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本編第5話〜白銀の夢魔〜

今回は大虎の視点です。お間違えの無いように。大虎の幼馴染みが登場します。凄く強いです。女性なのに……

では、第6話をどうぞ

「大…さん!大虎さん!」


龍から鳩尾にパンチをもらい、気絶していた俺は、俺の名を呼ぶ声で目を覚ました。眼を開けるとサクヤの顔。


「こ…此処は…」


「城の外です」


「外?…」


見渡すと、空が広がっていた。確かに、外の様だ。


「…!こんな事してる場合じゃねぇ!早く龍を…かはっ!」


必死に起き上がろうとした。しかし、先程のパンチが効いているのか、痛みで動く事が出来ない。


「大虎さん!無理をしないで下さい…私達に出来る事は龍さんを信じて待つ、それだけです」


「…くそ!」


拳を地面に叩きつける。自分の無力さに対する怒りと、ただ待つことしか出来ない惨めさで押し潰されそうになる。俺が拳を何回も地面に叩きつけていると、不意に城のてっぺんが砕け、そこから竜?だろうか…何やら黒い物が天に昇っていくのが見えた。


「あれは…竜?」


「まさか、最上級種族の竜があんな所に居るわけ無いじゃないですか」


この世界には人間、動物などの他に上級種族と最上級種族なるものが存在する。

まず、上級種族。

陸に住む1つ目鬼(サイクロプス)、天に住まう天馬(ペガサス)、海を住処とする海竜(リヴァイアサン)の3つ。

そして、滅多にお目にかかれない最上級種族。竜と不死鳥の2つ。

1つ目鬼(サイクロプス)は上級種族の中で唯一人語が理解出来るため、昔、人間の戦争に協力させられその数を減らしていき、絶滅したと云われている。尤も、竜と不死鳥に至っては人前に姿を見せないから人語が理解できるかなんて調べようも無いのだが…。

そんな事を考えていると、俺とサクヤが脱出に使った扉から大勢の人達が次々と出てきた。そして、一番後ろには覚束(おぼつか)ない足取りで歩いてくる龍の姿があった。


「龍!」


「龍さん!」


俺は痛みを忘れ、サクヤと共に龍へ駆け寄った。


「ちゃんと、生きて…たぞ…」


龍は今にも消えそうな声で言うと、その場に倒れた。


「龍!?おい、龍!」


「大丈夫。気を失っているだけですよ」


サクヤの言葉に心底ホッとした俺は、龍を担いだ。


「早く(コイツ)を休ませてやろうぜ。こんな猛反発枕だらけの寝床じゃ寝れないだろ?」


と言って俺はアスファルトの床を見た。


「フフ…はい」


−その夜−

<アミラス>を救って国民達から讃えられた俺、龍、サクヤの3人は半ば強引に宴へ参加させられていた。しかし、その宴の席に龍は居ない。


「………」


みんなが騒いでいる中、サクヤだけは相変わらず下を向いている。


「龍の事、心配か?」


そう聞いた途端、サクヤはビクッと一瞬震え顔を上げる。もの凄い速度だった。


「え、あ…はい、ちょっと…」


「行ってやれよ…龍の所へ」


宴のある広場では五月蝿すぎるので、適当な宿を借り、龍を寝室に寝かせていた。


「でも、大虎さんは…?」

サクヤが躊躇って聞くが、ここで「俺も行く」などと言ってサクヤの邪魔をする理由は無かった。


「俺は国民(この人)達ともう少し話してから来るからそれまで龍を診ていてくれ」


「じゃあ、お言葉に甘えて…先に失礼します」


サクヤは申し訳無さそうに立ち上がり、宴の場を後にした。

その後ろ姿を見送っていると、国民の1人が俺に話しかけてきた。


「なぁ、あんた知ってるか?」


「何をだ?」


「最近、(ちまた)を騒がせてる奇妙な事件についてだ」


俺はその事件とやらに興味が沸いたため、訊いてみることにした。


「知らないな…詳しく聞かせてくれないか?」


「何でも、眠った人が起きなくなるって話だ」


俺は“起きなくなる”という言葉を聞き、思い当たる節があったがあえて言わなかった。


「それはここらで起こってるのかい?」


「まだ“この国で”起こったとは聞かねぇけど、あんた達は旅をしてるらしいじゃないか…忠告のつもりだったんだが、余計だったかな?」


「いや、忠告ありがとう。気をつけるよ」


俺は席を立ち、国民に軽く会釈すると、サクヤと龍の様子を見に宿へ向かった。

<アミラス>の建物はどれもこれも豪華なものばかりだが、俺達の借りた宿は比較的質素だった。暗い階段を登り、寝室の前まで来る。そして、ドアノブに手を掛けようとした瞬間、


