庶民の俺が、最強でいいんですか?
ウィルから聞いたことだが、この世界には、個人が所有する能力があり、これを【ヒューア】と呼ぶらしい。名前の由来はこの能力を発見した人の名がヒューア・ラデンフィールだからだそうだ。そしてヒューアは国王になった。それからこの国の国王はラデンフィール家の人間がふさわしいとなり、未だにラデンフィール家が国王に選ばれている。
ヒューアは一人と一つ持っており、他者と被るヒューアはないらしい、簡単に言えば【火を出すヒューア】があり、そのヒューアを使える二人の人がいるとする。どちらも、火を出すという点では、同じだが、それ以外にも細かく分けることが出来る。例えば、火力、届く範囲、持続時間等だ。これにより、この世には、同じヒューアを持つ者はいないのだ。そして、このヒューアは、簡単に九つにわけられているらしい。
それが、炎、水、木、地、風、雷、光、闇の八つの有属性とそれ以外の無属性という分け方らしい。
なんとも酷い分け方だ。そしてこの有属性を使うのが八大貴族という訳だ。
八大貴族は貴族の中でも特に力が強く、国王からの信頼も厚い。それはもう、国の運営を任されるぐらいには。そしてこの貴族は能力の最大階級 その能力を司ることができるのだ。例えば炎だったとしたら【司炎】《炎を司るヒューア》なのだ。そしてこの貴族達は、八種類の武器をそれぞれ扱う。
ヒューアがこの能力が見つけたのは約二千年前。そしてこの国【ラフケール王国】をつくったらしい。なんでもこの世界にはこの国ひとつだけらしい。そして、この八大貴族がこの国が成立した頃から国家を支えて来たということなのだ。なので、この貴族たちは国家に絶大な影響を与えることができるのだ。
ここで話は変わるが、俺の能力は何なんだろうか?
ひょっとして、俺って能力を持たない無能なのかもしれない。そんな考えが頭をよぎった。一応、ヒューアを調べることはできるのだが、少し時間がかかるらしい。それじゃあ決闘に遅れてしまうということで、なしになった。なんでも、あいつは決闘を重んじ、挑まれたら絶対に断らないらしい。遅刻なんてしたら、貴族の権力ですぐに牢屋行きだ。最悪存在自体無かったことにされるかもしれない。戦績は全戦全勝 無敗を誇ってるらしい。
何これ無理ゲー
キーンコーンカーンコーン♪
昼休みを告げるメロディとともに、俺に絶望が訪れた。まあ、なんでもやってみるのが大切だ。案外勝ててしまうかもしれないし。俺はほんの数%の勝てる確率に賭けることにした。