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本編第2話〜風を従える刀〜

タイトルと関係無いとこも書いてますが、ご了承下さい。

「ん…ここは…?」


ゴルディールに負けた後、意識が無くなった俺はここが何処なのか分からなかった。


どうやら建物の中の様だ。


ベッドの上に寝かされていたと気付くのはもう少し後のことである。


「龍、良かった…気がついたのか」


「大丈夫みたいですね」


横を向くと、大虎とサクヤが心配そうに俺を見つめていた。


「どうしたんだよ?そんなに心配そうな顔して…」


「どうしたじゃねぇだろ…あんなに重症のお前を見たのは初めてだぜ。何があった?」


「かなり深く斬られてましたよ?ゴルディールはそんなに強かったんですか?…」


「ああ…強かった…。アイツの刀に刀身が触れた瞬間、蒼天波が消え失せた」


「蒼天波を…消し去る…ですか!?あれ程の技を消し去る刀なんて…」


「それだけじゃない。アイツに斬られた瞬間、全身の力が抜けていったんだよ…いや、吸い取られると言った方が良いかもな。感覚的に」


「吸い取る…ですか…」


サクヤは顎に手を当て、何やら考え込んでいる。


「何か知ってるのか?サクヤ…」


「はい。確証はありませんけど…“触れたものの力を吸い取る”刀が有るって噂を聞いたことがあります」


「“触れたものの力を吸い取る”…か…。じゃあ、蒼天波は消えたんじゃなくて」


「吸収されたってことか…」


「俺の力も、アイツの刀に吸収されたってわけだ。だから、俺はあの時立ち上がれなかったのか」



「厄介だな…触れたら駄目なんだろ?どうやって倒すんだ?」


大虎が俺に聞いてくるが


「分からん」


としか俺は答えられなかった。


「ただ…」


「ただ?」


「吸収した力を、本来の力に上乗せして攻撃出来るのかということが分からなくて…それが出来るなら、大虎の言ったとおり、本当にアイツの刀に触れられなくなる」


「確かに、そんなアホみたいなカウンターを使えるなら俺等に勝ち目はねぇ…」


「どうします?」


サクヤの問いに、俺は答えを直ぐ導き出した。


「当然、リベンジしに行くさ」


龍はベッドから起き上がり、歩き出した。俺とサクヤは龍が明らかに無理していると気付いていたが、あえて手助けはしなかった。


−翌日−


新たに目的地を決め、歩いていた。今度の目的地は南の<サウスタウン>だ。


「なぁ、どうして南だけ<サウスタウン>なんだ?他はちゃんとオリジナルの名前があんのによ…」


と俺に聞いたのは大虎だ。


「確かにそうだな…名が思い浮かばなかったんじゃないのか?でも、名があるだけ良いだろ?俺の村、名前無いんだぜ?…」


「そうだったな、悪い…。そういえば、ずっと気になってたんだが、サクヤは<ヴィリオミール>の出身なのか?」


「いいえ。私の出身は<刀>の隣国、<オラル>です」

「何でまた<(こっち)>に来たんだ?」


「龍さんと同じです。ソードハンターの情報が欲しくて」


「サクヤもソードハンターを追ってたのか…」


大虎が意外そうな顔をした。


「はい。<オラル>には1本の名刀があって、それを奪うために、ハンターは<オラル>を滅ぼしたんです…だった1本の刀の為に…仇を伐つ為に<刀>に渡り、情報を集めていたら、龍さん達に会ったんです。」


