本編第6話〜力の差〜
文章がやっぱり下手。だから、ポイントも付かず、感想もないんでしょうね。では、駄文をどうぞ
大虎とサクヤが麗裟を仲間に加え、<アミラス>へ引き返しているちょうどその頃。
−<アミラス>の宿−
「おい、本当にこの部屋に報告のあった剣士が居るのか?」
「ああ、間違い無い。この部屋だ」
龍の眠る寝室の前には、何やら怪しい人影。黒いコートを着ている事からソードハンターだろう。
「確か、アイツは今夢を喰われて起きない筈。捕らえて連れて来いと、ソルディアス様の命令だ」
ソルディアスという名前を聞いた瞬間、ハンター達の顔が強張った。
「そ、それはミスっちゃいけねぇ」
「ああ、失敗したら俺達まで…殺されちまう」
「いいか?せーので一気に行くぞ……せぇぇのぉぉ!」
3人のハンター達は寝室のドアを突き破り、ベッドに刀を突き刺した。“白”がみるみる“紅”で染められて、真っ赤なベッドへと早変わりした。
「よし!やった…」
「とでも思ったか?」
ハンター達は後ろからの声にギョッとして振り返ったが、その瞬間、蒼い光。
「蒼天波!」
轟音と共にハンター達は吹き飛ばされた。
「残念だったな……ハズレだ」
「そんな筈は…確かにベッドが紅く……!」
龍はベッドに歩み寄ると布団を剥ぎ取る。ベッドの上には裂けて紅いインクが飛び出したビニール袋が置かれていた。
「ほらな?……大体、刺したときに手応えが無かったの、分からなかったのか?」
龍は呆れた様な顔をしてハンター達に疑問をふっかけた。
「い、いや……何かおかしいと思ったけど」
「まぁいい……それより、このまま俺と戦うか?」
「あ、当たり前だ!このまま帰ったらソルディアス様に……あ!」
思わずその名前を言ってしまったハンターは慌てて口を抑えるが、龍がそれを聞き逃すはずが無い。
「誰だ?そのソルディアスってのは……」
「く……!此処は一旦退くぞ!」
ハンター達はそれだけ言うと、一目散に寝室から走り出てしまった。
「何だったんだ?アイツ等……そんな事より、ソルディアスって…誰だ?」
龍が言った時、開いたままのドアから大虎が必死の形相で駆け込んで来た。息が荒い所を見ると、相当走ったのだろう。
「龍!無事か!?」
「ああ、大虎にサクヤと……そっちの綺麗な人は?」
「麗裟って言うんだ。俺の幼馴染み」
「初めまして、覇道龍君」
「こちらこそ。しかし、大虎には勿体ない程の美人じゃないか」
「何!?…ってそんな事じゃなくて!」
「ハンターなら来たぞ……俺を殺りにな」
「!……すまねぇ…俺達がもっと早く着いていれば」
「“着いていれば”?……何処へ行ってたんだ?」
「<ラムド>へ戻ってたんだ…お前が起きなかった原因を調べに」
「そうか…苦労をかけたな」
そう言うと、龍は大虎達に深々と頭を下げる。
「な、何だよ…かしこまって、調子狂うな〜」
大虎はくすぐったい思いでポリポリと頭を掻き、苦笑した。
「とにかく、龍さんが無事で…良かった」
口を開いたサクヤが涙目になりながら龍に言う。龍もそれに答え、
「すまなかったな……サクヤ」
「麗裟、2人だけにしておこうぜ」
「ええ」
普段ならこんな事は言わない大虎だが、今回は何を思ったのか気の利いた台詞。そして、龍とサクヤを残し、麗裟と共に寝室を出た大虎はハンターのアジトを探し始めた。
地下に在るなら、その地下へ行くための方法が必要な筈である。大虎は暫く床や壁を調べていたが、何も見つからずお手上げの様だ。
「何処に在るんだよ!アジトへの行き方が全然分かんねぇ……」
麗裟は暫く大虎の様子を遠くから見つめていたが、大虎が突然本棚の前で立ち止まって黙り込んでしまったのを疑問に思い本棚に近寄った。
「どうしたの?」
「なぁ、この本」
大虎は棚の中段あたりにあった本を指差した。その本は他の本より少し前に出ている。
「もしかしたら……麗裟、さがっててくれ」
麗裟が無言で頷き、後ろへ退くのを確認した大虎はその本を棚へ押し入れた。すると、カチッという音がして本棚が横へずれていき、下へと続く階段が現れた。
「こんなんばっかりだよな……最近」
「とにかく、行きましょう」
麗裟の言葉に背中を押され、大虎が階段を降りようとした時、
「待てよ、大虎。それに麗裟さんも……俺達をおいていくのか?」
「龍(君)!?いつから其処に?」
大虎と麗裟は声を合わせた。
「ついさっきだ。物がずれる音がしたがら来てみた」
「私には全然聞こえなかったのに、龍さんが部屋を出て行ったからついて来てみたんですけど、まさかこんな所に………」
龍の後ろから顔を出したサクヤが納得した様に言った。
「ビンゴ…ってやつかな?」
「そうらしいな……じゃあ、行くぞ。龍、サクヤ、はぐれるなよ」
「この一方通行で誰がはぐれるって?」
…………………………
「……おい龍、俺達何でこんな事になってんだ?」
「さっぱり分からん」
大虎、麗裟、龍、サクヤの4人は降りていた階段がいきなり崩れ、前も後ろも分からない真っ暗な空間に放り出されていた。
「サクヤ、麗裟さん、居るか?」
「ええ、大丈夫」
「怪我はしていません」
龍は、比較的近くから聞こえたサクヤと麗裟の声に安堵の息を漏らし、頭に浮かんだ予測を整理する。