「やめろぉぉぉぉぉ!」


龍の声らしき絶叫が寝室から、俺の耳をつんざく様に聞こえてきた。


「うおっ!」


龍に何かあったのか?でも、サクヤがついている筈…

直ぐ我に返り寝室のドアを開け、部屋に入る。


「どうした!?何が…」


俺が見た時、龍は眠っていて、サクヤは床に座り込んでいた。近くに椅子が転がっているのを見ると、おそらく先程の龍の絶叫に驚いて椅子から落ちたのだろう。


「大虎さん…」


「サクヤ…何があったのか、説明してくれ」


「龍さんが突然絶叫しながら起き上がったと思ったら、また直ぐに寝てしまったんです」


「“やめろ”って、言ってたよな?」


「はい…でも、何故そんな事を」


「悪い夢でも視てたんじゃ…まさか!?サクヤ!急いで龍を起こせ!」


「え!?」


「いいから早く!」


「分かりました…龍さん!起きてください、龍さん!」


サクヤが龍の身体を揺さぶるが、龍は動かない。これは…


「マズイな…」


「何が起きてるんですか?」


「最近、寝た人が起きなくなる事件が続いているって話をさっき聞いたんだ」



「それなら聞いた事があります。一度目を覚まして直ぐまた……まさか、龍さんは」


「そのまさかの様だな…だが、この事件は奇妙でも何でも無い」


「どういう事ですか?」


「俺の推測が正しければ、今回の事件には刀が関与している。“夢を喰らう”刀…『(ばく)』がな」

「“夢を喰らう”!?…そんな刀、聞いたこと無いですよ?」


「俺はその刀を見たことがあるし、持ってる奴も知ってる。兎に角、俺は一度<ラムド>へ引き返すけど、どうする?」


「私も行きます。龍さんの夢を取り戻しに…」


それから、俺とサクヤは夜の道を<ラムド>へ引き返した。冷たい夜風が身体に突き刺さるが、気にしている暇はない。

<ラムド>が幸い<刀>と<アミラス>の国境付近にある村だったため、それ程時間を賭けずに<ラムド>へ到着した。


<ラムド>は夜にも関わらず村の再建作業が進められ、村人達が忙しそうに走り回っている。


「どうしてその人が此処に居るって分かるんですか?」


「そいつは俺の幼馴染みなんだよ…10年前、獏と共に“奴ら”に連れ去られてそれっきりだったんだ」


「“奴ら”って、まさか…」


俺はゆっくりと頷いた。それがソードハンターだということは言わなくても分かるだろう。当時はソードハンターの存在など知らなかったが、今になって考えると、黒いコートを着ていたことから予測はつく。


「よく2人で遊んだ場所があんだ…もしかしたら、そこに戻ってるかもしれないと思ってな」


並んで話していると、村の外れにやって来た。芝生の中に一カ所だけ石造りになっている床が目に留まる。俺はその床を人差し指で軽く叩いた。すると、石の床がずれていき、隠し階段が現れた。


「この間も似たような事ありましたよね?此処が、その幼馴染みさんと一緒に遊んだ場所ですか?」


「そうだ…行くぞ」


最初の質問は見事に無視して2つ目の質問に答える。

階段を降りると、刀や盾などの戦闘用の道具が無造作に置いてある部屋に出てきた。


「昔は誰も来ないこの場所でよく遊んだもんだ…!!」


俺の眼は目の前に居た人間に釘付けになった。

銀髪を長くのばしている女性で、身長は高い方だろう。その女性がゆっくりと此方を振り返る。


麗裟(れいさ)…」


「大虎…大虎なの?」


10年間、俺の捜していた姿がそこにあった。彼女は銀麗裟(しろがねれいさ)。歳は21で俺や龍の1つ上だ。


「やっと見つけた…」


「まさかあなた、10年前のあの時からずっと私を?」


「当たり前だろ?お前が居なくなったら、俺は何を頼りに生きていけばいいんだよ」


「そんなに私の事を?私、今ソードハンターなのよ?」


「だったら、俺達と共に行こう。ソードハンターなんか抜けて‥‥な?」


麗裟を抱き寄せようとするが、麗裟は俺から遠ざかってしまった。


「それは出来ないの‥」


「な、何故だ!?」


「両親が人質に捕られていて、ソードハンターを続けないと2人の命が‥‥それに私は見張られている。だから此処に隠れてたの」


麗裟は獏を抜いて俺に突き付けた。


「ごめんなさい‥‥こうするしかないの」


麗裟の綺麗な顔には一筋の涙。それを見ていられなくなった俺は、


「分かった。じゃあ俺が勝ったら、両親の居る場所を教えてくれ」


「え?」


「お前を泣かす奴らをぶっ潰す」


「私に勝てたらね」


「あの〜…私はどうすれば?」


横で聞いていたサクヤが疑問をふっかけてくるが、俺はサクヤを危険な目にあわせたくなかった。


「お前は此処で見ててくれ」


「え‥‥でも」


「はっきり言って、麗裟は俺とお前が力を合わせても勝てるかどうか分からねぇ」


「麗裟さんってそんなに強いんですか?」


「ああ、少なくとも俺よりは」


「ならなおさら力を合わせて戦った方が」


「いいからそこにいろ!」


「う…はい…」


その時の俺の気迫によるものだろう…サクヤは圧倒され黙ってしまった。


「さぁ、始めようぜ麗裟…」


「ええ」


鋼虎を構えた俺は迷わず麗裟に真っ正面から突っ込んだ。麗裟が獏を鞘に収めつつ避けるのを横眼で確認し、麗裟の動きに合わせて鋼虎を振るう。ところが麗裟は自分から鋼虎に身を寄せ、その刀身を指2本で“掴み”、俺の動きを封じた。