なる程…情報屋の“ちょうどいい”ってのはこの事だったのか…。


「ひでぇ話じゃねぇか…龍、サクヤを助ける意味でもハンター共を潰してやろうぜ」


「当然だ。仲間を助けるのに理由なんか要らない」


「ありがとう…こんな仲間思いな人達に出会えて、私は幸せ者です」


サクヤは感動を隠しきれない様で、目に涙を浮かべていた。


サウスタウンは<刀>の中でも落ち着いていて静かな町だ。“この町は”好きだ。


聞き込みをしていると、花屋の店主が情報をくれた。


「この前、そこの家に黒いコートを着た“人達”が入って行くのを見たよ」


と言って、店主は花屋からさほど離れていない家を指差した。


「本当か!?ありがとう、助かったよ。ついでにどれでも良いから花を1つ貰おうかな」


「毎度。また来てくれよ」


「ああ…直にな」


店主から貰った花を片手に、俺達は“例の家”にやって来た。さっき、店主がハンターを見たと言った家だ。


恐る恐るドアを開け、中に入る。


人は住んでいない様だ。その証拠として、床にほこりがたまっている。

しかし、ほこりの中に足跡を見つけた。

店主の言っていたことはどうやら本当らしい…まぁ、別に疑ってた訳ではないが…。


「おい…龍、サクヤ、ちょっと」


大虎が俺とサクヤを呼んだ。大虎は部屋の隅にしゃがみ込んでいる。


「どうかしたのか?」


「見ろよ…ここだけほこりが無い。しかも、足跡がここに集まってる」


確かに大虎の言うとおり、隅に四角くほこりがない場所があり、その周辺には足跡が集中していた。


「まるでこの場所を目指しているみたいですね」


「と、いうことは…大虎、サクヤ、さがっててくれ」


「何か分かったのか?」


「多分、この下に隠し階段がある」


龍が床を蒼龍で突き刺し、上へ持ち上げる。すると、床の四角い部分が外れ、隠し階段が現れた。


「用意周到なことじゃあねぇか」


「敵もバカじゃないみたいだな」


その言葉を聞いたサクヤがすぐさま口を挟む。


「でも、昨日の“あれ”は…」


「ああ、バカだった…」


俺と大虎は声を合わせた。


階段を降りると、ひときわ大きな空間が広がっていた。

「ここが見つかるとは…悪いが死んでもらおう」


そう言って奥からハンターが1人出てきた。


「返り討ちにしてやるぜ」


俺と大虎が刀を抜こうとするのを、サクヤが制した。


「待ってください。ここは私が」


「お、おい!サクヤ?」


サクヤが刀を抜き、ハンターに向かって行く。


刀身をにわかに風が包み込んでいるのが分かる。

ハンターはサクヤに攻撃を仕掛けるが、サクヤは悉く受け流している。


そう、まるで“風にでも乗っている”かの様に。


「どうしました?この程度ですか?」


「チィ!このっ!」


ハンターはサクヤに一撃を当てられず、イライラしているように見える。


そんな中、甘く入った一太刀をサクヤは受け止め、言った。


風流刃(ふうりゅうじん)…」


サクヤの刀の刀身から竜巻が起こり、ハンターを吹き飛ばした。


壁に叩きつけられたハンターは、苦悶の表情で起き上がり、サクヤを探すが、見つけられずにいる。

それもそのはず…サクヤは…


「なっ…何処へ!?ぐぁ!」


お前の後ろに居たんだから…。

柄の部分で首の後ろを突かれ、ハンターは気絶していた。


「凄いな、その刀」


大虎はサクヤの刀に興味津々である。


「これは『雷風(らいふう)』、あなた方と同じ名刀です」


「やはりな」


「気付いてたのか?龍…」


「刀身が風を帯びてる刀なんてそうそう無いからな」


「これが<オラル>にあった名刀なのか?」


「いえ、これは情報屋から貰ったんです。“俺は喧嘩得意じゃないから”って」


アイツ、そんな事言ってしっかりサクヤに“力”を与えてやがる。

油断できない奴だ…


「あ、奥に祭壇みたいな所が」


サクヤが指差した方向には、確かに祭壇のような台があった。

その台の上に置かれている物は…


「!サクヤ、これ、『真天(しんてん)』じゃないのか?」


サクヤが駆け寄って来る。


「た、確かに真天です…“天候を操る”名刀が何でこんな所に?」


「しかし、何故そんな(もの)がこんな所に?」


「さぁ…でも思わぬ収穫じゃねぇか。ありがたく貰っておこう」


「龍、真天(これ)はお前が持ってろ」


「良いのか?」


「私も賛成です。龍さんが持っていて下さい」


「分かった」


そう返事したが、内心俺は少し不安だった。

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