庶民の俺が、最強でいいんですか?
俺は学校と呼ぶには大きすぎ、そして美しい建物の前に立っていた。
夢でもみているのかと、目をこすってみても、顔を叩いても、目の前に学校があった。何が起こったかまだ状況を把握できていないが、一つだけわかったことがある。
俺は異世界に来たらしい。
俺はさっきまで、いつものようにつまらない学校での生活を終え、帰っていたのだ、そしてふときずくとここに立っていたのだ。前の世界では神様的な人に会っただとか、事故死しただとか、特別な能力を持っていたとかいう訳では無い。
時代はやはり、中世ヨーロッパといったところか。日差しがきつい。時間は朝の八時辺りだろうか? 【国立フィルネール学園】学校に入っていく人たちの会話からそんな言葉が聞こえた。おそらくこの学校の名前だろう。俺はこの世界では、会話はできても、文字の読み書きはできないといったところだろうか。
せっかく、英語や中国語、イタリア語まで覚えたのに。
そして今気づいた。自分の服装が、学生服になってることに。
これが異世界! これが俺の第二の人生! 俺の胸は久しぶりに高鳴っていた。何故なら、俺、黒鷺くろさぎマコトは、十四の頃きずいてしまったのだ。この世界はつまらなく、そして全ては運命なんだと。
そのことにきずいてから、俺は色々なことをした。世界中の大手企業にハッキングして、個人情報を流したり、難関高校に入学して、テストで学年トップになってみたり、無駄に雑学を勉強したり、それでも何一つ面白くなかった。だから異世界に憧れた、今とは違う非日常に、それからというもの、俺はいつでも異世界に飛んでも大丈夫なようにシュミレーションを始めた。家族もどうせ、俺がいなくなったところで騒ぎもしないだろう。
いつどんな時でも……と思っていたが、こんな状況は予想していなかった。「まさか服装も荷物も全部変えられるなんてな……とりあえず行ってみるか。」俺は昔からどんな事でも慣れるのが早かった。まさに、習うより慣れろとゆうやつだ。そんな事を考えながら歩いていると、目の前にいた人にきずかず、ぶつかって押し倒してしまった!
「すみません! 大丈夫ですか?」