楽しそうな方が見てて楽しい
・8
冒険者カードを受け取る際に、サヤさんから色々とレクチャーを受けた。
ひとつ。冒険者にはランクがA~Iの10段階あり、Iランクから始まる。このIの記号は冒険者ギルドが出来たときに決められたらしい。サヤさんは読み方がわからないらしく、Iを“だいじゅう”と読んでいた。第十。
ひとつ。ランクアップは基本的にギルドで受けたクエストの達成数と成功率で決まる。ほかにも基準があるらしいが、それは冒険者には言わないのだとか。
ひとつ。ゴブリン鉄鉱山について。ゴブリン鉄鉱山はもともとは普通の鉱山だったものが、ダンジョン化したものらしい。世界を循環するマナが洞窟の奥などで溜まり、その場所ごと変質して出来るのだとか。そこでは一定間隔ごとにモンスターが沸く。ゴブリン鉄鉱山の場合はゴブリンだ。ついでに鉄鉱石も一定間隔で精製されるらしい。
俺は初耳だったので大真面目に聞いていたが、ミュウハ様は聞き流していた。単純に興味がないか、すでに知っている情報だったのだろう。大真面目に聞いていたからか、サヤさんの不審げな目が和らぎ、最後の方では割とフレンドリーな感じになっていた。ジト目も好きだが、やはり好かれた方がいい。自分という存在が女性のストレスとかになってはいけない。
それにしてもサヤさんはどっちなのだろう。多分ヒトだとは思うのだが、それだと魔王になったときに接点がもてなさそうで少し困る。
そのあと売却と買い物を済ませて、すぐに鉱山に向かう。
道中で俺はともかくミュウハ様は疲れてないのかな、と聞いたら
「そんな柔な体じゃないからー大丈夫だよー?それにー。鉱山には1週間くらいもぐるんだからー、ちょっと休むとかそんなの誤差だよー?大会まで3ヶ月しかないんだから、節約できる時間は節約しなきゃだしねー。」
と言われた。時間の節約か。大切だな、うん。
そして。
「えーっとー。そろそろ着くよー?ダンジョンによっては罠とかあるけどー、今回は鉱山だからあんまり関係なさそうかなー?さー修行の時間だー!なんてねー。とりあえず出てくるゴブリンを片っ端から倒して奥へむかえばいいよー。ついでに転がってる大き目の岩壊しておいてねー。鉄鉱石だからー。」
鉄鉱石だから壊す?まぁ何かあるのだろう。それにしても詳しいなミュウハ様。




