VS.ハン・アングリーラビット 2
毛色の変わったウサギは、明らかに最初とは違い、小刻みにステップを踏み始める。さっきまで使っていたタックルもなりを潜めて、まるでキックボクサーのように構えをとっている。
「もしかしなくても、蹴り技が来るよね」
『きゅきゅっ!!』
思った矢先にウサギが前に出て、飛び蹴りの形で飛んでくる。
俺はタックルと同じように、片盾で受ける。すると盾が上に弾かれて数歩後ずさる。受けた方の盾は手が痺れたようになって持ち上げられない。
「マジか、ノックバック攻撃かよ」
ウサギはその後も連続で蹴りを放ってくる。飛び蹴り以外はノックバックも無いようで、もう片方の盾でなんとか受けて、受けているうちに、もう片方の盾も使えるようになり両盾を使って受けていく。
相手の蹴りを捌ききれているのはAGLが関係しているのだろうか?現実世界では絶対に、さばききれていない自信がある。
何度か攻撃を防いでいる内に、カウンターで攻撃を挟むと、ウサギは距離を開け、またステップを踏み始める。今の飛び蹴りからの連撃で、20ぐらいダメージを受けていた。どうやら攻撃力も上昇しているようだ。
ウサギの方を見ると、ステップを踏みながらこちらの様子を伺っている。また飛び蹴りを放ってくる気なのだろう。
「さて、ノックバック攻撃をどうするかだな」
相手が様子見している間にどうするか考えなければいけない。受ければノックバックが来るから、受けるのは無しとして、回避をするか、流すかの2択だろう。どうしようか。
『きゅきゅっ!!』
そんなことを考えている間にウサギの準備ができたようだ。さっきと同じ短い声をあげて突っ込んでくる。
「取り敢えず回避!」
ウサギの蹴りに合わせて体を横に反らし回避を試みる。そのすぐ横をウサギが飛んでいく。着地のタイミングを見計らって後ろから殴り付ける。
殴られたウサギは前に転がりながら体勢を立て直して、またステップを踏む。
「これならやれそうだな」
俺は、飛び蹴りを回避して攻撃するを繰り返す。時折回避に失敗して、最初と同じように乱打に持ち込まれるが、なんとか持ちこたえて、初級ポーションで回復をすることで対応していた。
何度か攻撃していると、どうやらウサギは攻撃を受けると行動をキャンセルして距離を開けるようだ。それがわかってからは、多少無茶でも攻撃を当てて行動をキャンセルする方に持っていく。
攻撃を喰らったり、回避したりしながら、初級ポーションが尽きた頃になってようやく、ウサギのHPを後一撃で倒せるところまで持っていくことに成功する。
『きゅっきゅっきゅぅぅぅ』
急に今までよりも低い声で唸った後、その場から大ジャンプをするウサギ。いやぁ高い、これこのまま落ちてきたらヤバイんじゃないか?




