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主人公は犯罪者じゃないから。

・6


あれから2時間ほど歩いただろうか。俺達は無事に森を抜け、村の入り口がかすかに見えるところに立っていた。


「さてさてー。向こうに見えるのがさっきいってた村だよー。その前に時間はーっと・・・うん、光源星様が割と大きいからお昼過ぎってところだねー。」


聞いてみると光源星様というのは位置が真北固定で、時間によって大きさが変わるのだとか。


「ここからは俺が前を歩いた方がいいですよね?」


「うんーそうねー。でも入り口の番のヒトにはわたしが話しかけるからー、その間ブラックさんは周囲警戒のていでよろしくねー?」


警戒も何も、特に危険なものは出てこないと言う話だったが、肯いて出発する。




「もし、すいません。ここは帝国領の村なのでしょうか?できれば買い物などをさせていただきたいのですが・・・。」


ミュウハ様が番人に話しかけている。いつもの軽い調子ではなく、真面目だ。


「ん?ああ。ここは神聖帝国インフィニティ領イッチの村だ。旅の者か?しかし森から来るとは珍しい。とりあえずそうだな、まずは村長のところへ行ってもらえるか?ジロウ、ついていってやんな。」


「へい!」


歴戦っぽいヒトの男が対応していたが、あっさり通すものなのだな。村長が見極めとかやるのだろうか。そして瓜二つな顔の男に案内をさせるらしい。双子か何かか。


「ええ、わかりました。あ、わたしはミュウハ、こちらの剣士がブラックさんです。実はわた」


「そういうのは村長が聞くからいいよ。まぁ名乗るだけはしておくぜ、俺はタロウ、そっちのがジロウだ。犯罪者じゃなけりゃぁよろしくな!」


「・・・ええ、よろしくおねがいします。」


自分の言葉をさえぎられたミュウハ様が一瞬だけ不満そうな雰囲気を醸しだしたが、すぐに取り繕い挨拶を返す。俺も頭を下げておく。




「いやー森からの旅人って初めて見ましたよー。俺も兄貴もここの番人やってそこそこなんですがねー。あっそうだ、森で俺や兄貴に似たやつ見なかったですかねー?サブロウっていうんですけどねー森は広いから会わなかったかもしれないんですけどねーあーいや別に帰ってくるのが遅いーとかじゃないんでー。森はろくなモンスターがいないんでー。焦って怪我でもしてないかなーとか思っただけなんでー。ああ、村長の家はこっちですって村長だ。おーいカーミラさんー!」


ジロウはしゃべるのが好きらしく、適当に相槌を打っているとずーっとしゃべっていた。そして黒い衣装を身にまとった豊満な女性に手を振って呼びかけた。あれが村長か。もっと爺さんっぽいのを想像したのだが。


カーミラと呼ばれた女性はゆっくりと近づいてくる。


「あら?ジロウ?そちらの方たちは?ってアト・クラフトネス?まぁ!」


そしてミュウハ様を見ると驚きの声を上げた。


「今はミュウハです。ただのミュウハ。カーミラさんお久しぶり-?」


「軍に入ったと聞いたけど?まぁいいわ。積もる話もいっぱいあるし、こっちいらっしゃい?」


置いてけぼりな俺とジロウは顔を見合わせる。


「ああ、ジロウ?あなたは帰っていいわ。タロウにも大丈夫って伝えておいて。それで伝わるわ。で、あなた。」


「ブラックです。」


「あなたはアト・・・ミュウハと一緒にいらっしゃい。色々と説明するわ。」


そういわれれば否もない。肯いてついていく。


ジロウが去ったあとミュウハ様がボソッとつぶやいた。


「ブラックさんーここヒトじゃなくてそれっぽい偽装をしてる魔族領みたいだよー?」

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