02
桜花が異世界に来てから一週間が過ぎた、その間彼がやっていたことは…
「しやぁぁぁぁぁ!!!きた!アクエ〇アス出せた!これで勝つる!」
どうやら彼は魔法をくだらないことに使っているようである……
「にしても太陽が2つとか完全に異世界って感じだな…」
別に彼は一週間ずっとアクエ〇アスを出すために頑張っていたわけではない……
その証拠に今彼がいる場所は洞窟のような場所で頑張った結果人が住めるようトイレや風呂と言ったものを作られている。
「やっぱり、日本人はふろがないとね!」
(天文学とか詳しくねぇーけど太陽が2個とかどーなのよ?月は一つしかねぇのに…)
桜花は一週間で住処を作り、独自に魔法の研究をして様々な魔法を編み出している、べつにアクエ〇アスだけを作っていたわけではない。
この時の彼は知る由もないが彼の魔法は既にこの世界の常識を大きく逸脱していた、例としてはこの世界の魔法使いでは水を生み出すことはできるが味のついた水を出すなどとてもじゃないが出来ない。
「にしても魔法って便利だなぁ、この世界は危険も多いけど楽しいことがありすぎる!」
(けどここらの魔物?に手こずっているようじゃ人里に降りて生活できんのかねー?)
彼は知らない彼のいる森が「死の森」と呼ばれこの世で最も危険な場所の1つだということを、そして彼が人里で魔法を行使すればもれなく化け物認定されることを。
「とりあえずなんとか黒狼は倒せるようになったし次は旨そうなの見つけて倒すか〜狼不味いし…」
(にしても岩塩見つけられて良かったな、鉱毒とかも大丈夫そうだし、流石に味のついてない肉は遠慮したかったが…)
桜花は一週間の間黒狼や果実などを主食として生活してきたのだが流石に飽きてきたようで他の食材も欲しているようである。
「魔法で食材なんかも出せればいいんだが流石にそこまで便利って訳には行かねぇか」
(でもなんでアクエ〇アスはできたんだ?やっぱり情熱か?)
無論情熱だけで完成させた訳ではないと言うことはわかっているのだがなぜ完成したかは本人にもさっぱりわかっていない…
「やっぱり新しい獲物を倒すにしても刀がほしいなぁ…魔法だけってのも味気ないし魔法剣士的な…」
(じいさんの鍛錬のせい……おかげで刀はかなり使えるほうだしな…)
「んーと確かでっかい角のある蛇みたいなの見かけたなぁ…あれ削って刀っぽくできないかなぁ」
「とりあえず今日はアクエ〇アスできたから次は炭酸飲料でもだせるようにすっか!」
この飲み物に対する情熱はどこから来るのであろうか…
そして翌日……
「んー!昨日はファ〇タもできたし今日は蛇狩るかぁ!」
(ファ〇タはやっぱりグレープだよな…オレンジ派のメガネくんは元気にしてるかねぇー?)
少し元の世界にいる友人のことを思い浮かべながら森を探索し始める…
この一週間で彼が会得した魔法の中に「ソナー」と言う魔法がある…俗に言うアレである、この「ソナー」の魔法では約5キロの範囲の障害物や生物などの形などを捉えることができる…
ちなみにこの世界の普通の魔法使いが使う魔法の中に「探知」と言う魔法があるが「ソナー」ほどの精度も無ければ範囲も300mがせいぜいである。
「おっ、蛇発見!」
彼の「ソナー」が捉えた蛇は距離にして1キロ方向は今の彼から見て右前方。
「1キロか…3分かな……」
普通は1キロ……しかも森の中となれば数十分は掛かるであろうがそこは魔法様の出番である。
「動体視力、脚力強化…」
(いいねぇ、なんでか知らねぇけどこの世界に来てから体が軽くなった上に身体強化の魔法でさらに速くなれる!)
もちろんこの世界の人も身体強化の魔法は使える、しかし地球人のように身体の構造に詳しいわけではないので精度はかなり低い…
そして、彼がやったように身体の一部のみの強化を行える者はいない…これは身体強化とは身体全体行使するものという固定観念が既にこの世界の人々の中で出来上がってるためである。
「っと!いたいた!首を切り落としてやんよ!『鎌鼬』!」
ザシユッッッッ
「キシヤァァァァ」
桃花のはなった風属性魔法『鎌鼬』はみなさんの良く知るアレである。
不可視の刃が蛇の巨大な首に当たるも斬り飛ばすまではできなかった、それでもかなり深い傷は与えている……
「ちっ!そう簡単にはいかねぇか!」
「そう言えば蛇の蒲焼って美味しいんだったよな?」
戦闘が終わったのはその5分後の事である……