1週間のログイン停止を決定いたしました。なお、この決定に拒否権はありません』
「なっ!?ちょっ!?まっ!?……」
増えたオットス君の驚きバリエーションを残して、オットス君は消えていった。強制ログアウトされたのだろう。
『さて、皆様これからもこのSCOをお楽しみください』
そう告げて、赤い光の玉は消えていった。集まっていた見物人もバラバラと解散しているようだ。
「ふぅ、終わったか」
事が片付いたことを確認し、ひとつため息が出る俺なのだった。
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【巨剣】
【剣】スキルを6個合わせて出来るスキル
両手でもつ剣であればどれだけ大きくても扱えるようになる。ただし、剣の求める必要ステータスは満たす事が最低条件である。
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