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魂のつながり

・2


「まーとりあえず装備はねー。ここに魔王軍にいたときにちょろまかした武器と鎧の一式があるからー。当分はそれでいいよねー。」


それでいいというかそれしかなさそうだ。ちょろまかし云々はスルーして頷いておく。


「うんうん。でー。それを着たらヒトっぽく見えるように外見いじっちゃおうかー?」


外見をいじる?ヒトっぽく?


「ご主人様?説明をお願いします。」


「あーそうね。うん。えっとねー。これからわたし達は一番近い村へ行く段取りなんだけどねー?まぁわたしの出身の村でもあるんだけどねー。そこは5年前は当然魔族の村だったんだけど、どうも今はヒトの領域になってるっぽいんだよねー。」


5年でヒトが侵攻して占領したということだろうか。


「でー。キミはわたしが作ったアークデーモンの体に魂ぶち込んだだけの状態なんだよねー今。でー。外見が定着しちゃう前に自分で決めちゃおうってコトなんだよー。ここじゃない世界の魂とはいえ元々はヒトの魂だからー、君がかっこいいと思える外見にしたら人に見つかっても面倒にならないと思うしー。」


ここじゃない世界?元々はヒトの魂?うっ・・・頭が・・・。


「あ・・・っ・・・。あ・・・。」


「どうしたのー?大丈夫ー?ひょっとして前世の記憶でもよみがえったかなー?」


「その・・・まさかです・・・ご主人様・・・。」


「おぉー!」


「ただ・・・ほとんどがぼやけていて思い出せません。一般的な常識だったものと、好きだったものだけは思い出せました。」


「それは重畳ーだねー。でー。どんな外見にするのー?」


もともとの自分の姿は思い出せないけれど、自分が憧れていた海外のアクションスター(これも名前は出てこない)の姿を借りることにした。


「おぉー!かっこいいねー!にゃるほどそれがキミの魂に刻まれたかっこいいと思える外見かー。」


ご主人様にも大絶賛いただいた。



「それでー。いろいろ思い出したみたいだからー、とりあえずキスをしよっかー?」


前後のつながりがわからない。そんなに好みの外見だったのだろうか。


「あー。今かっこよくなったからご主人様わたしが惚れて、キスをねだってるんだーとか思ってるでしょー?違うよー?さ、さ、ひざまずいて顔を上げてー?」


言われたままにそうすると、ご主人様が立ち上がって近づいてくる。そして両手で顔を挟まれて、触れるだけのキス。だが、それだけで何か強いつながりができたような気がした。


「うんー。成功だねー。間違っても性交じゃないからねー?これでキミの知識はわたしに流れ込んでくるーって感じかなー。違う世界からの知識って新鮮で良いねー。」


何かしょうもないことを言った気がするが、スルーが正解か。ご主人様はほー、とかなるほどー、とか良いながら、俺の思い出した知識を検分しているようだ。



「ねー。好きだったものとか思い出したのはいいんだけどー。全然タイプの違う女性を大量に思い出してるよねー?キミの好みってどんな子なのー?」


どんな子、と聞かれても。


「そうですね。可愛い・綺麗・美しいは問わないですね。美醜は一定ラインさえあればそれは愛でる対象になりえます。バストとヒップにはこだわりがないですが、ウエストの許容範囲はそんなに広くはないです。やはり健康体が一番ですからね。身長も好みから外れる基準にはなりません。性格は無難に優しい人とか言っておくのがベターでしょうか。年齢も・・・そうですね、魔族基準ならどれくらいが基準値になるかわからないのでそのあたりは保留で。とりあえずご主人様は弩ストライクですよ?」


「うん、いきなり饒舌になって気持ち悪いねー。あとー。その節操のない条件で好みって言われても嬉しくはないよー?」


正直に答えたのにドン引きされた。仕方がないかもしれない。


「まー。魔王になったらはべらせるのは自由だからー。ハーレム作るためにがんばろうかー。」


「いえ、別に俺は力ずくで傍に居させたいとかじゃないです。自由なままの女性を眺めていたいだけです。」


「そっかー。ハーレム作らないでもー。魔王になったら色々な子見れる機会が増えるよー?」


別に魔王が嫌とかではないのだが、どうしてそこまで魔王にさせたいのだろう。



「そういえば。魔王って何をして暮らすんです?というか魔族の国について聞いてませんでしたね。」


「あれ?あ、そっかー。わたしの知識はそっちに流れないんだったー。まー流れたら大変なことになりそうだしいいんだけどー。」


さらりと不穏なことを言う。


「えっとねー。魔族に国はありませんー。魔族の領域、つまり魔界で各種族がわりと好き勝手に生きている感じかなー。でもー、魔王は種族関係なく、えらいの。一番強いからねー。」


象徴として居るだけなのだろうか。


「でー。魔王のお仕事なんだけどー。これは腕試しの相手をしてあげることだねー。ヒトでも魔族でもそれ以外でも。」


「それ以外、とは?」


「エルフとかー。ドワーフとかー。ウンディーネとかー。サラマンダーとかの精霊系種族がひとつー。あとはー。獣人って言われるヒトと獣の合いの子みたいな種族がひとつーだね。魔族とそれ以外の差はー、ヒトと交わって子がなせるかどうかだーって昔聞いたかなー。」


「つまり魔族の俺は、ヒトと交わって子をなせないのですね?」


「そういう器官を作れば別かもしれないけどねー。帝国の冒険者捕まえてやってみるー?」


「いえ、女性は愛でる対象なので。そういうのは遠慮したいです。」


「そっかー。でー。話を元に戻すねー。とりあえず魔王はー。強さの象徴として魔界に君臨すれば良いだけのお仕事だからー。どんな魔王になろうが自由なんだよねー。でー。キミが魔王になったらわたしは相談役ーってていで傍に居るからねー。わたしを楽にするためにがんばってねー」


どういう魔王でも自由か。まぁご主人様に逆らう気はあんまりないのでアレだが、自由に振舞えるというならやる気も起きてきた。頑張ってみようか。

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