「これはハンター共の仕業、かな」
「何か仕込んでたっていうのか?」
「私も分かったわ。何段かに亀裂が入っていたから」
「でも、亀裂くらい何処にでもあるものじゃないですか?他の段にも入っていたかもしれませんし……」
「そこだ」
龍がサクヤの言葉を遮るように言う。
「え?」
「全ての段に亀裂を入れて脆くし、俺達が落ちる様に仕向けていたとしたら、どうだ?」
「!まさか……」
「その通り……俺達が此処を見つけて入ってくる事を読んだ奴が居るってことになる。少なくとも俺を襲った3人の中には皆無だな」
すると突然、目の前(だと思う)からパチパチと手を叩く音が聞こえてきた。龍達4人は警戒態勢に入っている。
「素晴らしい。流石[先読みの龍]ですね」
「誰だ!何処に居る!?何故俺の昔の異名を知っているんだ!!」
「私の名前はソルディアス・リブラスエード…ハンターの幹部で、今はあなた方の目の前に居ます。そして、あなたの昔の異名を知っているのは、当時あの闘技場に模擬線を観に来ていたからです。他に質問は?」
「……(コイツがソルディアス…まさか、幹部だったとはな)」
本来なら「一度に質問するな」、という言葉が返ってくるのだが、こうも簡単に答えられてしまうとは思わなかった龍は一瞬言葉を詰まらたが、直ぐに次の言葉を見つけ出す事に成功した。
「……幹部ということは、俺達の刀を奪いに来たということだよな?」
「ご名答……そういうわけで、あなた方の名刀を渡してください」
「誰が渡すか!秘剣・大獣爪!」
大虎は見えない筈の空間で一辺の迷いもなく大獣爪を創り出し、ソルディアスが居るであろう方向に走り出した。
−ギシィ−
「なっ!嘘だろ!?俺の大獣爪を素……」
鈍い音がしたかと思うと、大虎の言葉が途切れ、ドスッ…と、何かが肉に食い込む嫌な音がした。背筋に悪寒が走った龍は蒼龍を抜き、自然に身体が臨戦態勢へと移行する。
「黒斬大虎……“今は”あなたに興味は有りません。私の目的は、覇道龍…あなたなのですから」
「チッ……(何故大虎の鋼虎を奪わない?そんなことより…戦うにしても、ソルディアス(アイツ)の姿が見えないんじゃ戦いようが無い。大虎も心配だ……此処は)蒼龍四の方・紫龍閃!」
「!」
龍の放った紫色の閃光は壁を突き破り、真っ暗な空間に光を届けた。光に照らされ、血にまみれ横たわる大虎の姿が龍の眼に飛び込んだ。
「…麗裟さん、大虎を」
「ええ、分かった」
大虎から視線を移した龍の前には、男が立っていた。肩まである白髪、肌は白く、喋り方は紳士的だが、それとは裏腹に真っ黒な瞳が何処か陰気な印象を与える。
「お前のその“眼”は何だ?暗闇でも見えるのか?」
「……これは鋭い…よく分かりましたね。この眼は“暗闇の眼”といいまして、暗闇“でも”見える眼なんです。黒斬大虎も同じ様な眼を持っていたので、先に排除したのですが……」
「もうお前の強みは無くなったわけだ。対等な戦いが出来る」
「この程度で私と対等だと考えているのですか?不遜な事ですね」
「試してみるか?」
「良いでしょう…かかってきなさい」
龍は素早くソルディアスの後ろに回り込むと、蒼龍の刀身に蒼い光を纏わせ、振り下ろした。
「蒼天波!」
「……やはり、この程度」
−ギシィ−
「!?」
ソルディアスは振り向きざまに蒼龍の刀身を鷲掴みにし、そのまま龍を投げ飛ばす。壁に激突した龍は何が起こったか分からないという様な顔になった。それも当然。ソルディアスが刀身を掴んだ瞬間、蒼天波が消えたのだ。
「蒼天波が……ゴルディールの時みたいに…消えた!?」
よく見ると、ソルディアスの腕は鋼で武装されており、各所に血の跡が見受けられる。
「あんな輩と一緒にしないで頂きたい。この鋼は“吸収鋼”……中途半端な攻撃ではビクともしません。ゴルディールの吸鬼と違って」
「(蒼天波が効かないなら、紫龍閃も無理そうだな。となると“あれ”を使うしかない、か)…ならもっと強い攻撃はどうだ?……極龍剣・龍皇…」
そこまで言いかけた時、突然ソルディアスが目の前に現れ、手刀を振り抜いた。蒼龍の刀身は折れて宙を舞い、地面に突き刺さる。
「!そ、そんな……蒼龍が…」
「龍皇破は“まだ”使ってはいけません。雷光君には悪いですが…あなたが龍皇破を完全にコントロールできるまで、蒼龍はお預けですね」
「!雷光の事も知ってるのか!?」
「ええ……しかし、それはまた次の機会に。……手に入れる筈の名刀を壊してしまいましたが、まぁいいでしょう。あの王も少しは役に立ったということで……さようなら、覇道龍」
ソルディアスは龍の身体を斜めに斬り裂いた後、大虎と同じ様に腕を腹に食い込ませ、引き抜いた。
「かっ…は…!(俺は……また負けた。刀も使っていない相手に、こんな簡単に…ゴルディールなんかよりよっぽど強い…これがソルディアスとの力の……差……)」
薄れていく意識の中で龍が見たものは、何事も無かったように去って行く、ソルディアスの後ろ姿。龍は実質、2度目の敗北を喫したのであった。
毎回おんなじ事の繰り返しの様な気がします。申し訳ありません。感想等待ってます。