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庶民の俺が、最強でいいんですか?

キーンコーンカーンコーン♪

昼休みを告げるメロディとともに、俺に絶望が訪れた。まあ、なんでもやってみるのが大切だ。案外勝ててしまうかもしれないし。俺はほんの数%の勝てる確率に賭けることにした。


中庭にある決闘場に行くと既に多くの人がおり、決闘を今か今かと待ちわびていた。決闘場は、中世のコロッセオにとても似ている。というかそのまんまだ。決闘のルールは簡単で、武器は何を使ってもOK、自分のヒューアと武器を駆使し、相手を再起不能、もしくは降参させたら勝ち。観客には、被害が及ばないように、バリアを張る能力で守られるらしい。

闘技場に出ると、そこには既に彼女が立っていた。

「逃げずに来るだなんて少し見直したな、もしかしてドMか?」彼女が引き気味に聞いてくる。この世界にもそういう言葉はあるのか、驚いたな。

「俺は勝ち戦しかしない主義でな。」

「私が、あなたに負けると? 武器も持たないあなたに?」

いいえ、多分負けます。それに俺が武器を持たなかったのは、扱える武器がないからだ。第一、剣なんて振るったこと無いし、いちばん慣れてる拳が扱いやすいってことだ。

「両者準備はいいか?」

レフェリーぽい人が高台からそんなこと言ってる。俺は心底思った。

「はじめ!」

泣きたい。

「あなたの勇敢さに経緯を称して、一撃であなたを消し炭にして上げる!」

そういうと彼女は、長さ九十センチほどの中型の剣を抜いた。確かあの剣はバスタードソードとかいう名前だった気がする。長さが長くない上に軽いので、とても扱いやすいらしい。こっちの剣がどうかはしらん。彼女が、剣先を俺に向け、突きを放った。剣の刀身から赤色の炎が吹き出した! その炎は、俺を包み込むように襲ってきた。熱いと言うにはぬるすぎる温度。網膜を焼くような熱量。喉がかれて痛い。そこで昔の記憶が蘇る。ああ、これが走馬灯か……これから死ぬんだな。まあ、やるだけやったんだしな。もういいよな。思い残すことは何も……ん? 俺童貞じゃん。えマジ? 俺氏童貞で死ぬん? 年齢イコール童貞歴とか洒落にならん。本気(まじ)で。なんとしてでも生きる! 生きねば! 俺はそう決意し、炎に呑まれる瞬間叫んだ。

「なんか出ろぉ!!!!」

そこからは全てがスローモーションに見えた。あと数十センチのところに迫る炎。不思議なことに熱さは感じなかった。そして俺の手から炎が出ていた! そしてその炎が彼女の炎を相殺した。コロッセオが静寂に包み込まれた。それも無理ない、あの炎帝と言われる程の炎を打ち消したのだから。実際彼女はドッキリを同時に五回されたような顔をしてる。でも一番驚いているのは俺自身だ。そりゃいきなり手が火を吹いたら誰だって驚くだろう。それに床の一部がガラスになってるし、どんだけの火力強いんだよ。相殺してなかったら、ヴェルダン待ったなしだな…… そんな小並感を考えていると歓声が巻き起こった。

「うおおおお!」

「すげぇ!」

「なんだあいつ!」

「相殺しやがった!」

「→♪☆€+*<|\$!!」

わけわからん。

「あなたがそんなものを隠し持っていたなんてね。」

冷静を装い彼女がそんなことを言った。まあ、偶然なんですけどね。

「だから言っただろう? 俺は勝ち戦しかしないとな。」

何言ってんだこいつ…… にしても、俺が炎を扱えたってことは俺にも耐性がつくのか。有属性のヒューアを得た人はその有属性に対応する耐性をつけるんだそうだ。例えば、炎のヒューアは火炎耐性 炎や火に対して熱さを軽減する。簡単に言えば耐火だ。この耐性はヒューアの適応度に比例し【司炎】なら完全に熱さを感じなくなるらしい。といってもお風呂は暖かく感じるし、日が照っているなら、暑くも感じる。もし俺が彼女と同じぐらいの耐性を持っていたなら、決着がつかない。だがしかぁしぃ! 俺は一つの作戦を思いついていた。あまりにゲスい考えすぎて自分の人間性を疑ったが。彼女は耐火で全く炎が効かないかもしれない。でも逆に言えば、炎が効かないのは彼女だけであって、それ以外には効くということだ。例えば服とか。これが俺の考えたゲス過ぎる作戦。名付けて「炎ですっぽんぽん作戦」だ! うんゲスだね。しかし、問題は下着も焼くかどうだ。そこに悪魔と天使が現れた。

「全部焼いちゃえよ。お前が女の身体見れるなんて、もう二度と無いかもしれないんだぞ?」

確かに。

「駄目よ!」

お、天使来た。

「下着は残さないと。そっちの方が萌えるじゃない。」

萌えるってなんだよ、お前の性癖なんて知らねーよ。結局剥くのは変わんないのかよ。

俺は天使の言うことを信じることにした。別に萌えるだとか、それいう訳では断じてない。まじで。というよりも、どう考えても貴族娘の下着なんて焼いたら、試合に勝ったとしても貴族から暗殺者でもなんでも来て、殺されるな。まあ、今さっき初めて使った能力を上手く操れるとは思わないが。

「悪いな、この勝負勝たせてもらう。」


更新遅くてすいません

今回は長めです。

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