空きスキル
更新遅くなって申し訳ありません。
文字数を少し多くしましたボリュームが増えていると良いのですが
防具屋を探して商店道を歩き回っているときに、ふと、思い出したことがある。
「そういえば、スキル枠埋めてなかったな」
そう、スキル枠だ。自分がミックスキルを使ってから、空欄のまま放置されていたスキル枠があることを今更思い出したのであった。
「なんのスキルにするかなぁ」
そう思いながらステータスに表示されるスキルの一覧を確認する。俺が取得できるスキルは、【剣】【槍】【盾】【弓】【格闘】【採取】【観察眼】【回避】【背水】の9個だ。
「取るなら【回避】や【背水】が良い感じに思うけど、盾での攻撃力の低さも気になるんだよな」
ビルド的には回避型なので【回避】のスキルはあって困りはしないだろう。しかし、盾での打撃だけでは相手に与えるダメージが少なすぎるのも事実だ。
実際ハナディウムラビットは問題なかったが、ハン・アングリーラビット戦では決定打がなく、ギリギリの削り合いだった。ここは1つ大きなダメージの出せるスキルがあっても良いと思う。
「……よしっ決めた!」
悩んだあげく出した答えは、
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名前:エージュ
種族:獣人族
ランク:F
Lv:4
HP:300
MP:150
ATK:20(+25)
DEF:25
INT:15
MND:15
AGL:60
スキル:【剣】【剣】【格闘】【採取】【観察眼】
ミックスキル:【双盾】
常駐スキル:【DAミラー】
称号:【ミラードの祝福】
残りSTp:0
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【剣】を2つ取り次のLvupで、できるようになるであろうスキルクリエイトで【大剣】を目指してみようという結論になった。ATKは【DAミラー】により底上げされているので、しっかりとしたダメージを期待したいところである。
「さてと、これでよし。さぁ防具屋はっと」
スキルの選択も終えて改めて周りの店を見回す。看板を見れば、ある程度何の店なのかがわかるようになっているのはありがたい。
俺は、看板に鎧の描いてある店を見つけて中に入る。
「いらっしゃい」
カウンター越しに出迎えてくれたのは、左目にモノクルをかけて、籠手らしきものを見ている男性であった。パッと見た感じは50歳くらいだろうか?少し白髪の混じるボサボサの髪を、バイザーで押し上げで邪魔にならないようにしているようだ。
「坊主、なんのようだ?」
籠手を見ていた顔を上げ、客である俺に声をかけてくれる。
「防具を数点見せてもらいたいんですが良いですか?」
「店の中にあるものは好きに見てくれてかまわねぇよ。具体的な要求があれば言ってくれれば見繕うこともできるぞ?」
見繕ってもらえるのはありがたいと思うが、先ずはどんな特徴の防具があるか知りたいから、店の中を見せてもらうことにする。
「ありがとうございます。少し店のものを見せてもらいますね」
「おう。何か聞きたきゃまた声かけな」
会話が終わると、店の人は再び籠手の方へ向き直って作業に移ったようだった。
俺は店内の商品に目を向ける。ハラスティ武具店と同じように、見たものは詳細が表示されるようになっていた。
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【レザーアーマー】(耐久200)
皮でできた鎧
胸当てと垂れで構成されている
DEF+20
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【アイアンプレート】(耐久300)
鉄製の胸当て
皮に比べると重く硬い
DEF+40 AGL-5
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【フルプレート】(耐久500)
全身を被う鎧
とにかく重いが守りも硬い
DEF+100 AGL-50
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盾の時もそうだったが、やはり鉄製のものは重くてAGLを下げてしまうようだ。というかこれフルプレートを付けたら初期のプレイヤーは、AGLがマイナスにいく人も出るだろう。
やっぱり皮製のものが良いのだろう。そう思いながらカウンターの男性に声をかける。
「すみません、AGLが下がらない装備って皮製のものしかないですか?」
「ん?坊主はAGLが高いのか?DEFを伸ばすなら皮製のものだが、AGLに特化させるなら鎧よりも服の方がいいぞ?」
そう男性が返してくれる。このSCOでは、NPCにもステータスが設定されているようで(ルシードが教えてくれた)、AGLやATKなどの単語が普通に通じるから話しやすい。通じなかったら動きやすさとか曖昧な表現でしか伝えられないからな。
「そうなんですね。ちなみにこの店に服は置いていないんですか?」
「あぁ、この店は鎧系しか置いてないな。服だったら向かいのサルバーラ服飾店が俺のお勧めだな」
この人いい人だな、普通ならここで鎧買った方がいいよと勧めるところだろうに。
「教えていただいて、ありがとうございます。そっちに行ってみますね。冷やかしみたいになってしまってすみません」
「よくあるこった。坊主が気にすることじゃねぇよ」
そう言いながら、出ていく俺に声をかけてくれた。
俺は教えてもらった通り、向かいにあるサルバーラ服飾店へ入ってみる。
「あら、いらっしゃいサルバーラへようこそ。今日はどういったものをお探しですか?」
出迎えてくれたのは、おっとりとした見た目の女性だった。
「向かいの店から、服ならここが良いと聞いたので来てみたのですが」
「まぁ、旦那からの紹介でしたか。私はこの店の店主で、向かいの店の店主の妻、サルバーラといいます」
その言葉を聞いてやられたと思った。向かい合わせの店は夫婦経営だったようだ。これならあの鎧の店も懐は痛まない、やってくれるぜあの親父。
「そうだったんですね、そこまでは聞いていませんでした」
「あら、そうなんですね、あの人ったら。それで、どのような服をお探しですか?」
「えっと、AGL重視でDEFやMNDが上がるものが良いです」
「うーん、そうすると……こちらなんてどうですか?」
俺の話を聞いて、商品の棚から数点の服を出してくれる。
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【木葉の服】(耐久200)
葉のような緑色で染められている服
普段着としても申し分ない
AGL+1 DEF+2 MND+2
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【兎皮の服】(耐久200)
ハナディウムラビットの皮を使って作られた服
なかなかにワイルドな見た目をしている
AGL+5 DEF+5
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【腹巻き】(耐久200)
軽い!
しかしお腹と腰しか守れません
AGL+20 DEF±?(気候により変動)
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いや、最後のはギャグだろう。
「一番のお勧めは、腹巻きですよ」
「……」
ギャグではなかったらしい。




