保育園時代
幼少期から私は、人とは違う感性を持っていたように思う。
明るく楽しくおしゃべりをする子たちとは、どこか違うと感じていた。
独特、という言葉が合うのかもしれない。
それは自分が秀でているとか、そういう驕りではない。
自分は周りと違う。
それが、大人になっても社会の歯車とのズレとして残ることを、
この頃の私はつゆほど思ってはいない。
私は、思ったことをすぐ口にするような子供だった。
相手の気持ちなど考えず、傷付く言葉を平気で放つような子だった。
だから、大半の正義感の強い子には
ことごとく嫌われた。
頭ではわかっていた。
口にしてはいけないことを。
わかっていて、あえて悪態をつくような、
相手の反応を愉しんでいるような、そんな子だった。
それなのに、自分が一番正しいと思っていた。
頭に浮かんだ言葉はたいがい発してしまう。
危うい子だった。
目を瞑れば、世界は消えると思っていた。
もちろん、冗談半分で。
保育園から自宅までの道のりは、大人には短い距離だったが、田んぼ道があって、
子供の私にとっては迷路のようだった。
しかし、私は一人で歩いて帰ることが、しばしばあった。
その度に、先生や仕事終わりの母親を困らせたりした。
「ひとりでかえってはいけません!」
帰れるのに帰ってはいけない意味がわからなかった。
お歌の時間に、わざと下手くそに歌ってみせて笑われることをいいとしていた。
完全にこの頃から私は道化として存在することで、自分が面白い奴だということを確立しようとしていた。