「な…!指で鋼虎を!?(相変わらずなんてセンスしてやがんだ)」


驚いていると、麗裟は容赦なく足払いをかけてきた。間一髪跳んでかわしたが、余所見をしていた俺の顔に麗裟の正掌付きが会心当たり(クリーンヒット)した。


「ほげぇ!」


あまりの痛さに変な声が出てしまった俺は鼻を抑え、膝をついた。


「痛ぅ〜」


「どうしたの大虎…まだ私は刀なんて使っていないわよ?」


「強い……刀を使わず大虎さんに膝をつかせるなんて…」


サクヤの顔には驚愕の色が浮かんでいたが、俺には「大丈夫」と言える余裕はない。俺が一撃も与えられぬまま片膝をつかされたのだ。昔ならこんな事有り得なかっただろう。


「強くなったな、麗裟」


「あなたが弱くなっただけじゃない?」


麗裟の冷たい視線が俺に注がれる。しかし、俺にはその視線が助けを求めている様にも見えた。

横で見ているサクヤに「絶対に入るなよ?」と目配せすると、サクヤは真剣な面持ちで頷いた。


「続きを始めましょう…大虎」


「…ああ、そうだな」


今度は麗裟の方から仕掛けてきた。俺は地面を蹴ってその勢いで麗裟の側面に回り込み、首を手刀で叩き気絶させようと試みる。しかし、麗裟は一度此方を見たかと思うと、身体を回転させて手刀を受け流し、それと同時に宙に浮いた右足で俺の頭にかかと落としを決めた。


「か…はっ!(ソードハンターのコートを着ているのにこの速さかよ…)」


反応出来なかった俺は勢い良く顔を地面に叩きつけられた。


「……私の体術の強さを忘れた訳じゃないわよね?」


「ったりめーだ…なんでその綺麗さでそこまで強いのかねぇ〜?」


そう…麗裟はかなり美人な方だ。道行く人々が必ず振り返るといっていい程。それ故に麗裟の美貌と体術は嘘だと思うくらいギャップが強い。


「これで終わりよ」


麗裟がやっと刀を、獏を抜いてくれた。


「幕引きにはちょうどいいタイミングだな」


「いつの間にそんな言葉覚えたの?」


「つい最近、な…」


麗裟と俺は同時に走り出した。麗裟の突きが迫るが俺は……受けることにした。


「!」


「ぐ…こいつぁ、痛てぇな」


「何故…」


「しっ…このまま静かにしてろ…大剣獣・鋼の(フルメタル・ライガー)!」


痛みに耐えながら、麗裟の後ろの壁に向かって鋼の虎を走らせた。すると、


「ぎゃああ!」


壁が崩れ、如何にも敵キャラらしい悲鳴を上げて中から人が出て来た。気絶してるのか…?


「どうして分かったの?」


俺は腹に刺さった獏を抜き、麗裟に手渡しながら自分の推測を語った。


「お前が“此処に隠れてる”って言った時、思ったんだ。隠れてるなら俺に刃を向ける必要は無いから、どっかに監視してる奴が居るんだろうなって…それに、お前が一度だけその壁を見たろ?何より眼が助けてって言ってたからな」


「…ありがとう!」


抱き付いてきた麗裟を受け止めきれず、俺は押し倒されてしまった。


「お、おい!……まぁ、いいか」


赤くなっているサクヤを後目に俺と麗裟は暫くの間、抱き合っていた。そして、“あの事”を言ってみる


「なぁ、その獏の能力を解除してもらえねぇかな?」


「どうして?」


「俺の仲間が獏に夢喰われてるだよ」


「了解…静まる悪夢(スリープ・ナイトメア)…これで解けた筈よ」


「ありがとな…それと」


「分かってる…両親の場所でしょ?」


「ああ」


「確か…<アミラス>の宿の地下にアジトが在って、そこに2人共居るって話を聞いたような…」


「地下、好きだねぇ〜ハンターもどこぞの王も……!待てよ…麗裟、今どこにアジトが在るって言った!?」


「え…<アミラス>の宿の地下だけど」


「サクヤ!<アミラス>に行くぞ、急げ!」


「え?どうしてですか?」


「<アミラス>の宿の寝室には誰が寝てる!?」


「!龍さん!」

タイトルと文体合ってませんね。しかも何か同じような文章ばっかり使ってるし…(涙)

自分の文才の無さにうんざりします。最上級種族はこの後の話で使う予定はありません。

では、またあいましょう。

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