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番外編(前編)〜神童〜

今回短めになってしまいました。

そろそろ龍の過去も語っておかないといけないと思い、書きました。

新キャラ登場します。

龍の親友という設定です。では、どうぞ

剣術学校

それは、7歳から15歳までの8年間、刀の使い方を学ぶために<刀>の先代国王つまり覇道剣聖の父、覇道聖剛(はどう せいごう)が建てた学校である。


−今から13年前−


当時7歳だった覇道龍は剣術学校へ入学した。国王の孫であるが故に、クラスメイトから声もかけられず、先生ですら話すことを躊躇ったという。龍はこの状況が嫌いで嫌いで仕方がなかった。

考えてみれば、まだ年端もいかない子どもが1人で居ることは、相当な負担を龍に強いていたのだろう。

しかしたった1人、龍に声をかけたクラスメイトがいた。それは2年生になった春のこと…


「君が覇道龍君?」


「!…そうだけど、君は?」


普段から声をかけられることの無かった龍は、驚いた表情を浮かべる。


「僕の名前は雷光(らいこう)疾風雷光(はやてらいこう)。よろしく」


軽い自己紹介の後、握手を求め、差し出された金髪の少年の手を見つめる龍の心には、満たされる様な心地よさがあった。涙が後から後から流れ、頬をつたう。雷光の手をとり、


「う、うん…此方こそ、よろしく」


入学してから2年、龍の孤独は疾風雷光によって取り払われた。

その日から、2人は何をするにも一緒だった。

食事や登校時は勿論、剣術の実技試験においても必ず2人はペアを組む程の仲。しかし、刀の腕は雷光の方が上だったらしく、龍は10回やって2回勝つのがやっとだったらしい。

それから4年の歳月が流れ、龍と雷光は13歳になった。2人の剣術は拮抗し、龍は雷光と互角の勝負が出来るまで成長。その技量は<刀>国内でも話題になり、2人が模擬戦をする度に多くの観客が学校を訪れていた。模擬戦の使用武器は木刀で顔を狙ってはいけないというルールにのっとり行われていた。


そして、その年最後の模擬戦…


龍と雷光は向かい合い、互いに笑って魅せた。


「雷光…これで何度目になるのかな?」


「そうだね…僕の記憶では43回目、かな」


「俺の勝率は?」


総合(トータル)で15勝28敗」


「俺ってそんなに弱かったっけか?」


「いいや、僕が強いだけだと思うよ?」


それを聞いた龍の口元がつり上がる。この上なく喜んでいるようだ。


「その口、塞いでやるよ…行くぜ?」


「何処からでもどうぞ」


そして、審判の声。


「それでは、よーい…始め!」


先に飛び出したのは龍。一気に雷光の懐に入り、神速の連続突きを放つ。この連続突きは当時最強と謳われており、龍はこの技で校No.2に登りつめた。No.1は勿論雷光であり、その連続突きをもってしても、雷光には今一歩及ばなかった。

龍が攻撃の達人なら、雷光は回避の達人である。雷光は突きを全てかわし、距離をとるために離れようとするが、それを許さないのが龍だ。

雷光が後退するのに合わせて前進し追撃。


「逃がすか!」


「おや?今日は攻め方を変えて来たみたいだね、龍」


木刀を雷光に振り下ろした龍だったが、次の瞬間には雷光が目の前から消えている事に気付き、木刀を両手で持って上に掲げる。


−ドコッ−


鈍い音と共に雷光の一太刀を受け止めた龍は後ろを振り返ることなく、続けた。


「やっぱり後ろに回ったか……その立ち回りの速さ、流石だな[瞬王]さんよ」


「この攻撃を読んだ君も似たようなものさ。[先読みの龍]君」

[瞬王]や[先読みの龍]というのは、2人に付けられたら通り名である。

雷光はその速さから[瞬王]…そして龍は行動予測が人並みはずれたものだったため、[先読みの龍]となっていた。


龍は掲げていた木刀で雷光の木刀を弾きながら身を翻し、雷光の方へ向き直る。

2人の一連の動作を見ていた観客は、相変わらず歓喜の声を上げている。しかし、2人の耳にはその歓声は聞こえていない。


「さて、ここからが本番だ…次は本気で行くぞ」


「そうしてもらわなきゃ僕が舐められてるみたいで格好つかないよ」


2人が同時に構えをとり、走り出した瞬間…

ズドォォンという音と共に学校の方から火の手が揚がった。

2人が居るのが模擬戦を行うための闘技場であり、学校には誰も居ないのが幸いであった。


「何だ!?」


「学校からだ!龍、行けるかい?」


「誰に言ってるんだ?」


「そうだったね。皆さんは此処を動かないで下さい!僕と龍で現状に向かいますから!」


闘技場に集まった観客を留まらせた雷光は龍を追って学校への道を急いだ。


この頃から龍の喋り方は大人びているんですね。それはそれで良いでしょう。では、後編で会いましょう。

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