素材納品
次の日、学校は今日から三連休なので、俺は朝からログインする。
昨日の戦闘でウルさんに渡す素材は集まったので、早速ハラスティ武具店へ向かう。
「いらっしゃいませ、ハラスティ武具店へようこそ。」
前回と同じ青年が今日も店番をやっているようだ。
「あの~、ウルさんは居ますか?素材の納品できたんですが」
朝の時間帯ということもあり、もしかすると居ないかもしれないと思いつつ、店員に声をかける。
「ウルさんですね、奥に居ますので少々お待ちください」
よかったどうやらいるようだ。ウルさんを呼びに青年は奥へと引っ込んでいった。
それほど待つこともなく、ウルさんが奥からやってくる。
「お待たせしましたぁ、あっエージュさんおはようございます。もう素材が集まったんですか?」
「ウルさんおはようございます。えぇ集まったので持ってきました」
「そうなんですね。では確認させていただきます」
「お願いします」
そう言ってカウンターへ素材を出す。
「はい、確かに素材は揃ってますね。けどこれだけのウサギ素材を、1日で集めたとなると、ハン・アングリーラビットに会いませんでしたか?」
「なっなんで知ってるんですか?」
俺の反応をみて、ウルさんの瞳が光った気がした。
「出たんですね?倒せましたか?その素材は有りますか?」
ウルさんは、目をキラキラとさせて、カウンターから身を乗り出して問い詰めてくる。
「落ち着いてください、答えますから、ハン・アングリーラビットにはなんとか勝てました。素材は大皮、大骨、尻尾の3つです」
俺の話をウルさんはコクコクと、いや寧ろブンブンという効果音がつくくらい首を振って聞いている。
「大皮に大骨ですか、それならご注文の盾をさらに強化できそうですね」
「本当ですか?是非お願いしたいです。そういえば、なぜ店売りの盾は700jなのに素材持ち込みだと300jになるんですか?」
「実はウサギの素材は肉以外のドロップが低くて、集めるのが大変なんです。しかも、乱獲して肉を持ちすぎるとハン・アングリーラビットが出るっていうおまけ付きで、だから普通のプレイヤーはウサギ素材を使うことが少ないんですよ。」
そうだったのか、確かに肉以外の皮と骨はドロップ率が低かった。先に言ってほしかったとも思うが、自分が情報収集を怠ったのが原因でもあるのでなにも言えない。
「さて、盾の強化の話なんですが、今あるクエストを1度破棄していただいても良いですか?その上で新しい盾の作製ということで話を進めたいと思うのですが」
「わかりました。自分としては大丈夫です」
そう話していると、プレイヤークエストを破棄しますか?というアナウンスが流れて来たので、イエスと答えてクエストを破棄する。
「ありがとうございます。それでは新しい盾のお話をさせていただきますね」
ウルさんとの話し合いはまだまだ続くのだ。




