初めてのダンジョン・1日目
ゴブリン。それは魔族のうち大多数を占めるれっきとした種族である。が、ダンジョンに沸くゴブリンはただのモンスターであり、
「魂がないからー、俺は同胞を殺してしまったんだーなんて葛藤はしなくていいよー?それに今は溢れるくらいにいるって話だからー、逡巡してると逆にやられちゃうよー?」
なんて言うミュウハ様の言葉通り、自分のテリトリーに入ってきたものを自動的に攻撃するような存在でしかないらしい。
1日目。片手剣を右手に、盾を左手に装備してわらわらと押し寄せるゴブリンを狩る。職業に就く前よりも、剣をどう振れば効率的に行動できるかが判る気がする。これが加護か。火の魔法も使ってみたが、これもイメージしやすくなっている気がする。ゴブリンを斬る。突く。燃やす。
「おぉー!魔法剣士っぽいー。それじゃー次は土の魔法行ってみようかー。そこに鉄鉱石っぽいのがあるでしょー?それに干渉する感じでー。今回は多分足に魔力集めた方が楽だと思うよー?」
途中でミュウハ様にそういわれたので、土の魔法の修練もする。確か地形操作だったかな。
右足の裏に魔力を溜め、言われた岩を蹴る。一撃で見事にばらばらになって消えていくのだが、
「ちがうよー?土の魔法はその場で見える範囲の地面に干渉するんだよー?地面に魔力を通す感じー。今のは強化魔法だからー、そういう使い方覚えておいても損はないけどー。」
と言われてしまった。まぁ流石にさっきのを土の魔法と言い張るのには無理があるか。
ゴブリンの群れ第二波では、土の魔法の練習をしてみる。右足に魔力を溜め、それをゴブリンの足元の地面まで伸ばす。そして地面を勢いよく隆起させるイメージ。5体ほどを貫くことに成功する。しとめきれなかったゴブリンを剣で貫き、左手からの火の魔法で燃やす。土の魔法、剣、火の魔法。それらで効率よく狩っていく。ごくたまに攻撃を喰らいそうになるが、そんな時はなぜかそのゴブリンの動きが途中で止まる。ミュウハ様が何か援護してくれているのだろう。ありがたい。
第三波、四波と続き、かなりのゴブリンを狩りながら進んだところ、鉱夫の休憩所だったのだろうところにでた。
「さてー。とりあえずここを第一の拠点にしちゃおうかー。安全はわたしが確保するからー。」
ミュウハ様はそういうと、出入口で何か魔法を唱えた。
「あー。これは風魔法の一種でねー。かなりの力がないと入ってこれないようにしたんだー。興味があったらそのうち教えるけどー、どうするー?」
「出来れば、その、空間魔法を教えてもらいたいのですが。」
「んー。それはレベル30くらいになったら下地が出来ると思うからー、それからだねー。いちばん奥のボス倒したらー都合がいい感じになると思うからー、そこで教えるねー。扱い間違えると大変なことになるしー?だいじょぶー!ここを奥まで攻略したらそれ以上にはきっとなってるはずだよー。」
ひたすら奥へ向かいつつ、五部厘を倒していけば良いのか。それにしてもボス、か。
多分強いんだろうな。予想ではゴブリンだが。
とりあえずは今日の分のレベルアップをしておこうか。目指せレベル30、だな。




